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記憶と象徴としての毛沢東――民衆のまなざしから

館外での出版物

2022年3月31日

韓敏(著)

臨川書店
【北東アジア地域研究成果】

出版物情報

主題・内容

ナショナル・シンボルとしての毛沢東は、どのように社会に浸透し、民衆に受容されてきたのか。中華民国の孫文とベトナムのホーチミンと比較しながら、毛沢東の象徴的意味、個人崇拝の生成過程と持続するメカニズムを究明する。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

民衆の多元的な言説や生活実践からみえてくるのは、指導者の集団的記憶とその時代的変化である。毛沢東への人類学的アプローチは、現代中国社会を知るための新たな手掛かりとなり得るのか。

目次

序章 記憶と象徴としての指導者への人類学的アプローチ

第1章 近代中国におけるナショナル・シンボルの誕生

1. 個人崇拝の現象
2. 毛沢東の生い立ち
3. 指導者地位の確立
4. ナショナル・シンボルの伝播と再生産
結び

第2章 山村から国家的聖地へ

1.前近代と近代の聖地 
2. 毛沢東の生誕の地
3. 国家指定の文化財と表敬訪問(1949-1966)
4. 文化大革命期の聖地化(1966-1976)
5. 聖地の多元化
6. 地域における聖地のマネジメント
7. 毛氏一族による観光への関与
結び

第3章 公共的領域における毛沢東の題字

1. 題字へのまなざし
2. 公共的空間における毛沢東題字の出現
3. 題字の分類
4. 現代社会における存続とその変化
結び

第4章 民間信仰における指導者の記憶と象徴

1. 中国社会における毛沢東の多義性
2. 毛沢東の象徴性に関するメディア報道と先行研究
3. 革命指導者の祭祀――湖南、河北と四川の事例
4. 革命根拠地、陝西省北部の祭祀施設
5. 革命指導者の追想と民間信仰との融合
6. 祭祀空間における毛沢東の両義性とその表象
結び

第5章 バッジの使用と語り

1. 毛バッジに関する先行研究
2. 毛バッジの普及
3. バッジの入手と使用
4. 現代中国におけるバッジの多様な活用
結び

第6章 中華民国の国父、孫文の記憶と表象

1. 孫文の生い立ち
2. 革命の実践とその遺言
3. 遺体処理と神聖化
4. 国家的聖地――南京の中山陵
5. 故郷翠亨村の神聖化
結び

第7章 近代ベトナムと民族英雄のホーチミン

1. 初めてのベトナム調査
2. ホーチミンの生涯とその語り方
3. 国家によるホーチミンの崇拝
4. ホーチミンの故郷、蓮華村の国家文物化と観光化
5. 宗教施設におけるホーチミンの位置づけ
6. 民家、学校などの空間におけるホーチミンの表象
7. ベトナムの民族英雄と永遠のバッホ
結び

終章

1. 二十世紀のナショナリズムとカリスマ的指導者との出会い
2. 一般社会へ浸透していく指導者崇拝
3. 指導者ゆかりの地と聖地のマネジメント
4. 英雄崇拝の行方

付録 毛沢東・孫文・ホーチミン関連年表