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資源化される「歴史」――中国南部諸民族の分析から★

館外での出版物

2019年3月20日刊行

長谷川清、河合洋尚(編)

風響社
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

中国では正統とされる通史だけでなく、各民族集団の間で伝えられてきた複数の「歴史」があります。この本は、後者の「歴史」が近年いかに文書や景観などの形で資源化されはじめたのかを読み解いています。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

中国の歴史は決して画一的ではなく、さまざまなストーリーがあり、それらが近年の政治経済に利用されることもあれば、逆に各民族のアイデンティティを強化する手段ともなりうることを、本書から感じていただけましたら幸いです。また本書は、歴史が過去から未来へと連綿へと続くものとは限らず、現代の社会的状況に応じて多種多様に生み出されているといったことも、中国を事例に主張しています。

目次

長谷川清

第一部 歴史・記憶とアイデンティティ

三江県の「六甲人」の「侗化」に関する覚え書き 塚田誠之
二〇〇八汶川地震後のチャン族の都市への移住と村規民約 松岡正子
「歴史」の資源化――台湾に逃れたハニ族土司を事例として 稲村努
歴史に関する集団的記憶とその資源化――中国東北地域瀋陽のシボ(錫伯)族の事例を中心に 韓敏

第二部 媒体の多様性とテクスト化、歴史表象

タイ北部におけるミエンの歴史資源化 吉野晃
イ族にみる「歴史」の構築とその素材 野本敬
自民族の歴史を書く――『トン族簡史』から『トン族通史』へ 兼重努
聖なる時空の現出とその観光資源化 曽士才
ベトナム、マイチャウにおけるターイの移住開拓伝承の資源化 樫永真佐夫

第三部 ナショナリズム、ノスタルジアと景観の創出

国境地域の歴史文物とその資源化――雲南省孟連県・娜允古鎮を事例に 長谷川清
革命の歴史の資源化――紅色文化における解放の語りと展示の分析を中心に 高山陽子
雲南省元陽棚田地域における景観とその資源化――村民による映像撮影への関わりを中心に 孫潔
歴史性と景観建設――寧化石壁客家祖地における時間と空間の資源化 河合洋尚

あとがき

河合洋尚・長谷川清

索引