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日琉諸語の歴史と発展についての総合的研究に向けて(2019-2021)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|新学術領域研究(研究領域提案型)

林由華

★2021年1月1日転入

目的・内容

研究の概要

本研究は、日本語と琉球諸語の共通祖先である日琉祖語、およびそこからの言語の発展と多様性の在り方の解明に向け、日琉諸語の系統関係や歴史変化を多角的に検討する試みである。諸分野の専門家との協同関係のもと、これまで行われてきた語彙やアクセントなどによる系統関係の研究と文法現象(係り結び、格標示)における歴史変化と多様化の研究を平行的に見ていくことにより、諸方言の系統分岐と個別の言語現象の歴史発展を結びつけながら、相互により高い精度で研究する基盤とケーススタディを創出する。

研究の目的

本研究は、日琉諸語(日本語および琉球諸語)の言語の発展と多様性の在り方の解明に向け、その系統関係や歴史変化を多角的に検討する試みである。
系統分岐の研究では、平行進化や地理的伝播などの系統関係とは関係なく起こる変化による影響をできるだけ排除し、基礎語彙など限られた要素を根拠として用いる。一方、個別の文法現象の歴史変化では、系統分岐がどのように起こったかについては必ずしも考慮しない。しかし、過去に起こった変化をより正確に導き出すためには、より多くの情報から検討する必要がある。
本研究では、言語学諸分野の専門家との協同関係のもと、これまで行われてきた語彙やアクセントなどによる系統関係の研究と文法現象における歴史変化と多様化の研究を平行的に見ていくことにより、諸方言の系統分岐と個別の言語現象の歴史発展を結びつけながら、相互により高い精度で研究する基盤とケーススタディを創出することを目的とする。

活動内容

2021年度実施計画

2020年度事業継続中

2020年度活動報告

2020年度事業継続中

2019年度活動報告(研究実績の概要)

本研究は、日琉諸語の時空変異に関わる異なる研究手法と背景を持つ二分野、①系統関係(主として日琉諸語諸方言内部の下位分類)についての研究と②個別の文法現象(ここでは係り結びおよび格)の歴史発展の研究について、相互参照しながら研究を進める土台を作り、日琉諸語の歴史に関する総合的研究に結び付けていくことを目的としている。今年度は、代表者および研究協力者が個々の研究を進めつつ、主として2020年度に行うシンポジウムの打ち合わせ・準備を行った。
①については、研究協力者らと共に現在の日琉諸語の系統論に関する問題点について話し合い、研究協力者間の共同研究の調整を行うとともに、次年度シンポジウムの内容を決定した。具体的には、日琉諸語諸方言の非中央語的特徴、および日琉諸語系統論における統計学的研究の諸相について扱うことになっている。
②については、これに関する研究グループの研究集会「係り結び関連現象の通言語的研究に向けて」(大阪大学、2019年12月)を行った。日琉諸語の文献(古典)研究者4名、琉球諸方言研究者5名、それ以外の言語の研究者2名が参加。係り結び関連現象を記述するための枠組みを共有して個々の研究をそこに位置づけ、次年度のシンポジウム(9月)の構想を共有した。
上記①②は1回のシンポジウムでそのすべてを扱う予定だったが、それぞれのボリュームに鑑み、2020年度に別々のシンポジウムとして開催することに決定した。
また、科研全体に関わる活動として、一般向け講座での講演(「言語変化と方言の形成」、新学術領域「 ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明」第二回公開講演会、アオッサ、福井市、2020年9月15日)を行ったほか、次年度に行う研究会として宮古島諸島の人についての遺伝学、考古学、言語学の成果について議論する小研究会を企画している(2020年8月予定)。

2019年度活動報告(現在までの活動状況)

本年度は主として研究協力者との打ち合わせや研究会を行い、次年度のシンポジウムや総合的研究に向けての準備をすることを計画していた。「研究実績の概要」にも述べた通り、打ち合わせや研究会によってこれらを十分に達成することができたため、(2)おおむね順調に進展している とした。