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恵みありて、インジェラに集う:エチオピア正教徒の食をめぐる生活誌(2022)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|研究成果公開促進費(学術図書)

上村知春

★2022年4月1日転入

目的・内容

本書の目的は、インジェラを中心に食を営むエチオピア北部農民の食料生産と調理、消費の各過程とそれらの相互連関を明らかにしつつ、「食と宗教」の関連を、食生活に焦点を当てて包括的に記述することである。
これまでの「食と宗教」研究では、宗教上の儀礼や規則などの宗教実践に焦点が当てられてきた。それに対して本書では、宗教実践を中心に記述するのではなく、日常の食生活を微細に記述することを主要な目的とする。そして、その過程で浮き彫りになる「食と宗教の関連」を取りこぼすことなくすくい上げることにより、信仰者に寄り添った視点で食の重要性を解き明かす。
人びとの発話や行為を重視しながら、かれらの食をめぐる実践を筆者の長期間の現地滞在をもとに詳細かつ包括的に描くことで人が生きる上で食の果たす役割を解明し、日本において成果の少ない食文化研究を進展させるとともに、日常実践を重視した「食と宗教」研究を発展させる。