遺伝子化時代の社会集団のカテゴリー化と差異化―インドにおける血と遺伝子を中心に(2019-2024)
科学研究費助成事業による研究プロジェクト|国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
松尾瑞穂
目的・内容
研究の概要
本研究は、インドにおける集団カテゴリーの構築と同定に用いられる血と遺伝子の論理について検討することを通して、集団の差異の「自然化」や「実体化」 にサブスタンスが作用するメカニズムを解明することを目的とする。サブスタンスとは、親子や家族、集団の間で共有し、継承されるとみなされる身体構成物質である。本研究が対象とするのは、インドにおける人種や民族、カーストといった集団の差異化において、血と遺伝子をめぐる言説が、科学的知識として歴史的に生成され、流通し、機能している様態である。歴史、政治、ナショナリズムなどの絡み合いを解きほぐし、社会集団の範疇化や他者との差異化について検討を行う。
研究の目的
本研究は、インドにおける集団カテゴリーの構築と同定に用いられる血/血液と遺伝子の論理について検討することを通して、集団の差異の「自然化」や「実体化」 にサブスタンスが作用するメカニズムを解明することを目的とする。
インドをはじめとする南アジア社会における人種主義は、植民地支配や、啓蒙主義的人種主義とロマン主義的人種主義の交錯、アーリア人概念の変遷、民族とカーストなどが複雑に絡み合って成立している。また、近年では、こうした集団の差異を歴史的な解釈のみならず、より「科学的」だとみなされる遺伝子や生物学的差異によって同定しようとする動きも広がっている。そのようななか、血や遺伝子というサブスタンスは、どのような文脈で、集団の差異化の指標として機能するのだろうか。本研究は、遺伝子化が進展するインド社会において、多様な集団の共存のありかたを探索するひとつの試みである。
活動内容
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「遺伝子化時代の社会集団のカテゴリー化と差異化―インドにおける血と遺伝子を中心に」(課題番号18KK0337)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18KK0337