アジア、オセアニア、マダガスカルにおけるデンプン食料源としての大型サトイモ科植物(2024-2028)
科学研究費助成事業による研究プロジェクト|国際共同研究加速基金(海外連携研究)
ピーター J. マシウス
研究の概要
日本と8カ国(バングラデシュ、タイ、ベトナム、バヌアツ、マダガスカル、マレーシア、フィリピン、台湾)との国際共同研究である。本研究では、インドクワズイモ、シマクワズイモ、クワズイモ、ティフォノドルム4種について、その遺伝的・地理的起源、過去と現在における食用植物としての利用に関する調査を実施する。これらの植物は、丈が高く、でんぷん質を多く含む太い茎を持つことから、地炉などを使った調理法を用いることで、えぐみを軽減し、食物として利用できた可能性がある。クワズイモ属植物の遺伝的多様性を調べるとともに、それらを利用する調理技術を、民族植物学および実験考古学的研究から明らかにする。
研究の目的
野生Alocasia odoranoの広範囲にわたる分布は、有用植物として人為的に拡散されたことが少なくとも要因の一つであるという仮説を検証する。また、A. odoraに関する知識をもとに、東南アジアの島々においてA. macrorrhizosを利用し、栽培作物としての開発を促進したという仮説も検証する。さらに、A. macrorrhizosが食用植物であるという知識をもとに、T. lindleyiがマダガスカルで食糧不足や飢饉の際に利用される植物として採用されることにつながったと考えている。この逐次的な仮説は、農業が始まるはるか以前に熱帯アジアで現生人類が拡散し始めた時期から、比較的最近におこった太平洋とインド洋を越えた農耕民族(オーストロネシア語族)の移住まで、非常に長い期間にわたった可能性がある。
活動内容
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「アジア、オセアニア、マダガスカルにおけるデンプン食料源としての大型サトイモ科植物」(課題番号24KK0013)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24KK0013/