現代のジェンダー/セックス/セクシュアリティをめぐる共時的なグローバル現象と人類学
研究期間:2025.10-2028.3
代表者 國弘暁子
キーワード
ジェンダー、セックス、セクシュアリティ
目的
本研究の目的とは、現代社会で顕著に生起しているジェンダー、セックス、および、セクシュアリティをめぐるグローバルな諸々の事象について、異なる地域における特殊な歴史的、地理的な事情を加味した比較分析を行い、共時的であり、且つ、多層化するジェンダーにまつわる現代問題への人類学的アプローチのあり方を再考することにある。昨今では、ジェンダー・ギャップ指数なる国際基準が存在するように、社会構造レベルでの格差是正に不可欠な視点としてジェンダーは注目されるが、その一方で、ホルモンやテストステロンといった体の内的機能に注目する医学では、性における差異に対してより一層明確な意味が付与されもする。しかし、日常生活レベルに目を向けてみると、男女のカテゴリーにとらわれずに、肉体を介した快・不快の感覚を自由に表現できる性があり、また、コロニアルな遺産としての不自由さに縛られる場合には、別の性表現があることも事実である。このように、複雑な歴史をはらみながら多層化するジェンダー問題を人類学の視点から言語化することを皮切りとして、グローバルなコモンセンス形成の可能性を探る。
2025年度
2025年10月の共同研究会スタートに先立ち、日本文化人類学会・第59回研究大会(筑波大学)にて分科会「ジェンダー問題として語られるもの」を企画し、4名の構成員で研究発表を実施しており、その総括を全構成員と共に行う。そして、2001年に共同研究「ジェンダー/セクシュアリティと多文化主義」を立ち上げられた宇田川妙子氏を中心に、これまでの二十年以上もの間に生じた世界情勢の変化とジェンダー問題の変容についての共通認識を得るための議論を行う。また、各構成員の研究内容や関心事について、互いに共有しておくことも必要であるため、出席者全員が比較的短いプレゼンテーションを毎回行うことを予定している。
【館内研究員】 | 浅田直規 |
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【館外研究員】 | 宇田川妙子、大村優介、菅野美佐子、石明美、椎野若菜、新ヶ江章友、棚橋訓、内藤順子、松前もゆる、村上薫 |
研究会
- 2025年10月25日(土)13:00~17:00(国立民族学博物館 第4演習室)
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参加者全員「本共同研究会のめざすべき将来像について」
國弘暁子(早稲田大学)、松前もゆる(早稲田大学)、村上薫(アジア経済研究所)、内藤順子(早稲田大学)「分科会:ジェンダー問題として語られるもの」
宇田川妙子(国立民族学博物館)「2001年度のジェンダー/セクシュアリティ研究会から現在まで — ひとつの私見として」
- 2025年10月26日(日)10:00~12:00(国立民族学博物館 第4演習室)
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大村優介(東京外国語大学)「ラオス首都ビエンチャンに生きる個による、クィアな表現としての生の民族誌の試み(+自己紹介)」
参加者全員「次回の研究会について」