現代のジェンダー/セックス/セクシュアリティをめぐる共時的なグローバル現象と人類学
研究期間:2025.10-2028.3
代表者 國弘暁子
キーワード
ジェンダー、セックス、セクシュアリティ
目的
本研究の目的とは、現代社会で顕著に生起しているジェンダー、セックス、および、セクシュアリティをめぐるグローバルな諸々の事象について、異なる地域における特殊な歴史的、地理的な事情を加味した比較分析を行い、共時的であり、且つ、多層化するジェンダーにまつわる現代問題への人類学的アプローチのあり方を再考することにある。昨今では、ジェンダー・ギャップ指数なる国際基準が存在するように、社会構造レベルでの格差是正に不可欠な視点としてジェンダーは注目されるが、その一方で、ホルモンやテストステロンといった体の内的機能に注目する医学では、性における差異に対してより一層明確な意味が付与されもする。しかし、日常生活レベルに目を向けてみると、男女のカテゴリーにとらわれずに、肉体を介した快・不快の感覚を自由に表現できる性があり、また、コロニアルな遺産としての不自由さに縛られる場合には、別の性表現があることも事実である。このように、複雑な歴史をはらみながら多層化するジェンダー問題を人類学の視点から言語化することを皮切りとして、グローバルなコモンセンス形成の可能性を探る。
2026年度
2年目の2026年度は、2007年に出版された『ジェンダー人類学を読む』(宇田川・中谷 共編、世界思想社)を読み返し、かつての議論を参照しながら、今日的なジェンダー/セクシュアリティ規範の呪縛とはどのようなものなのか、今日求められるジェンダーの人類学とはどのようなものかについて考えることを課題とする。年4回開催予定の研究会では、メンバーによる個別の研究発表に加えて、最終的な成果発表をどのようなかたちで行うべきか、現代ジェンダーの人類学の成果をいかに発信すべきかについての議論を行う。適宜、ゲストスピーカー、コメンテーターを招聘して、最終成果発表のあり方についての議論を深めていく。
| 【館内研究員】 | 浅田直規 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 宇田川妙子、大村優介、菅野美佐子、石明美、椎野若菜、新ヶ江章友、棚橋訓、内藤順子、松前もゆる、村上薫 |
研究会
- 2026年4月18日(土)13:30~17:00(国立民族学博物館 大演習室)
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参加者全員「本共同研究会の研究成果報告について」
ゲストコメンテーター 鳥山純子(立命館大学)
ゲストスピーカー 中谷文美(関西学院大学)「性差(ジェンダー)への文化人類学的向き合い方」
- 2026年4月19日(日)10:30~12:30(国立民族学博物館 大演習室)
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菅野美佐子(青山学院大学)「ケアをめぐるインド女性の世代間関係の変容:母娘関係の人類学的考察」
参加者全員「次回の研究会について」
- 2026年7月4日(土)13:30~17:00(国立民族学博物館 大演習室)
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参加者全員「次年度の研究活動について」
ゲストスピーカー鳥山純子(立命館大学)「『ジェンダー』はオワコンか?エジプトからモロッコに見る、多様化する女性のライフスタイルの中で」
- 2026年7月5日(日)10:30~12:30(国立民族学博物館 大演習室)
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村上薫(アジア経済研究所)「言葉の変化、言葉による変化―トルコのフェミニズムと暴力の表現」/ゲストコメンテーター鳥山純子(立命館大学)
参加者全員「次回の研究会について」
- 2026年11月6日(金)17:00~18:00(宿泊施設内談話室、民族共生象徴空間ウポポイ)
- 宿泊施設内の談話室にて、これまで実施してきた共同研究会の振り返り、および、「民族共生象徴空間ウポポイ」訪問の事前打ち合わせ(全員参加)
- 2026年11月7日(土)10:00~19:00(宿泊施設内談話室、民族共生象徴空間ウポポイ)
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民族共生象徴空間ウポポイ訪問、ウポポイ現地職員との対話、および、国立民族アイヌ博物館の見学、博物館学芸員との対話、ウポポイ特別展示「コソンテとルウンペ」の見学
宿泊施設内の談話室にて、ウポポイ訪問に関する議論・討論(全員参加)
- 2026年11月8日(日)10:00~11:00(宿泊施設内談話室、民族共生象徴空間ウポポイ)
- 宿泊施設内の談話室にて、「今年度の研究活動の締めくくり」(全員参加)
2025年度
2025年10月の共同研究会スタートに先立ち、日本文化人類学会・第59回研究大会(筑波大学)にて分科会「ジェンダー問題として語られるもの」を企画し、4名の構成員で研究発表を実施しており、その総括を全構成員と共に行う。そして、2001年に共同研究「ジェンダー/セクシュアリティと多文化主義」を立ち上げられた宇田川妙子氏を中心に、これまでの二十年以上もの間に生じた世界情勢の変化とジェンダー問題の変容についての共通認識を得るための議論を行う。また、各構成員の研究内容や関心事について、互いに共有しておくことも必要であるため、出席者全員が比較的短いプレゼンテーションを毎回行うことを予定している。
| 【館内研究員】 | 浅田直規 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 宇田川妙子、大村優介、菅野美佐子、石明美、椎野若菜、新ヶ江章友、棚橋訓、内藤順子、松前もゆる、村上薫 |
研究会
- 2025年10月25日(土)13:00~17:00(国立民族学博物館 第4演習室)
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参加者全員「本共同研究会のめざすべき将来像について」
國弘暁子(早稲田大学)、松前もゆる(早稲田大学)、村上薫(アジア経済研究所)、内藤順子(早稲田大学)「分科会:ジェンダー問題として語られるもの」
宇田川妙子(国立民族学博物館)「2001年度のジェンダー/セクシュアリティ研究会から現在まで — ひとつの私見として」
- 2025年10月26日(日)10:00~12:00(国立民族学博物館 第4演習室)
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大村優介(東京外国語大学)「ラオス首都ビエンチャンに生きる個による、クィアな表現としての生の民族誌の試み(+自己紹介)」
参加者全員「次回の研究会について」
- 2026年1月10日(土)13:30~17:00(国立民族学博物館 大演習室)
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参加者全員「本共同研究会の研究成果報告について」
新ヶ江章友(大阪公立大学)「出産・子育てを行う日本在住性的マイノリティによる親族や地域社会との関係構築」
- 2026年1月11日(日)10:30~12:30(国立民族学博物館 大演習室)
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浅田直規(国立民族博物館)「LGBTQ+後進国ルーマニア?――ポリフォニーとしての家族とジェンダー/セクシュアリティ」
参加者全員「次回の研究会について」
研究成果
第一回目研究会の初日には、「本共同研究会のめざすべき将来像について」と題して、出席者全員に発言を促し、ジェンダーとセクシュアリティに関する人類学的研究の方向性と成果発表の理想型についての議論を行った。それに続いて、国立民族学博物館・名誉教授の宇田川妙子氏により、「2001年度のジェンダー/セクシュアリティ研究会から現在まで — ひとつの私見として」と題して、2001年度に立ち上げた共同研究プロジェクト「ジェンダー/セクシュアリティと多文化主義」の目的と、現在に至るまでのジェンダー研究の変遷や日本社会におけるジェンダー研究の意義に関する発表をいただいた。その翌日は、博士学位申請論文を目下執筆中の大村優介氏により、自身のフィールド紹介に続いて「ラオス首都ビエンチャンに生きる個による、クィアな表現としての生の民族誌」についての発表をいただいた。
第二回目研究会は、「本共同研究会の研究成果報告について」、出席者全員から意見を述べてもらうことから始めた。そのあと、新ヶ江章友により「出産・子育てを行う日本在住性的マイノリティによる親族や地域社会との関係構築」についての研究発表がなされた。その翌日には、「LGBTQ + 後進国ルーマニア?―ポリフォニーとしての家族とジェンダー/セクシュアリティ」と題して、浅田直規氏による研究発表がなされた。
