資料関連
▶ 標本資料「東南アジアの籠、つづら」の寄贈受入:樫永真佐夫
ベトナム北部の黒タイ・白タイおよびラオス北部のラオの農村で日常的に使用された竹製籠・つづら計4点を寄贈受入した。これらは2000年前後に収集されたが、市場経済化と生活の近代化により使用・生産ともに減少し、現在では希少となっている。本資料を受け入れることで、東南アジア大陸部の物質文化資料の充実を図るとともに、生業や家族生活の変化と物質文化の関係、竹製品の多様性に関する比較研究に資することができる。
▶ 標本資料「「武器をアートに-モザンビークにおける平和構築-」関連作品」の寄贈受入:飯田卓
本提案では、特定非営利活動法人四国グローバルネットワークが所有する鉄製彫刻3点を寄贈受入した。これらは、モザンビーク内戦後の平和構築活動「武器をアートに」の一環として、回収された武器を素材に制作された作品であり、非武装化と平和意識の醸成を象徴するものである。同団体により適切に保管・展示され、作家との連携も継続されている資料である。本館でも関連展示実績があり、既存収蔵品に加え受入れることで、アフリカ地域の現代的物質文化資料の充実が期待される。
▶ 標本資料「スペル・デルフィン氏のプロレス用マスク」の寄贈受入:福岡正太
本提案では、本館で開催した特別展「日本の仮面-芸能と祭りの世界-」への協力を記念し、プロレスラーのスペル・デルフィン氏から寄贈された本館ロゴ入りプロレスマスク1点を寄贈受入した。現代日本における仮面文化の広がりを示し、漫画・アニメに由来する仮面ヒーローが現実社会へ展開した事例として意義を有するものであり、仮面文化やヒーロー像に関する研究・教育への活用が期待されるとともに、共同利用にも資することができる。
▶ 標本資料「畑中幸子 太平洋コレクション」の寄贈受入:丹羽典生
本事業では、戦後日本における太平洋研究の草分けである文化人類学者・畑中幸子氏が1970年代以降の学術調査の中で収集した民族標本37点を受け入れた。本館創設期の収集活動とも関係が深く、畑中氏の収集資料がすでに19点収蔵されていることから、オセアニア関連資料を補完する意義を有する。女性研究者による先駆的業績として学術的価値が高く、日本の戦後人類学史や太平洋研究の展開を示す資料でもある。今後は研究および展示、データベース公開を通じて広く活用し、共同利用の促進に寄与する。
▶ 標本資料「本田孝一のアラビア書道作品」の寄贈受入:相島葉月
日本におけるアラビア書道の先駆者である本田孝一の作品『生命の木』1点を寄贈受入した。本田孝一の作品は、本館でもすでに収蔵しており、みんぱく創設50周年記念企画展「点と線の美学」でも展示した。本資料は、企画展実行委員であった菅瀬晶子准教授の逝去を悼み、寄贈されたものである。本館のコレクションの体系的充実に資するものであり、アラビア書道の多様性やイスラーム文化の現代的展開を示す資料として、研究・展示・共同利用への活用が期待される。
▶ 標本資料「トンガ王国の伝統工芸品Ngatu Launima (ンガトゥ・ラウニマ)」の寄贈受入:丹羽典生
トンガ王国の伝統工芸であるタパ(樹皮布)「ンガトゥ・ラウニマ」の寄贈を受け入れた。本資料は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のトンガ王国ナショナルデーにおいて、トゥポウトア・ウルカララ皇太子殿下より外務省へ贈呈されたものである。約4m×30mの大規模かつ貴重な文化資料であり、オセアニアの伝統文化を示す標本として重要であるとともに、日本とトンガ王国の外交関係を象徴する意義を有する。今後は研究および展示に活用し、文化理解の促進に寄与することも期待できる。
▶ 標本資料「北米先住民(チペワイアンおよびクリー)の生業具・宗教関連資料」の寄贈受入:野口泰弥
本事業では、北米先住民チペワイアンおよびクリーの生活道具計19点を寄贈受入した。資料は煎本孝氏が1973年にカナダで収集したもので、来歴や使用法が詳細に記録されている。本館に受け入れることで受入により北米北方内陸部の生業や信仰を示す資料群の充実が図られる。加えて、日本における同地域研究の展開を示す歴史的資料としても重要であり、研究者のみならず将来的にはソースコミュニティとの連携や活用も期待される。
▶ 標本資料「ルーマニアの民族衣装」の寄贈受入:浅田直規
ヨーロッパの伝統衣装資料の充実を目的として、ルーマニアの伝統的なシャツ、ベスト、靴の寄贈受入を行った。資料は大阪・関西万博ルーマニア館関係者より贈呈されたもので、同国において国民意識と深く結びつく農村的・伝統的衣装の実態を示す。近年、伝統衣装の衰退や粗製品の流通が進む中、本資料は保存・継承の動向を示す点でも重要である。既存コレクションの充実に寄与するとともに、東欧服飾文化研究および展示更新への活用が期待される。
▶ 標本資料「中国文化の関連資料」の寄贈受入:韓敏
本事業では、中国関連の標本資料27件の受入に関する提案である。冥銭、社会主義計画経済期の配給券、外貨兌換券など、中国文化の特色を示す資料であり、本館における中国地域コレクションの充実を図る。現在では入手困難なものも含み、歴史的・研究的価値が高い。受入により、常設展示や資料公開、オンライン発信を通じて多民族国家としての中国理解を促進するとともに、研究・教育・共同利用に資する活用が期待される。
▶ 標本資料「オラン・アスリの吹矢」の寄贈受入:信田敏宏
本提案では、現地で購入されたマレーシア先住民オラン・アスリの吹矢2点を受け入れた。本館には既に同種資料の所蔵があるが、いずれも20世紀の収集品であり、本資料は21世紀以降の事例として高い資料的価値を有する。受入により、東南アジアにおける狩猟活動、とりわけオラン・アスリの生業に関する資料の充実が図られるとともに、現代における伝統継承の実態を示す資料として、研究・展示・共同利用への活用が期待される。
▶ 標本資料「台湾原住民アート作品」の寄贈受入:野林厚志
本事業では、企画展「フォルモサ∞アート――台湾の原住民藝術の現在(いま)」(2025年開催)に出品された現代台湾原住民アート作品2点を受け入れた。当該資料を受け入れることで、同企画展の成果を継承するとともに、先住民アートに関する研究・展示資料の充実を図る。本資料は、現代における台湾原住民の表現活動を示す重要な事例であり、継続的な普及活動にも資する。今後、文化人類学的研究や比較研究、共同利用における基盤資料としての活用が期待される。
▶ 標本資料「カラハリ狩猟採集民サンの生活用具」の寄贈受入:鈴木英明
1990年前後のアフリカ狩猟採集民サンの生活理解を目的として、今村薫氏が1993年の現地調査で収集した資料18点を受け入れた。ウス、弓矢、装身具、儀礼用具などを含み、食生活、生業、通過儀礼といった生活文化を具体的に示す資料である。受入により、狩猟採集民の技術や知恵に関する理解を深めるとともに、当該地域資料の充実を図る。さらに、他地域資料との比較研究や、国内外で弓矢ほかを収蔵する博物館と協働することで、民博のモノの特性を理解することができ、共同利用への寄与、基盤資料としての活用が期待される。
▶ 標本資料の撮影等業務:末森薫
令和7年度は、年度当初予算が措置されなかったため、当初予定していた3,600点の撮影ができなかった。そのため補正予算の獲得や機構長裁量経費および標本資料係所掌予算からの捻出等自助努力により、1,111点の写真撮影を実施した。
▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【標本資料関連】:企画課長
本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関する情報サービス、展示準備・展示運営のための資料管理及び情報の作成・管理等を行うものである。
▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【データベース関連】:末森薫
本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の整理・作成等を行うとともに、標本資料に係るデータベースに掲載する情報の作成、整理、更新作業、「人類の文化資源に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築」、「地域研究画像デジタルライブラリ/学術知デジタルライブラリ」に係るデータ整理業務を行うものである。
▶ 有形文化資源の保存・管理システム構築:日髙真吾
本計画事業の目的は、館蔵資料の保存と活用の両立を目的に、その保存・管理システムを緊急度の高さに応じて整備することにある。具体的には、①有形文化資源の保存対策立案では、総合的有害生物管理(IPM)の考えかたのもと、生物被害の防除・殺虫対策に関わる資料管理活動を計画、統括した。②資料管理のための方法論策定では、展示場や収蔵庫などの博物館環境の調査、解析、総括をおこなうとともに、収蔵庫再編成に関わる活動を助言、支援した。③資料の科学的調査法の推進では、本館の資料調査および他機関との共同利用を念頭に、物理的・化学的・光学的調査を実施した。
▶ 標本資料「アイヌの二風谷イタ資料」の勘定科目替え:伊藤敦規
本件では、申請者が代表を務める科研費で購入した若手木彫家による二風谷イタ及び関連資料3件について、勘定科目替えにより受入を行った。資料は、2025年10月に民族共生象徴空間(愛称:ウポポイ)で開催された第四回アイヌアートショー出品作品である。本館はすでにイタを収蔵しているが、二風谷地域の20歳代作家による作品はほとんど存在しないため、これら資料が加わることで、既存の資料との比較が可能となり研究の可能性が増すことが期待できる。
▶ 標本資料個別収集「モンゴル仏教の仏画(タンカ)の収集」:島村一平
本計画は、17世紀の大仏師ザナバザルの様式を継承する現代モンゴル仏師による仏画2点を収集した。モンゴルではチベット仏教を基盤としつつも独自の仏教芸術が発展したが、社会主義期に一時断絶した。その後、モンゴル仏教芸術研究所の活動により復興が進んでいる。本収集は、2027年9月開催予定の特別展での公開を通じた社会的発信に加え、日本では未未開拓分野であるモンゴル仏教美術研究の進展に寄与するものである。
博物館社会連携
▶ ボランティア活動支援:上羽陽子
国立民族学博物館におけるボランティア活動者の受入要項に基づき、登録したボランティア団体であるMMP(みんぱくミュージアムパートナーズ)の活動支援をおこなった。
▶ ワークショップの実施ならびにワークシートの運用:上羽陽子
学術的成果を広く社会に還元し公開することを目的とし、本館の研究活動ならびにその成果としての展示の内容を活用したワークショップおよびワークシートの開発を、計画的に実施した。
特別展関連ワークショップを1種類2日間(全2回)、企画展関連ワークショップを2種2日間(全3回)、夏休みこどもワークショップ(1回)、年末年始イベント(全3回)を実施した。当館の教員や外部講師よるに講義、展示観覧および制作等の体験をとおして、参加者の文化人類学・民族学に対する社会の興味と関心を高めることができる内容とした。
ワークシートについては、ホームページにて公開し、使用希望者が自由にダウンロードできるように運用している。
▶ カムイノミ及び「アイヌ古式舞踊」演舞の実施:齋藤玲子
当館が所蔵するアイヌの標本資料に対して、安全な保管と後世への確実な伝承を目的に、祈りの儀礼(カムイノミ)を公開でおこない、あわせてアイヌ古式舞踊の演舞を、一般公開で実施した。
公益社団法人北海道アイヌ協会と調整をおこない、平取アイヌ協会・平取アイヌ文化保存会が主体となり、令和7年12月3日(水)に準備と打ち合わせ、12月4日(木)に儀礼を開催した。詳細は、添付の報告書を参照されたい。
▶ 博物館社会連携事業強化プロジェクト:岡田恵美
本プロジェクトの目的は、社会連携事業検討ワーキンググループ(以下、社会連携WG)が主体となり、本館の博物館社会連携事業について既存プログラムの改良と新プログラムの研究開発によって強化することである。第4期中期計画・中期目標において社会連携WGが掲げる、以下の課題(基幹活動)を遂行した。
① 高等教育に対する教育プログラムの立案および実施
② 教育研究機関との連携事業の実施と実用化
③ ワークショップ・ワークシートの開発
④ 貸出用学習キット「みんぱっく」の活用
▶ 「知的障害者の博物館活用に関する実践的研究――学習ワークショップ「みんぱくSama-Sama塾」」:信田敏宏
知的障害者を対象とした学習ワークショップ「みんぱくSama-Sama塾」を開催した。知的障害者にとっても分かりやすく、楽しめる博物館の活用モデルを目指し、知的障害者が博物館を活用する際に必要とされる支援や改善点などを検討しながら実施した。