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ペトルーニャに祝福を

日時:
2024年12月14日 @ 13:30 – 16:15 Asia/Tokyo タイムゾーン
2024-12-14T13:30:00+09:00
2024-12-14T16:15:00+09:00
場所:
国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂)
ペトルーニャに祝福を

開催日 2024年12月14日(土)
時 間 13:30~16:15(開場12:30)
場 所 国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂)
定 員 350名
参加費 要展示観覧券(イベント参加費は不要)
申 込 事前申込制(先着順)
※ 予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
主 催 国立民族学博物館

みんぱくワールドシネマ 映像から考える<人類の未来>第58回上映会

【司会・解説】 菅瀬晶子(国立民族学博物館准教授)

上映作品

「ペトルーニャに祝福を / God Exists, Her Name Is Petrunya」

高学歴を生かせず不遇なペトルーニャは、手にした者に幸運を授ける十字架を偶然手にします。しかし、十字架は本来男性のみが手にできるものとされていました。この映画から東地中海世界の男性優位主義と一神教の関係を解き明かします。

2019年/北マケドニア・フランス・ベルギー・クロアチア・スロヴェニア合作/タマケドニア語/100分/日本語字幕付き

【監督】 テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ
【出演】 ゾリツァ・ヌシェヴァ ラビナ・ミテフスカ

ペトルーニャに祝福を シーン1

©️Pyramide International

ペトルーニャに祝福を シーン2

©️Pyramide International

ペトルーニャに祝福を シーン3

©️Pyramide International

映画解説

保守的な価値観が根強い北マケドニアの小さな街を舞台に、男性のみが参加できる東方正教会の伝統儀式で、最初に獲得した者に幸福が訪れるという十字架が女性の手に渡ったために広がる波紋を、スリリングに描出した力編。大学では歴史学を専攻するも見合った勤務先もなく、32歳の今なお定職に就けずにいるペトルーニャは、世間体ばかり気にする母に根負けして臨んだ面接でも、屈辱的な扱いを受ける。鬱々たる帰り道で、司祭が川に投げ入れる十字架を男性だけで取り合う“神現祭”に遭遇したペトルーニャは、衝動的に川に飛び込み栄冠を掴むが、規則違反と憤怒する参列者に加え、逮捕の理由もなく渋々動く警察署長や意欲満々の女性リポーターらも巻き込み、世間をにぎわす事態に発展していく。
実際の騒動に同性として鼓舞されたテオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督は、理不尽な現状に甘んじてきた女性が、威圧的な刑事や暴徒と化す一団に挫けそうなりながらも、天性の機知を発揮し溌剌と変貌を遂げる軌跡を、同調圧力に屈しやすい社会を皮肉るユーモアも利かせて活写。個々の思いが交錯する波乱の一日をとおして、信仰、性差別、就職難や世代間ギャップなど、あらゆる衝突の火種になる課題を浮き彫りにし、ベルリン国際映画祭では2冠に輝いた。(映画評論家 服部香穂里)

女性は若く美しく、神は男性でなければならないのか?

この作品が発するふたつの問いは、根源を同じくしている。まずは、一神教における男性優位主義への疑問。ペトルーニャは1月19日の神現祭で、川に投じられた十字架を手にしたことで責められ、十字架を返却するよう求められる。母親にまで「お前は娘ではない」と掴みかかられ、ペトルーニャはショックを受けるが、警察署長や司祭の不躾で論理性を欠いたことばに対し、説得力ある反論を繰り出す。手にした者に幸運をもたらすとされる十字架を、女性は所有することすら許されない。では女性は、幸せになる権利はないというのか?そんなはずはない。
もうひとつは、女性を苛むルッキズムの否定である。ペトルーニャは冒頭、就職面接で屈辱的な扱いを受けるが、母親から面接に際して年齢を鯖読みするようしつこく言われ、激怒する。女性は若く美しくなければ価値がなく、結婚していなければ一人前ではない。さらに、長男を生まなければ尊敬されない。これは一神教が誕生した西アジアや、北マケドニアを含む東地中海世界を支配する価値観であり、一神教における男性優位主義も、ここに根差している。さらに、日本でもいまだに残る価値観である。ペトルーニャは現代を生きる女性すべての象徴。あなた自身でもあり私でもあるのだ。(菅瀬晶子)

映像から世界の“今”を考える 国立民族学博物館 菅瀬晶子

今日、予測もできなかったほどの災害や戦争が頻発し、わたしたちの生活を脅かしています。ニュースを追ううちに過去の災厄は忘れ去られ、その原因も苦しむ人びとのことも、忘れ去られてゆきます。しかしながら、災害も戦争も、過去何年にもわたる原因が蓄積された末に起こるものです。そのときどきを生きる人びとが、過去に起きたことをもとに“今”を見据え、より良い未来を築くよう努力すれば、防げるものはあるかもしれません。
みんぱくワールドシネマでは、既存の映画作品から“今”このときを考える一助となる映画を上映し、その内容にふさわしい研究者の解説を加えることで、さらに深く掘り下げて映画を観て考えることを目的としています。映画をとおして別の世界を知り、知を磨き、“今”にフォーカスしてみましょう。そこから未来は生まれます。

申込について

事前申込制(先着順)での開催となります。
代表者を含め2名まで申込可能です。

受付期間:2024年11月11日(月)10:00~2024年12月11日(水)16:00
※定員になり次第受付終了
※解説時に手話通訳が必要な方は、11月22日(金)までに申込いただき、その旨をお知らせください。

  • 予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
  • 事前申込の方へ、当日12:30から本館2階会場前にて展示観覧券を確認後、再入場券を配布します。
  • 受付期間内に定員に満たない場合のみ当日参加を受付けます。

申込方法

イベント予約サイトからのお申込み

イベント予約サイト 2024年11月11日(月)10:00~

電話での申込

2024年11月11日(月)10:00~
次の必要事項をお知らせください。

① イベント名「12月14日みんぱく映画会」
② 参加人数(代表者含め2名まで)
③ 氏名(漢字、フリガナ)
④ 連絡先(固定電話/携帯電話/メールアドレス いずれか)
※③、④は代表者のみ
 
【申込先】
企画課博物館事業係イベント予約受付
Tel:06-6878-8210(土日祝を除く10:00~16:00)

お問い合わせ

国立民族学博物館 企画課 博物館事業係
TEL:06-6878-8210(土日祝を除く9:00~16:00)