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よくある質問(2023年3月以前)

国立民族学博物館と総合研究大学院大学とはどういう関係ですか?

 総合研究大学院大学(総研大)は、国立極地研究所や国立天文台など、日本が世界に誇るトップレベルの19の国立研究機関と連係して教育研究をおこなう、学部をもたない国立の大学院大学です。1989年、国立民族学博物館(みんぱく)に、総研大文化科学研究科地域文化学専攻・比較文化学専攻という博士後期課程の二専攻が設置されました。大学本部は神奈川県葉山町にありますが、実際の教育活動はみんぱくの研究者がみんぱくの施設や所蔵資料を活用しておこないます。

国立民族学博物館の大学院教育は、学部をもつ大学院の教育と比べてどんな特徴がありますか?

 一番大きな特徴として、教員数が学生数を上回るという、他大学にはない恵まれた教育環境があげられます。教員・学生の比率はおおよそ3対2であるため、学生一人一人の資質やニーズに合わせた、きめの細かい指導が可能です。また両専攻の教員は各分野の第一線で活躍する研究者であるため、最新の研究動向に基づいた指導を行うことができます。さらに、民博が所蔵する豊富な研究資料(文献図書67万点、標本34万2千点、映像音響7万点など)へのアクセスが可能になることや、館が主催する数多くの共同研究会・シンポジウムへの参加を通して、国内外の優秀な研究者との交流が容易になることも、両専攻の院生にとって大きな特典です。

国立民族学博物館に地域文化学専攻と比較文化学専攻の二専攻がありますが、これらはどのようにちがいますか?

 二専攻の違いについては、専攻の概要をご覧ください。ただし、地域と比較のいずれに比重を置くかにより二専攻に別れているものの、共にフィールドワークを研究の根幹においているため、共通する部分も多く、密接な相互交流があります。また、専攻間に指導上の棲み分けはなく、院生がどちらの専攻に所属していても、両専攻に所属する教員の指導を受けることができるというメリットがあります。

地域文化学専攻と比較文化学専攻で学ぶことができるのは、文化人類学・民族学だけでしょうか?

 そんなことはありません。両専攻には、考古学、民俗学、建築学、情報学、言語学、音楽学、博物館学、保存科学など幅広い分野を専門とする教員がそろっているので、それらの分野でも研究を行うことができます。また、教員の陣容は年度によって変化することがあるので、希望研究内容と当専攻の教育体制との整合性について不明な点がある方は、前もって専攻長にご相談ください。

受験する前に希望する指導教員をかならず決めておく必要がありますか?

 必要条件ではありませんが、強くお勧めします。また、受験を申請する前に希望指導教員に連絡を取れば、入学後の研究の見通しを立てる一助となるでしょう。

研究支援制度にはどんなものがありますか?

 研究に関連する様々な業務を行いながら給与を得ることができる「リサーチ・アシスタント(RA)制度」や、学会における発表やフィールドワークに対して支援をおこなう「学生派遣事業」があります。学内の奨学金制度はありませんが、外部研究資金調達のための申請書の書き方などについても指導を行っています。

長期の現地調査をするときには、授業料が免除されますか?

 長期フィールドワークを行う期間中は、休学が認められています。在学中に支払う授業料の総額が減額されるわけではありませんが、フィールドワークを行う学期中に授業料を払う必要はありません。

できるだけ早く学位を取得したいのですが、3年で取得するのは難しいでしょうか?

 フィールドワークを研究の中心に据えている研究分野であるため、3年間で学位を取得するのは容易ではありません。早い取得が望ましいことは言うまでもありませんが、学問の進展に寄与できる質の高い研究成果を上げ、最終学位である博士号に相応しい研究能力を養うことがより重要であり、この点に留意した指導が行われています。

学部や修士課程で文化人類学・民族学を専攻しなかったのですが、地域文化学専攻や比較文化学専攻を受験することはできますか?

 大学などで正規に文化人類学・民族学を学んだ経験がなくても受験することは可能です。しかし、入学後に志望研究が遂行可能であるか見通しをつけるためにも、関連図書などを精読し、少なくとも人類学やフィールドワークに関する基本的な考え方について理解しておいたほうがよいでしょう。この作業は、何をするために当専攻を受験するのかを整理するためにも役立つはずです。

地域文化学専攻と比較文化学専攻は、どのような教育指導体制をとっていますか?

 個別指導と共同指導を組み合わせたユニークな指導体制を採用しています。各院生には正副2名の指導教員が指名され、入学から学位取得まで、これらの教員が中心となって日常的な指導をおこないますが、閉鎖的になりがちな講座制の弊害を防ぐため、ゼミ発表に共同指導体制を取り入れています。ゼミ(1年生ゼミ、論文ゼミ)には各4名の担当教員が配置され、研究の内容だけでなく発表の方法などに関する指導をおこないます。担当委員以外の教員にもゼミへの参加を求めることができ、また基本的に専攻長もゼミに出席するため、正副の指導教員を含めると10人前後の教員からコメントを得ることができる体制が整えられています。このように、数多くの研究者から指導を受けられる点が、共同指導体制の大きなメリットであり、また総研大が目指す「広い視野の養成」という大目的の達成にも寄与するものです。

地域文化学専攻と比較文化学専攻に入学すると、かならず長期の現地調査をしなければなりませんか? また、国内での現地調査も可能でしょうか?

 実際には長期のフィールドワークを行う学生が多いのですが、研究の目的や内容によっては独自のフィールドワークの形を決めていくことも可能です。たとえば、継続した長期調査のかわりに短期の調査を繰り返しおこなうことで調査可能なテーマも存在します。また、調査対象は海外だけではありません。これまでにも数多く卒業生が、国内のフィ-ルドワークに基づいた博士論文を完成させています。

受験する前に調査予定地域の現地語を習得している必要がありますか?

 入学時にフィールドの言語を習得していることは望ましいのですが、受験の必要条件ではありません。入学前の習得が難しい言語が存在するだけでなく、それまでに習得した言語以外の地域に研究を広げる必要がある場合もあるからです。特に、現地でのみ習得可能な言語に関しては、フィールドワークをしながら徐々に身に付けていくこともあります。

修士課程ですでに現地調査をはじめているのですが、入学後すぐに長期の現地調査をすることは可能ですか?

 原則として、初年度は、長期フィールドワークを行うための準備期間にあてられています。フィールドワークは、単に現地に行けば遂行できるものではありません。また、修士課程でフィールドワークをすでに行っている場合でも、博士論文執筆のための調査では、求められる調査の質に大きな差があることが多いのです。入学後の一年間は、教員の指導のもと、調査計画の実現性・妥当性などについて、それまでの自己の研究成果や先行研究との関連に留意しながら検討します。年度末には、フィールドワークに向けたリサーチプロポーザルに関する発表を行い、計画をより実現性の高いものへと練っていきます。