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令和4年度文化資源プロジェクト一覧

調査・収集

▶ 特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」で展示する骸骨人形の収集:鈴木紀

令和5年(2023年)3月9日から5月30日まで開催予定の特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」で展示する資料として骸骨人形を国内で収集する。本来ならば令和3年度以前に収集すべきであったが、新型コロナウイルスが日本およびメキシコで蔓延し、それが実現できなかったため、例外的に特別展示開催年度である令和4年度に収集をおこなう。

▶ ヒンドゥー教の宗教的実践に関する標本資料の収集:三尾稔

令和5年(2023年)度秋に開催を予定している本館の特別展示(「交感する神と人―ヒンドゥー神像の世界」)に必要な資料のうち、本館で所蔵しておらず、かつ他の博物館や研究機関等にも所蔵がなく借用困難な資料を、インドおよびネパールで収集した。収集された資料は、神像として現れる神がみと人びととの交流のあり方を具体的に示す資料およびヒンドゥー神像の多様性を示す資料であり、本プロジェクトの成果は上記特別展のほか南アジア展示の改修等を通じて公開する予定である。

▶ 北アメリカ北西海岸バンクーバー島のクワクワカワクゥの儀礼用仮面「サン・マスク」の収集:岸上伸啓

カナダ国ブリティッシュコロンビア州バンクーバー島キャンベル・リバー在住のクワクワクァクゥ民族のアーティストBill Henderson氏に儀礼用仮面「サン・マスク」の制作を依頼し、その完成品を収集した。

▶ 特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」で展示する死者の日の祭壇の装飾品の収集:鈴木紀

令和5年(2023年)3月9日から5月30日まで開催予定の特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」で展示する資料として死者の日の祭壇の装飾品を国内で収集する。本来ならば令和3年度以前に収集すべきであったが、新型コロナウイルスが日本およびメキシコで蔓延し、それが実現できなかったため、例外的に特別展示開催年度である令和4年度に収集をおこなう。

▶ 飛行機燃料補助タンクを用いて製作した「タンク船」の収集:飯田卓

1940年代後半から1950年代にかけて沖縄本島北部で普及したタンク船を収集する。タンク船とは、使用済みの飛行機(大多数は米軍用機)の補助燃料タンクをボートに仕立てなおしたものである。

展示

▶ 日本モンゴル国交樹立50周年記念特別展「邂逅する写真たち―モンゴルの100年前と今」:島村一平

およそ100年前、多くの探検家たちがモンゴルで多くの写真を撮影し現在に伝えている。一方、研究者はもちろん現代のモンゴルの写真家たちも自らの社会を見つめ、写真で表現するようになった。100年前の欧米の探検家たちが残したモンゴルに対するまなざしと現代モンゴル人の自らの社会に対するまなざし。本展示は、こうした写真をめぐる100年の時空を越えた邂逅をテーマに展示するものである。過去と現在の違いのみならず、まなざす者の違いによって、どのような世界が描かれているのかを、比較しながら展示していく。

▶ 特別展「Homō loquēns 「しゃべるヒト」~ことばの不思議を科学する~」:菊澤律子

2022年9月1日~11月23日に、特別展「Homō loquēns 「しゃべるヒト」~ことばの不思議を科学する~」を開催した。言語関連の諸分野、なかでも記述言語学、歴史言語学、認知言語学、言語進化学、言語工学等の国内研究団体共同の研究成果公開の場として人間言語の生成過程と特徴を展示した。また、手話言語と音声言語という二種類の人間の言語をとりあげ、これらが共通して持つ、人間の生物的基盤と認知能力に立脚する「言語」の本質と、視覚や聴覚という伝達方法の違いから生まれる違いを、展示を通して明らかにした。

▶ 特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」(仮題):鈴木紀

令和5年3月9日から5月30日までラテンアメリカの文化に関する特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」を開催する。そのための企画、収集、設計、施工、広報、会場管理、関連事業の企画運営等を3年計画で行う。民衆芸術(スペイン語、ポルトガル語のarte popular)とは手工芸品の美的価値を強調する文脈で用いられる概念であり、歴史的に多様な文化が混淆してきたラテンアメリカ地域では、さまざまな民衆芸術が存在する。特別展では、主に国立民族学博物館が収蔵する資料を活用し、ラテンアメリカの民衆芸術の多様性を描く。

▶ 企画展「 焼畑 ――佐々木高明の見た五木村、そして世界へ」:池谷和信

本館の元館長・佐々木高明は、焼畑研究の第一人者として知られている。これまで、本館では、佐々木の撮影した写真を整理してデータベースとして公開してきた。同時に、佐々木の研究の出発点となった熊本県五木村にて氏の撮影した写真を紹介することから、現地の方々との研究交流会(2019年11月)および共催展示(2020年10月3日~12月13日)を進めてきた。そこで、本展示では、国立民族学博物館・五木村ヒストリアテラス五木谷との共同開催において、氏の撮影した五木村での焼畑の写真や道具を中心にして国内外での焼畑文化を紹介することが目的である。同時に本展示は、五木村の事例から日本(九州、四国、北陸、東北ほか)や世界(台湾・東南アジア・南アジア・アフリカ・アマゾンほか)における食と農の未来を考える試みでもある。

▶ 企画展「海のくらしアート展―東南アジア・オセアニアの物質文化」(仮称):小野林太郎

本企画展では、日本ではあまり知られていない東南アジアやオセアニアの島々における海を越えて人類が移動した歴史や海を舞台にした暮らしについて紹介した。とくにカヌーや漁具、捕獲される魚や海洋生物たちといった具体的なモノとその魅力やその美・アート面を、同じ島世界である日本の海文化との共通性や歴史性を示しつつ、比較の視点も踏まえて、豊富な映像資料とあわせて紹介する展示事業となった。

▶ 巡回展「驚異と怪異–世界の幻獣たち」(仮)(高知県立歴史民俗資料館):山中由里子

ヨーロッパや中東においては、犬頭人、一角獣といった不可思議ではあるが実在するかもしれない「驚異」は、自然誌の知識の一部として伝えられた。また、東アジアにおいては、奇怪な現象や異様な物体を説明しようとする心の動きが、「怪異」を生み出した。本展示では、常識や慣習から逸脱した「異」なるもの(異境・異人・異類)をめぐる人間の心理と想像力の働き、言説と視覚表象物の関係を解明するとともに、人間の想像力と環境の相関関係を究明する。
具体的には、人魚、龍、河童、天狗、狼男など、この世のキワにいるかもしれないと信じられていた驚異や怪異にまつわる絵画、書籍、民族資料などを展示し、さらに現代の幻獣観光と商品化、漫画家によるクリーチャー制作も紹介する。
巡回展では、ローカルな民俗資料を追加し、地域文化との関連も示す。

▶ 巡回展「驚異と怪異–想像界の生きものたち」(福岡市博物館):山中由里子

本展は、令和元年に国立民族学博物館で開催された特別展「驚異と怪異」の一部を巡回するもので、民博の民族資料を中心に、独自に借用する資料や、ローカルな民俗資料も追加する。人魚、龍、怪鳥など世界と日本のさまざまな幻獣や怪物たちを紹介して、人間の想像力の面白さに迫る。

▶ 巡回展「ビーズ―つなぐ・かざる・みせる」(石川県七尾美術館):池谷和信

本プロジェクトでは、民博所蔵の標本資料を中心に活用して、世界における多様な素材で作られたビーズや社会的役割を持つビーズを展示する。そして、これらをとおして、私たち人類ホモ・サピエンスの文化の特質を理解する機会にする。つまり今回の展示は、特定の地域の文化に焦点を当てたものではなく、地球上に普遍的にみられるビーズというものをとおして、「人類とは何か」という人類学の基本課題を正面から追求するものであった。また、今回の展示では、2017年に開催された特別展示・ビーズの構成を踏襲しながら、石川県内のビーズ文化の特徴がみえる内容となった。

▶ 巡回展「ビーズ―つなぐ・かざる・みせる」(東京都渋谷区立松濤美術館):池谷和信

本展示では、民博所蔵の標本資料を中心に活用して、世界における多様な素材で作られたビーズや社会的役割を持つビーズを展示する。そして、これらをとおして、私たち人類ホモ・サピエンスの文化の特質を理解する機会にする。つまり今回の展示は、特定の地域の文化に焦点を当てたものではなく、地球上に普遍的にみられるビーズというものをとおして、「人類とは何か」という人類学の基本課題を正面から追求するものであった。また、今回の展示では、2017年に開催された特別展示・ビーズの構成を踏襲しながら、ヨルバのビーズ職人(ナイジェリア)の映像などをとおして都市圏のビーズ文化の特徴をみることができた。

▶ 巡回展「ユニバーサル・ミュージアム――さわる!“触”の大博覧会」(岡山・KURUN HALL):廣瀬浩二郎

2022年10月より巡回展開催に向けて岡山放送の担当者と打合せを開始。12月初めに本館と岡山放送とのあいだで協約書を締結。12月中旬から下旬にかけて各出展作家と交渉し、出展作品を決定。2023年1月より関連イベントの企画、チラシ作成の具体的な打合せを始める。2023年3月31日、内覧会実施。

▶ 特別展示「ヒンドゥー神像の世界」(仮題)の準備:三尾稔

令和5年(2023年)度秋に開催を予定している本館の特別展示に向け、文化資源共同研究員やプロジェクト協力者とのあいだで展示予定資料の選定と考証、また選定資料の展示シミュレーションに基づいた具体的な展示図面の検討を行った。
さらに図録の編集や特別展関連イベントの立案、検討作業にも着手し、それぞれの準備を進めた。

▶ 特別展示「吟遊詩人の世界」(仮題)の予備調査:川瀬慈

令和6年(2024年)度秋に開催予定の本館特別展示『吟遊詩人の世界』(仮)に向け、研究会合を開催し、本プロジェクトの文化資源共同研究員と協議を重ね、本展示のコンセプトの深化をはかった。同時に、各研究員が担当する展示セクションの内容、それらに必要な資料候補の選定を進めた。さらに、令和5年(2023年)度に行う、本特別展示に関わる海外での資料収集にむけ、具体的な計画をたてた。

▶ 企画展示「北アメリカ北西海岸先住民の文化」(仮題)の準備:岸上伸啓

平成4年度は、国内外の研究者やカナダ北西海岸先住民の関係者と連携して、企画展示「北アメリカ北西海岸地域の先住民文化」(仮題)の準備を行った。国内外の研究者およびカナダのバンクーバー島およびハイダ・グワイの先住民アーティストや先住民学芸員らと展示構想について検討し、展示案を策定するとともに、民博収蔵の資料を熟覧し、展示資料の選定を行った。また、展示図面案を作成した。

▶ 企画展示「水俣病を伝える」(仮題)の準備:平井京之介

令和6(2024)年春に開催を予定している本館の企画展示に向けて、共同研究員およびプロジェクト協力者と、展示構想や展示資料を検討するなどの準備を行った。また、別途提案により、漁具や生活用具など現地において26点の資料収集を実施するとともに、展示で使用する目的で4名のインタビュー映像撮影を実施した。さらには、企画展示開催中の関連イベントの立案に着手した。

▶ 企画展「客家と日本」(仮題)の準備:奈良雅史

華僑華人の一系統である客家は、中国南部や東南アジアをはじめとする世界各地に居住しているが、その一部が日本に居住することはあまり知られていない。日本と客家の交流の歴史は約一世紀半に及ぶ。清朝が派遣した初代中国大使とその書記官をはじめ、19世紀後半から20世紀前半に中国広東省や台湾から移住した人々のなかで客家は重要な役割を演じ、戦後は一部の客家が日本に滞在して客家団体を結成した。日本の華僑華人社会において客家は少数であるが、商業界、医療界、芸能界などで活躍する人々も少なくない。本企画は、客家というエスニック集団の活動を通して、日本‐中国大陸‐台湾関係史の一側面を描き出す。

社会連携(研究開発)

▶ 知的障害者の博物館活用に関する実践的研究:信田敏宏

知的障害者を対象とした試行的ワークショップ「みんぱくSama-Sama塾」および支援学校見学プログラムを開催した。知的障害者にとっても分かりやすく、楽しめる博物館の活用モデルを目指し、知的障害者が博物館を活用する際に必要とされる支援や改善点などを検討しながら実施した。