アフリカ展示
人類誕生の地とされるアフリカは、常に外部世界と結びつきながら変化を重ねてきました。私たちが、現在目にするアフリカ大陸の中の、文化や言語の多様性は、そうした変化の結果にほかなりません。新しいアフリカの展示では、人びとの「歴史を掘り起こす」営みに目を向けるとともに、現在のアフリカに生きる人びとの生活のありさまを、「都市に集う」「働く」「装う」「祈る」という4つの側面に分けて紹介します。この展示が、私たちと同時代に生きるアフリカの人びとへの共感を育むものであることを願っています。
展示セクション
●歴史を掘り起こす ●都市に集う ●働く
●装う ●祈る
主な展示品紹介
岩塩
- 地域:モポチ 国名:マリ
サハラ以南のアフリカで国家が成立したのは、7世紀以降のことである。西アフリカでは、ラクダによるサハラ縦断交易と結びついて商業と農業が発達し、強大な国家がいくつも成立した。岩塩は、昔も今も、サハラにおける重要な交易品となっている。
カフェテラス
- 地域:アビジャン コートジボアール
ビールやコーラを飲みながら軽い食事もできる路地裏のカフェテラス。さまざまな話題が飛び交うそこは、都市の暮らしに欠かせない憩いの場だ。
働く 「墓標を刻む」
- ジャック=ジャン・エフィアインベル(民族:マハファリ 国名:マダガスカル)
「マダガスカルでも南部の金持ちは、人やウシの彫刻を墓に建てるんだ。わしの父は、ウシ1頭とひきかえに彫刻を作って暮らしてきた。わしの彫刻は、海外でも高く評価されているので、ウシ1頭よりも高いよ。」
「働く」のコーナーでは、アフリカに生きる一人一人の個人に焦点を当て、それぞれの人物の自身の仕事への思いをメッセージとともに紹介している。
バミレケの衣装
- 民族:バミレケ
- 国名:カメルーン
自ら布を織りあげる技術をもたなかったバミレケの人びとは、ハウサの人びとのイスラームの衣装をヒントに、交易で得た布や糸で刺繍をほどこし、華麗な宮廷儀礼用の衣装を生み出した。
ヨルバのビーズ人形
- 民族:ヨルバ
- 国名:ナイジェリア
ビーズというと装飾品としてのイメージが強い。しかし、アフリカの社会の多くでは、ビーズは、儀礼や富の象徴、社会的威信や民族のアイデンティティにかかわるものとして重要な役割を果たしてきた。ここにあるヨルバの首長をかたどったビーズ製の人像もそうした造形のひとつである。
ニャウとニャウ・ヨレンバ
- 民族:チェワ
- 国名:ザンビア
現在のアフリカでは、イスラームやキリスト教が急速に人びとのあいだに広がっているが、伝統的な仮面の儀礼は、そうした動きの中でも、各地で活発に展開されている。展示されているのは、ザンビア、チェワの人びとの社会にみられるニャウの仮面の数かず。葬送儀礼に登場し、死者の霊を祖先の世界に送り届ける役割をになう。