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中東・イスラーム世界への30の扉

館外での出版物

2021年7月刊行

西尾哲夫(編著)・東長靖(編著)

ミネルヴァ書房
【現代中東地域研究成果】

出版物情報

主題・内容

中東・イスラームは日本から遠い別世界なのだろうか?「歴史」「宗教・社会」「経済・産業」「政治」「文化・精神」の30のトピックから現代中東・イスラーム世界をひもとく。日本と“世界”の見え方が変わる一冊。

おすすめのポイント、読者へのメッセージ

◎人間文化研究機構の「現代中東地域研究」プロジェクトによる最新の成果を取り込みつつ、中東・イスラーム世界の今を、分かりやすく解き明かす。
◎現地の人びととの協働による研究成果として、ベテランや中堅の研究者だけでなく、若手研究者の斬新な視点による研究成果も発信する。
◎現代世界で問題になっているイシュー群に対する中東・イスラーム世界の見方を提供し、オルタナティヴを提示する。
◎全体を30章とし、1回2章ずつ、もしくは章を抜粋して講義に用いることができ、大学の教科書としても最適。
◎多彩なコラムを楽しめる。

目次

はじめに

第Ⅰ部 歴史の扉――日本と中東の往還

  1. 近代日本の中東発見――扉を開いた幕末・明治の先人たち
  2. 近代日本と資源外交――ミイラ取りから石油まで
  3. 戦前日本の中東表象――福沢諭吉から大東亜共栄圏まで
     コラム1 翻訳『コーラン経』から「日本色のイスラーム」まで

  4. 迷子のバラの物語――近現代日本の陶磁器輸出と中東
     コラム2 戦前日本に中東の美術を紹介した展覧会

  5. グローバルスポーツとしての武道――カラテからエジプト社会を考える
     コラム3 アルジェリアで広がる日本式マンガ創作

  6. 「グローバルご近所」の誕生――大塚モスクの支援活動とネットワーク

第Ⅱ部 宗教・社会の扉――つながりと公共圏

  1. 公共空間としての新たな部族社会――ヨルダンのディーワーンをめぐって
  2. 聖なる血筋の効力――インドネシアの預言者一族
     コラム4 俗人説教師の作り出す信仰のつながり

  3. 名前のないアラブ人――フランスの北アフリカ移民
  4. メディアでつながる人びと――共同体意識の変容
  5. 母語でも外国語でもない言葉――アラブ人とフランス語
     コラム5 出稼ぎ――故郷との、故郷を通した人のつながり

  6. 世界は神とつながるモノにあふれている――マテリアリティとイスラーム
     コラム6 ダマスのタクシーと猫の話――生まれ変わりを信じる人々

第Ⅲ部 経済・産業の扉――石油の先にあるもの

  1. 資源をめぐる共生――雨乞い儀礼と聖者命日祭から考える
     コラム7 銀製から金製へ――女性用装身具の現在

  2. 変貌するオアシス農業――市場経済とナツメヤシの品種多様性をめぐって
  3. 石油を輸入する産油国?――新時代を迎える中東とエネルギー問題
     コラム8 エネルギー資源企業のCSR――サウジアラビアの沙漠文化をめぐる協働

  4. 宗教がツーリズムと出会うとき――観光資源化する宗教遺産
     コラム9 変わるモロッコの「博物館」

  5. 変わるハラール――食の安全と産業化の先で
  6. 新しい経済を構想する――ポスト資本主義とイスラーム

第Ⅳ部 政治の扉――現代中東・イスラーム世界を知るために

  1. 制度の裏に潜むもの――多様な選挙と政党
     コラム10 君主制とイスラーム

  2. イスラーム過激派は、いかに勃興したか――政治変動とテロのあいだで
  3. 聖地の紛争とは何か――エルサレムをめぐる政治と宗教
  4. 紛争の断面図――宗派対立の虚像と実像
     コラム11 「アラブの春」と不安定化の拡散

  5. 難民危機を振り返る――シリアの変貌と海を渡った人びと
  6. 「民主的」な中東を目指して――イスラームと民主主義
     コラム12 アラブ諸国民主化への道

第Ⅴ部 文化・精神の扉――イスラームからみる現代社会

  1. 差異とともに生きる――イスラームにみる共生の知恵
     コラム13 社会への奉仕者としてのスーフィー

  2. 現代医学に挑戦するイスラーム法――生命倫理と信仰
     コラム14 法と法律の間――イスラーム社会の風紀取り締まり

  3. 子のない人生を歩む――不妊治療ともうひとつの夫婦のかたち
  4. 格差是正の処方箋――定めの喜捨ザカートの発展
     コラム15 イスラーム協力機構の役割

  5. 障害と支援――イラン・イスラーム共和国の脊髄損傷者をめぐって
  6. 響きあう異なる声――多言語世界のアイデンティティ

終 なぜ日本で中東地域を研究するのか?

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