中東・イスラーム世界への30の扉
館外での出版物
出版物情報
- 出版社:ミネルヴァ書房 出版社ホームページはこちら
- 定価:2,970円(税込)
- ISBN:978-4-623-09178-2
- 判型:四六判
- 頁数:365頁
- 人間文化研究機構・ネットワーク型基幹研究プロジェクト「現代中東地域研究」成果
主題・内容
中東・イスラームは日本から遠い別世界なのだろうか?「歴史」「宗教・社会」「経済・産業」「政治」「文化・精神」の30のトピックから現代中東・イスラーム世界をひもとく。日本と“世界”の見え方が変わる一冊。
おすすめのポイント、読者へのメッセージ
◎人間文化研究機構の「現代中東地域研究」プロジェクトによる最新の成果を取り込みつつ、中東・イスラーム世界の今を、分かりやすく解き明かす。
◎現地の人びととの協働による研究成果として、ベテランや中堅の研究者だけでなく、若手研究者の斬新な視点による研究成果も発信する。
◎現代世界で問題になっているイシュー群に対する中東・イスラーム世界の見方を提供し、オルタナティヴを提示する。
◎全体を30章とし、1回2章ずつ、もしくは章を抜粋して講義に用いることができ、大学の教科書としても最適。
◎多彩なコラムを楽しめる。
目次
はじめに
第Ⅰ部 歴史の扉――日本と中東の往還
- 近代日本の中東発見――扉を開いた幕末・明治の先人たち
- 近代日本と資源外交――ミイラ取りから石油まで
- 戦前日本の中東表象――福沢諭吉から大東亜共栄圏まで
コラム1 翻訳『コーラン経』から「日本色のイスラーム」まで - 迷子のバラの物語――近現代日本の陶磁器輸出と中東
コラム2 戦前日本に中東の美術を紹介した展覧会 - グローバルスポーツとしての武道――カラテからエジプト社会を考える
コラム3 アルジェリアで広がる日本式マンガ創作 - 「グローバルご近所」の誕生――大塚モスクの支援活動とネットワーク
第Ⅱ部 宗教・社会の扉――つながりと公共圏
- 公共空間としての新たな部族社会――ヨルダンのディーワーンをめぐって
- 聖なる血筋の効力――インドネシアの預言者一族
コラム4 俗人説教師の作り出す信仰のつながり - 名前のないアラブ人――フランスの北アフリカ移民
- メディアでつながる人びと――共同体意識の変容
- 母語でも外国語でもない言葉――アラブ人とフランス語
コラム5 出稼ぎ――故郷との、故郷を通した人のつながり - 世界は神とつながるモノにあふれている――マテリアリティとイスラーム
コラム6 ダマスのタクシーと猫の話――生まれ変わりを信じる人々
第Ⅲ部 経済・産業の扉――石油の先にあるもの
- 資源をめぐる共生――雨乞い儀礼と聖者命日祭から考える
コラム7 銀製から金製へ――女性用装身具の現在 - 変貌するオアシス農業――市場経済とナツメヤシの品種多様性をめぐって
- 石油を輸入する産油国?――新時代を迎える中東とエネルギー問題
コラム8 エネルギー資源企業のCSR――サウジアラビアの沙漠文化をめぐる協働 - 宗教がツーリズムと出会うとき――観光資源化する宗教遺産
コラム9 変わるモロッコの「博物館」 - 変わるハラール――食の安全と産業化の先で
- 新しい経済を構想する――ポスト資本主義とイスラーム
第Ⅳ部 政治の扉――現代中東・イスラーム世界を知るために
- 制度の裏に潜むもの――多様な選挙と政党
コラム10 君主制とイスラーム - イスラーム過激派は、いかに勃興したか――政治変動とテロのあいだで
- 聖地の紛争とは何か――エルサレムをめぐる政治と宗教
- 紛争の断面図――宗派対立の虚像と実像
コラム11 「アラブの春」と不安定化の拡散 - 難民危機を振り返る――シリアの変貌と海を渡った人びと
- 「民主的」な中東を目指して――イスラームと民主主義
コラム12 アラブ諸国民主化への道
第Ⅴ部 文化・精神の扉――イスラームからみる現代社会
- 差異とともに生きる――イスラームにみる共生の知恵
コラム13 社会への奉仕者としてのスーフィー - 現代医学に挑戦するイスラーム法――生命倫理と信仰
コラム14 法と法律の間――イスラーム社会の風紀取り締まり - 子のない人生を歩む――不妊治療ともうひとつの夫婦のかたち
- 格差是正の処方箋――定めの喜捨ザカートの発展
コラム15 イスラーム協力機構の役割 - 障害と支援――イラン・イスラーム共和国の脊髄損傷者をめぐって
- 響きあう異なる声――多言語世界のアイデンティティ
終 なぜ日本で中東地域を研究するのか?
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