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躍動するインド世界の布

館外での出版物

2021年10月刊行

上羽陽子 編・金谷美和 編

昭和堂
【南アジア地域研究国立民族学博物館拠点(MINDAS)研究成果】

出版物情報

主題・内容

女性が身に纏うサリー、男性が頭に巻くターバン。布は身につけるだけではない。
インド世界の布は、場をくぎり、人をつなぎ、神と人の媒介となり、政治をうごかし、グローバル経済をうみだす。インド社会をつくりだしている人びとの営みを多彩な布から迫る一冊。

おすすめのポイント、読者へのメッセージ

  • 本書は、衣装だけではなく、人生儀礼における贈与品や神がみへの奉納品、社会運動でのシンボルとしての布に着目し、インド世界における布の機能や役割を理解する枠組みを提示しています。
  • インドを中心とした南アジア地域の第一線の研究者によって、一般の方にもわかりやすい文章と写真で専門的な内容を紹介している。
  • 豊かで多様な世界を、カラー写真を豊富に用いて生き生きと描き出しています。

目次

はじめに――躍動する布(上羽陽子)

第1部 場をくぎり、人をつなぐ布
吉を招きいれる――戸口飾りトーラン(福内千絵)
絞り染めの婚礼衣装――花嫁に贈る布(金谷美和)
関係を更新する――ラージャスターンのターバン(三尾稔)
輪廻転生する布――古着のフローがむすぶ世界(岩谷彩子)
空間を一変させる「布建築」――バンクラデシュのトロン(五十嵐理奈)
男性と女性の領域――イスラームのヴェール(金谷美和)
コラム 着るだけではない布――一枚布の多様な使途(金谷美和)
コラム カーストとは何か(田辺明生)

第2部 神にとどく布
聖と俗――染色布で女神寺院をつくる(上羽陽子)
神と出会うために――礼拝儀礼布ピチュワーイー(豊山亜希)
神に捧げるキラキラ布――石版画の絵姿をめぐって(福内千絵)
墓廟にかぶせる布――ダルガー・チャーダル(鈴木英明)
女神の霊力――奉納されるシルク・サリー(杉本星子)
願いをたなびかせる――ブータンの祈りの旗(宮本万里)
コラム 色からみたインド世界(岩谷彩子)
コラム 交錯する宗教文化(三尾稔)

第3部 政治をうごかす布
民族独立運動をつなげる――手紡ぎ手織り布カーディー(豊山亜希)
モーディー首相、サリーになる(杉本星子)
国民形成の象徴――インド独立にみる国旗(豊山亜希)
政治とスローガン――バングラデシュの横断幕(五十嵐理奈)
ナショナリズムの表象――ネパールの織布ダカ(高道由子)
ナラティブ・テキスタイル――刺繍であらわす被災経験の語り(金谷美和)
コラム イギリスのインド植民地支配(豊山亜希)

第4部 布がうみだすグローバル経済
世界を魅力したファッション・アイテム――バンダナの誕生(金谷美和)
アフリカを彩るインド産プリント布カンガ(鈴木英明)
変容する舞踊衣装――擬態するカールベーリヤー(岩谷彩子)
インドの古典から世界の古典へ――バラタナーティアムの衣装(杉本星子)
意匠転用――布から陶器へ(豊山亜希)
産業革命のひきがね――色落ちしない多色染めへの憧憬(上羽陽子)
東西交易による技術移転――パールシー商人と刺繍サリー(杉本星子)
フェアトレードの先駆け――ノクシ・カンタ(五十嵐理奈)
コラム 素材の宝箱(上羽陽子)

インド世界を読み解く ブックガイド

おわりに――布からインド社会をみる(金谷美和)

■執筆者紹介(五十音順/所属・職位は刊行時)
五十嵐理奈(福岡アジア美術館学芸員)
岩谷彩子(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)
上羽陽子(国立民族学博物館人類文明誌研究部准教授)
金谷美和(国際ファッション専門職大学国際ファッション学部准教授)
杉本星子(京都文教大学総合社会学部教授)
鈴木英明(国立民族学博物館グローバル現象研究部准教授)
高道由子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科大学院生)
田辺明生(東京大学大学院総合文化研究科教授)
豊山亜希(近畿大学国際学部准教授)
福内千絵(大阪芸術大学大学院芸術研究科非常勤講師)
三尾稔(国立民族学博物館グローバル現象研究部教授)
宮本万里(慶應義塾大学商学部准教授)