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民族誌資料とソースコミュニティの「再会」

ミンブレス遺跡から出土した土器の熟覧 北アリゾナ博物館 2017年10月

研究者 伊藤敦規 ITO Atsunori
研究分野 博物館人類学、米国先住民研究
研究地域
(調査地)
米国アリゾナ州ホピ保留地など

私の研究

21世紀に入り世界の人類学博物館は「Indigenization(資料が由来する文化的脈絡に配慮する試み)」に取り組んでいます。その先駆けである米国先住民ズニ博物館のジム・イノーテ元館長の教えに従いながら、私もソースコミュニティの人々を世界各地の人類学博物館に招聘・派遣して、資料との「再会」の機会を設けてきました。「再会」の結果、ソースコミュニティの人々は、多くの資料に作り手の思想または感情を創作的に表現した「著作物」的特徴を見出しました。熟覧の様子をデジタル映像アーカイブという形態の新たな協働民族誌としてまとめるとともに、「著作物」としての資料の画像をオンラインで公表する際のソースコミュニティに優しいモデル作りにも取り組んでいます。

研究公演のため民博を訪問したホピの人々
2012年3月

スミソニアン協会国立自然史博物館での熟覧
2017年12月

開発中のデジタル映像アーカイブ

一緒に研究している人:ラムソン・ロマテワイマ ホピの吹きガラス作家・宗教指導者

資料熟覧の目的は博物館のための情報提供だけではありません。将来この博物館を訪れ、この映像を見るかもしれない私たちの子孫のためにメッセージを残すことです。私たちホピの子孫に学んでもらうために自分たちの言葉で記録を残したいのです。私の孫のまたその孫が映像を通して私のことを少しでも知ってくれたら幸いです。(日本語訳)

“I came here not only to help identifying their collections but also to try and leave something for future generations that they could come and learn about our culture and our history. When my grandchildren have their own grandchildren, then they will be able to see me and know a little bit about who I am, and what I’m trying to help them in keeping their culture.” (Ramson Lomatewama, a Hopi blown-glass artist and a religious leader)