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人間にとって鳥とは何か

漁が終了し、カワウを止まり木に戻す鵜飼い漁師
中国江西省鄱陽湖 2008年7月

研究者 卯田宗平 Uda Shuhei
研究分野 生態人類学、環境民俗学
研究地域
(調査地)
日本列島、中国大陸、バルカン半島

私の研究

わたしは人と動物とのかかわりを人類学的に研究しています。とくに注目しているのは鳥です。鳥は世界中で一万種ほど確認されています。その分布域はたいへん広く、世界各地でみることができます。私たち人類も鳥と同様に分布域が広く、各地で多様な鳥たちと深くかかわりながら生きてきました。ときに、その肉を食べ、その声を愛で、その羽を身にまとい、その能力を利用して動物を捕ったりしてきました。また、霊魂を鳥に託して天上界に運んだり、鳥を悪魔の手先として敬遠したりもします。私たちにとって鳥とは何なのでしょうか。

漁の開始前に船の止まり木から放たれたカワウ
中国江西省

人工の環境下で孵化したウミウ
京都府宇治市

かつて鵜飼い漁がおこなわれていたドイラン湖。飛来してきたカワウとニシハイイロペリカン
北マケドニア共和国ドイラン湖

一緒に研究している人:宇治川の鵜匠 沢木万理子

京都府宇治市の宇治川で鵜飼の鵜匠をしています。日本の鵜飼は1300年以上の歴史があります。宇治川の鵜飼では2014年5月に日本の鵜飼史上で初めてウミウが産卵しました。その時からウミウの人工繁殖や飼育に関わる共同研究を続けています。当初、ウミウの人工繁殖は試行錯誤の繰り返しでした。こうしたなか、繁殖作業を記録し、分析を進めた結果、いまでは繁殖技術が安定した水準に達しました。今後は育てたウミウを利用した「放ち鵜飼」を実現させる予定です。このような一連の研究成果を連名で『日本民俗学』や『ビオストーリー』などの学術雑誌に論文として掲載しています。

I am a cormorant fisher at the Uji- River in Uji City, Kyoto Prefecture. In Japan, cormorant fishing, called Ukai, has been practiced for 1,300 years. In May 2014, cormorants laid eggs in the Uji- River in a raising house for the first time in Japanese history. Since then, we have been conducting joint research on artificial breeding and raising of cormorants. At first, artificial breeding of cormorants was a process of trial and error because no one had any experience. Under these circumstances, we recorded and analyzed each time through joint research. As a result, we now have a stable level of skills for artificial breeding. We are planning to perform Ukai using the cormorant we raised. These research results have been published in the academic journals of “Japanese Folklore” and “the Society of Biosophia Studies” under the joint projects. SAWAKI Mariko