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人類の海洋適応―ヒトはいつ魚を捕りだしたのか

インドネシア、マルク諸島の釣り漁 2010年8月撮影

研究者 小野林太郎 Ono Rintaro
研究分野 海洋考古学、東南アジア・オセアニア研究
研究地域
(調査地)
インドネシア、フィリピン、マレーシア、ミクロネシア、沖縄

私の研究

人類はいつ海に出会い、海洋環境に適応していったのか。私の研究はそんな疑問を人類史的な枠組みで考えるものです。遺跡から出土する魚骨や漁具の分析、海底遺跡の発掘調査といった海洋考古学の手法を用い、インドネシアなどの東南アジアやオセアニアの島々、日本では琉球列島などで研究をしています。インドネシアでは私たちサピエンスがいつ頃海を渡り、島々へと新たに移住し、新たな島しょ環境に適応していったのかを調べています。スラウェシ島の洞窟遺跡では、5メートル近い堆積層の下からも石器や動物の骨が出ており、その年代は4万年を超えそうです。色々な時代や地域の人と海の関係に迫れるのも、海洋考古学の醍醐味の一つ。沖縄では琉球王朝時代の沈没船を探しています。

マルロンさん(右から二番目)らと発掘後の一枚

ティモール島で出土した貝製釣り針
オーストラリア国立大学 オコナー博士 提供

沖縄・石垣島での海底遺跡調査
山本祐司 撮影

一緒に研究している人:国立インドネシア考古学研究センターマルロン・リリマセイ

私の名前はマルロン・リリマセイといい、国立インドネシア考古学研究センターに所属する考古学者です。私たちはこれまで東インドネシアのウォーレシアに位置する北マルク諸島やスラウェシ島で国際共同調査を実施してきました。その目的はこの過去における人類の海洋適応や島しょ適応の痕跡を見つけることです。最新の発掘調査では、東インドネシアで最古となるサピエンスの痕跡が見つかりました。私たちは小野さんとの共同研究がインドネシアや東南アジアにおける考古学に新たな知見を提供してきたことにとても感謝しています。またこれまでの成果がさらに今後のインドネシアや日本における科学や文化的関係の発展にも貢献するものと期待しています。(日本語訳)

My name is Marlon Ririmasse and I am an Indonesian Archaeologist at the National Research Center for Archaeology. We have conducted our international collaborated research and excavations in Northern Maluku and Sulawesi of Wallacea Region in Eastern Indonesia. The aim of the projects is to find human traces of maritime and island adaptation in the past. The latest excavation found one of the oldest traces of Sapiens in East Indonesia. We are highly appreciated the research collaborations with Dr. Ono as the project has contributed productively for new insights of archaeology in Indonesia and Southeast Asia and also has encouraged the future development of science and culture relations of both Indonesia and Japan.