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コロナつれづれ~ハワイより~

2021年末のコロナ禍の中、事情があり家族が住むハワイに渡航した。行く前はやや心配であったが、現地の状況をみて、社会的な機能を保ちながら感染対策するとは、こういうことかと感じたので、その情報を共有したい。

公共の場ではマスクが義務づけられている。消毒液も備えてあり、ここまでは日本と同じだ。違うのは、PCR検査が日常化していることと、陽性者が出たときの対応のスピードだ。

飲食店に入るときには接種証明書か陰性証明書が必要だが、レストランで働く大学生である私の孫は、さらに毎週のPCR検査が義務付けられていると言っていた。陽性者が出た場合にはシフトが一緒だった者は全員、自宅待機となる。ひ孫が通う保育園では、私の滞在中に陽性者が出て、その時点で即、一時閉園。その後、偽陽性であったことがわかり、即開園。この対応のスピード感が市民に共有されているところが日本と違う。考えてみれば、ニュージーランドでも、首都で陽性者が数人出た日に首相のひとことで即、国境を閉鎖していた。

帰国するころには、「マスクはしなくちゃいけないし、PCR検査も受けなくちゃいけないけど、あとは普段どおりかな?」という家族の言葉を、文字通りだな、と感じるようになった。もちろん、コミュニティの規模により、できる対応は異なってくるとは思うが、それでも、重症化のリスクは明らかに減ってきている。日本でもそろそろ、外出「自粛」を繰り返すだけでなく、科学的なエビデンスに基づき、社会活動を進める方法を考え、シフトする時期にきているのではなかろうか。

菊澤律子(国立民族学博物館教授)



関連写真

ヒロ空港(ハワイ島)のマスク着用喚起の掲示。アロハシャツとムームーは、ハワイでのフォーマルウェア。