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移動の文明誌――「自由」と「不自由」の狭間で

館外での出版物

書名 移動の文明誌――「自由」と「不自由」の狭間で
著者名 鈴木英明
出版社 思文閣出版
発行年月日 2025年2月
判型・体裁 A5判・縦書き
頁数 464頁
ISBN 978-4-7842-2081-6
定価 9,900円(税込)
研究成果 共同研究成果:
人類史における移動概念の再構築――「自由」と「不自由」の相克に注目して(2019.10-2023.3)

主題・内容

本書は、移動に焦点を当て、具体的な移動現象について、関係性を軸に多様な人文系学問から読み解き、かつ、そこにどのような自由と不自由が見えるのかについて考察した論文集である。

おすすめのポイント、読者へのメッセージ

本書は、移動がどのような関係性によって生み出され、どのような関係性を形作っていくのか、さらには、そうした移動を焦点に据えたときに自由はいかなる相貌をあらわすのか、こうした問いを軸にして、各章では人類学や歴史学といった人文系学問の諸分野のそれぞれの立場から、古今東西の具体的な移動現象を解剖していく論文集である。

書評等での紹介

読売新聞2025年5月24日夕刊「世界揺さぶる人の移動――鈴木英明・民博准教授ら新刊」

目次

序章 移動を問い直す(鈴木英明)

第一部 移動を生み出す力学
第一章 労働のイニシアチブと出稼ぎ移民―トランシルヴァニアの山村から(杉本敦)
第二章 ヨーロッパにおけるジプシー/ロマの移動とホーム―フランスに暮らすロマ移民とマヌーシュを事例に(左地亮子)
第三章 「移民の世紀」における西アフリカ―ガンビアにおける落花生輸出と移住労働者の事例から(小林和夫)
第四章 自由をまたぐ移動―西アフリカのソニンケの人びと(三島禎子)
第五章 アフロユーラシアにおける牧畜民の移動―ソマリの事例を中心に(池谷和信)

第二部 移動が生み出す関係性
第六章 近代華工の実践(プラクティス)を通した自由/不自由の再考(園田節子)
第七章 故地と移動先とのせめぎあい―インドの商業集団マールワーリーとその自画像の諸相(田中鉄也)
第八章 海を渡るということ―一四世紀のイエメン・ラスール朝の裁判官と大宦官(馬場多聞)
第九章 出土遺物からみる人とモノの移動―カフィル・カラ遺跡出土資料を中心に(寺村裕史)
第一〇章 ユーラシア東方における外来人エリートの移動と「自由」―唐代~モンゴル時代における陸・海ディアスポラの比較史(向正樹)

第三部 「移動の自由」再考
第一一章 「航行の自由」をめぐる抗争としてのジェンキンズの耳戦争(薩摩真介)
第一二章 奴隷交易廃絶活動がもたらすもうひとつの自由/不自由―一九世紀インド洋西海域における航海者と船籍問題(鈴木英明)
第一三章 移動は人を自由にするか―「自然」を介した「自由」と「移動」の概念再考(新免光比呂)

終章 座談会

索引