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月経をめぐる国際開発の影響の比較研究――ジェンダーおよび医療化の視点から

研究期間:2020.10-2023.3

代表者 新本万里子

キーワード

月経、ジェンダー、医療化

目的

月経への対処は、近年、国際開発の分野において女子の就学率の向上、ジェンダー平等、水・衛生環境の向上などの観点から重視されている。月経衛生対処に関する政策が、各国で策定、実施されはじめている。また、紙ナプキンをはじめとした生理用品がグローバルな市場を通じて流通し、月経への対処に影響を及ぼしている。このように月経は、女性の身体に普遍的な現象として政治・経済の回路を通じて対処される。一方で、その捉えられ方や対処のされ方にはローカルな慣習がある。月経という生理現象を忌避する社会は世界各地に広くみられ、文化人類学においては、出産や死の不浄などともにケガレとして理論化されてきた。
本研究は、開発介入が世界各地の月経への対処や月経にまつわる文化に与える影響を、ジェンダーと月経の医療化という2つの視点から通文化比較を行うものである。月経への対処が国際開発の対象となったという同時代性から、月経をめぐる状況の通文化性と地域性を抽出することを目的とする。

2022年度

研究会
2022年4月23日(土)9:30~12:30(ウェブ開催)
佐藤峰(横浜国立大学)「ラテンアメリカでの月経対処支援の形を考える――思春期リプロダクティブ教育との関連において――」
鈴木幸子(埼玉県立大学)「日本の月経教育と中学生の月経対処」
打ち合わせ


2021年度

本年度は、4回の研究会を開催する予定である。第1回は、トイレや生理用品、水などの物理的環境と月経対処の関係について研究発表を予定しており、国際開発のもたらす衛生観とローカルな月経観について議論を行う。第2回は、生殖や閉経という女性のライフステージ上の問題に焦点をあて、第3回は、月経とスポーツや、月経をめぐる配慮と排除の言説などの研究発表を計画している。第2回と第3回を通して、ジェンダーと月経の医療化に関わる議論を行う。第4回は、発展途上国で月経衛生対処に関わるプログラムを実施しているNGOから講師を招き、プログラムの実施内容や成果を共有していただくほか、共同研究員によるNGOの活動と影響に関する研究発表も行う。この他、昨年度からの繰り越しになった研究会を1回開催する計画であり、開発実践者の立場から課題を共有していただく。これらの研究会を通して、開発介入が月経にまつわる文化に与える影響について議論を深めていく。

【館内研究員】 丹羽典生、松尾瑞穂、諸昭喜
【館外研究員】 秋保さやか、岡田千あき、小國和子、Karusigarira Ian、菅野美佐子、佐藤峰、椎野若菜、杉田映理、波平惠美子、林耕次、村上薫
研究会
2021年6月5日(土)13:00~16:00(ウェブ開催)
林耕次(総合地球環境学研究所)「月経をめぐる文化と文明:アフリカ熱帯のサニテーション事情を中心に」
松尾瑞穂(国立民族学博物館)「月経の禁忌の語り方――女人禁制や隔離はどう説明されるのか」
打ち合わせ
2021年8月11日(水)15:00~17:30(ウェブ開催)
椎野若菜氏(東京外国語大学)「 アフリカの男女学生の性・生理の知識――ケニア・ウガンダでの調査から」
岡田千あき氏(大阪大学)「月経・スポーツ・開発をめぐる四方山話」
2021年10月23日(土)14:00~17:00(ウェブ開催)
新本万里子(広島大学)「月経をめぐる教育と知識――パプアニューギニア・アベラムの事例から」
丹羽典生氏(国立民族学博物館)「オセアニアにおける生理への対処に関する民族誌的試論」
打ち合わせ
2021年12月11日(土)14:00~17:00(ウェブ開催)
菅野美佐子(青山学院大学)「月経対処への政府/非政府組織の取り組み」
浅村里紗(公益財団法人ジョイセフ)「ミャンマー国エヤワディ地域の公立学校における月経教育の効果の考察」
打ち合わせ
2022年2月23日(水)9:30~12:30(ウェブ開催)
諸昭喜(国立民族学博物館)「韓国女性の月経権をめぐる動きとジェンダー問題」
村上薫(日本貿易振興機構アジア経済研究所)「トルコにおける月経観と更年期の語り方(仮)」
打ち合わせ


2020年度

今年度は初年度となり、2020年10月から2021年3月までの間に研究会を2回開催する。第1回は、本共同研究に先行する科学研究費補助金によるプロジェクト(基盤B 代表:杉田映理)により明らかになったことを踏まえ、共同研究の枠組みを確認する。共同研究の趣旨を代表者から説明するほか、メンバー全員の自己紹介、共同研究に関する各自の関心、課題を共有する。第2回は、メンバーによる研究報告を行うほか、開発支援の実践者として活動している方を招聘して話を伺い、今後の議論のベースをつくる。

【館内研究員】 丹羽典生、松尾瑞穂
【館外研究員】 秋保さやか、岡田千あき、小國和子、Karusigarira Ian、菅野美佐子、
佐藤峰、椎野若菜、杉田映理、波平惠美子、林耕次、村上薫
研究会
2020年11月21日(土)10:00~12:00(ウェブ会議)
新本万里子(広島大学)共同研究会の趣旨説明
出席者全員 自己紹介・共同研究に関する各自の関心の共有
2021年2月23日(火)10:00~12:30(ウェブ会議)
杉田映理(大阪大学)「生理ブーム?――月経をめぐる世界各地の新たな動きと開発支援」
波平恵美子(お茶の水女子大学)「月経におけるケガレ観(不浄性についての観念)と女性の生殖機能についての観念」
研究成果

初年度の2020年10月から2021年3月にかけて、2回の研究会を開催した。第1回は、代表者から研究会の趣旨を説明したほか、メンバー全員がこの研究会への関心を述べて、各自取り組む予定の課題を確認した。
第2回の研究会では、杉田が、月経衛生対処が開発アジェンダとなった経緯と月経をめぐる近年の産業界の動向を報告した。また、波平が、月経のケガレに関わる文化人類学的研究の理論的展開を報告した。これら報告と全体討論を通じて、二つの報告を月経の可視化/不可視化という言葉でつなぐことができることを確認し、今後の議論のベースを作ることが出来た。