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装飾文化からみたアフリカ史の再構築に関する研究 (2020-2023)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|基盤研究(B)

代表者 池谷和信

目的・内容

本研究は、アフリカにおける装飾文化を代表するビーズ文化に焦点を当てて、アフリカの文化的地域性と近現代におけるその歴史的変遷を把握することを目的とする。具体的には、アフリカでの現地調査とビーズを記載した古書や古写真をとおして、(1)ビーズの素材とその入手方法(自給か購入かの区別)(2)ビーズの受け入れとその社会的意味(3)ビーズ利用の歴史的変遷(近現代史)の3点から、アフリカを対象にしてビーズ文化の現在と歴史的変遷を把握することである。

活動内容

2023年度実施計画

2022年度事業継続中

2022年度活動報告(研究実績の概要)

アフリカのビーズ文化の世界的な特性や近現代におけるアフリカのビーズ文化の歴史的変遷は、アフリカ以外の地域も含めて地域間で比較することが有効である。本年度は、コロナ禍のためにアフリカでの現地調査ができなかったために、アイヌのビーズ文化を含めて近現代における世界のビーズ文化圏の検討をするなかでアフリカを位置づける試みを行った。そこで、世界を便宜的に6つに区分して各文化圏の特徴を記述・分析することから、アフリカの特徴を把握できた。
6区分とは、A中国産・日本産ガラスビーズの広まった地域、B特定の素材に特化しない地域、C貝類の素材に特化した地域、D貝類、石類、ガラスの組み合わせの地域、Eビーズ玉生産の地域、そしてFヨーロッパ産ガラスビーズの広まった地域である。
アフリカは、ヨーロッパ産ガラスビーズを利用する地域Fであること、アイヌのビーズ文化はAであり、ガラス玉を好む点では、2つの地域における共通性を指摘できた。ただ、ケニアの牧畜民サンブルやカメルーンの諸社会においては、およそ100年前にはガラスビーズが今ほどに導入されておらず真ちゅう製のものが利用されいて、どうしてガラスビーズが過去数十年で急激に入っていくのか、その理由は明らかにはできなかった。
また本年度は、国立アイヌ民族博物館と国立民族学博物館との共催によって特別展示ビーズが開催された。このため、民博の収蔵庫にあるアフリカのビーズの標本資料を調査した。民博では、ディンカ、サンブル、ヨルバ、サン、ズールー、ヒンバ、クバなどの個々の民族の装飾文化を示すものを所有しており、物質文化をとおしてアフリカ内のビーズ文化の地域性を把握することができた。

2022年度活動報告(現在までの進捗状況)

アフリカのビーズは、素材としてはガラスビーズとタカラガイのビーズに特徴がある点、アフリカ内の諸民族によって好まれるビーズが異なることが明らかにされたが、具体的な現地調査ができていない。このため、ケニアのビーズ調査においては、オンラインでの調査を試みた。また、ヨーロッパ産のガラスビーズに焦点をあてると、ヴェネチア産とボヘミア産では流通している地域が異なっていたが、その背景となる理由もまたわかっていない。

2021年度活動報告

2021年度事業継続中

2020年度活動報告

2020年度事業継続中