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民族誌と統計解析の手法による博物館職員の働きがいと職業意欲の解明(2020-2023)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|基盤研究(C)

代表者 太田心平

目的・内容

博物館学では、収集や展示の主体(研究職員や外部協力者)と客体(来館者や地域社会)という枠組みに止まらず、多様な活動と行為者、その相互関係も考慮しうるような、研究の進展が求められてきた。だが、研究職員以外の職員がどんな希望や不満をもって博物館の活動に参与しているのかは、いまだ未開拓の学問的課題だといえる。博物館は比較的小規模の事業体で、研究職員以外の職員の働きも、意欲次第で、収集、研究、展示、教育などの内容や質に直接的、間接的な影響を与えるものなのにである。
本研究では、これまでに構築した調査や分析の方法、国際ネットワークを活用し、質的研究と量的研究の両面から、サンプルとなる日米韓の博物館の職員の職業意欲や働きがいの違いを明らかにする。また、企業、教育機関、NPOなどに関する既存の研究と結果を比較することで、労働現場としての博物館の組織行動モデルを抽出し、そのエンハンシングに寄与する。

活動内容

2022年度実施計画

3年目にあたる次年度に、フィールドワークによるデータ収集を効率的におこなう予定である。ただし、その成果を解析するには相応の時間もかかり、また補足調査の必要性も予想されるため、4年間の研究期間を延長するための申請も視野にいれている。

2021年度活動報告(研究実績の概要)

本研究は、海外の博物館でフィールドワークをおこない、その結果を分析することで、博物館職員の働きがいと職業意欲がどういった要素に起因しているのかを、量的・質的に明らかにするものである。
本年度は、昨年度に続き、海外の博物館でのフィールドワークがおこなえなかった。その理由は、第一に、新型コロナウイルス感染症の蔓延にともなって海外渡航に強い制約があったためである。第二に、フィールドワークをおこなう予定であった海外の博物館で、施設内の立ち入り制限が続き、たとえ現地に渡航できても施設を訪問してのフィールドワークが不可能なためである。第三に、調査対象である博物館職員の働きにも大きな変化が起き続けており、働き方のニューノーマルが出来上がるのを待つ必要があるためでもある。以上の理由から、本研究は計画の遅延が続いている。
ただし、本年度にも、当該研究をおこなうための理論的な前提を整理し、調査対象となる国や地域の博物館制度や、調査事例となる博物館に個別の制度を分析してきた。また、海外研究協力者とともに調査項目を整理し直す作業を続けた。これらにより、次年度以降におこなう調査研究を円滑に進める工夫をしてきた。

2021年度活動報告(現在までの進捗状況)

当初計画していたフィールドワークがおこなえていない。理由は、第一に、新型コロナウイルス感染症の蔓延にともなって海外渡航に強い制約があったためである。第二に、フィールドワークをおこなう予定であった海外の博物館で、施設内の立ち入り制限が続き、たとえ現地に渡航できても施設を訪問してのフィールドワークが不可能なためである。第三に、調査対象である博物館職員の働きにも大きな変化が起き続けており、働き方のニューノーマルが出来上がるのを待つ必要があるためでもある。

2020年度活動報告(研究実績の概要)

収集や研究、展示や教育といった博物館の活動の質を左右するのは、研究職員の学術的能力だけでない。その他の職員も含む個々の職員の有機的連携と創意工夫が、博物館の活動には直接的、間接的にあらわれる。本研究では、日米韓の博物館をサンプルに、職員の個々の労働を支える労働意欲や働きがいを質的研究と量的研究の両面から明らかにすることで、博物館という労働現場の組織行動モデルを明らかにし、その質的向上に寄与する。
研究期間の約1ヶ月から新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延がはじまったため、本研究は当初の予定から大きな変更を必要としている。1年目におこなう予定であった質的調査は、この要因による移動規制のため、おこなうことが出来なかった。また、量的調査についても、世界の博物館が在宅勤務および休館をくり返していることなどの理由により、実施が不可能であった。
他方で、海外の研究協力者たちとオンラインで連携することにより、2年目以降にこれらをより効果的におこなえる準備が出来た。

2020年度活動報告(現在までの進捗状況)

本年度は、米国および韓国での現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延にともなう移動規制により、これらをおこなうことが出来なかった。オンラインでの面談や電話等による現地調査に切り替えることも一考したが、以下の理由によりむしろそれらはおこなうべきでないと判断した。1)オンラインでの面談や電話等による現地調査は、特に1年目の段階では、本研究が重要視する深層的な民族誌調査の代わりになりえない。2)オンラインでの面談や電話等で現地調査をおこなった場合には、2年目以降におこなう深層的な民族誌調査に悪影響が出る危険性が高い。3)本研究の調査対象が博物館職員の職場活動である以上、在宅勤務や博物館休館が世界的に一般的な特殊な状況下にオンラインでの面談や電話等による現地調査をおこなっても、えられる成果は一般性に欠くものにならざるをえない。4)本研究に協力してくれる予定であった博物館やその職員たちが、新型コロナウイルス感染症の蔓延についての対策に多忙であり、協力を要請していいものと判断しがたい。
他方、かねてより本研究への協力を約束してくれていた海外の研究者たちと緊密に連絡を取ることによって、本研究の推進はみられた。1)民族誌調査の重点調査項目を、より具体的に洗い出すことが出来た。2)質問紙調査で用いる既存の様式を、本研究により適した内容にカスタマイズすることが出来た。3)これらをおこなっておくことが逆にマイナスの結果をもたらさないか、理論的に検討できた。4)本研究で参照できる先行研究を、より広く事前吟味しておくことが出来た。