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日常を美学化する詩的オラリティの人類学-タイ文化圏の声と文字の文化の比較研究(2020-2023)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|若手研究

代表者 伊藤悟

目的・内容

これまで人類学はローカル共同体における声と文字の文化的実践の多様性を示すことで、主流社会の価値観を相対化してきた。しかし、多様な声と文字の技法や技能を支えてきた文化的感性がどのようなものか、それら美的な実践が人々を主体的に世界づくりに参与させていることを明らかにした研究は少ない。そこで本研究は、日常を美学化する詩的オラリティに着目してその現代的意義を再考することを目的とし、中国、タイ、ミャンマーのタイ系民族が起こしている声と文字の文化の草の根継承活動についてフィールドワークを実施して、人々のあいだで感覚的に共有されてきた詩的オラリティの客体化と伝承体系の革新の過程について民族誌データにもとづく比較研究を行う。これによって、共同体によって維持されている社会と世界イメージが、主体的な個人の声や文字をめぐる日常的な美的実践によって受け継がれ、また、つくられてきた諸相を明らかにする。

活動内容

2022年度実施計画

ようやく新型コロナウィルスの感染拡大がおさまりつつあり、各国の渡航制限も緩和されてきている。次年度からは下半期に現地調査を実施する計画を組む。
ただ、現在のところ、まだ調査対象とするグループ活動は自粛が続いているとみられる。そのため、下半期に計画する現地調査までにSNS等を活用して個人の日常実践レベルの活動内容を把握し、現状理解と動向の注視に努めたい。
また、比較や分析視座の批判的考察を兼ねて、日本国内における類似の実践についてもフィールドワークする機会を探る。

2021年度活動報告(研究実績の概要)

本研究は、日常を美学化する詩的オラリティに着目し、その現代的意義を再考することを目的とするものである。事例として、中国、タイ、ミャンマーに暮らすタイ系民族の人びとが取り組む、声と文字の文化の草の根継承活動をとりあげ、個人が感覚的に共有してきた詩的オラリティの客体化と伝承体系の革新の過程について民族誌データにもとづく比較研究を行う。
本年度は、前年度と同様に新型コロナウィルスの世界的流行による海外渡航制限がつづいており、現地調査を実施することができなかった。現状では、現地調査にもとづく民族誌データの収集にとりかかることができないため、インフォーマントや現地の活動状況について主にSNSを通して情報収集している段階にある。
このような状況のため、今年度は主に本研究採択以前に収集したデータの整理、欧米などでの研究機関において収蔵されているタイ系民族の文字経典・書物の把握につとめた。また、SNSのなかでは、声や文字の文化の継承に取り組む様子が投稿されていることもあり、取り組み状況についてリサーチを行った。

2021年度活動報告(現在までの進捗状況)

前年度と同様、本年度も新型コロナウィルスの世界的流行を受けて海外渡航が制限されたことにより、現地調査を実施することができなかった。そのため必要な民族誌データの収集にとりかかることができていない。現状は、インフォーマントらの現地の活動状況について主にSNSを用いることで情報収集を継続している段階にある。

2020年度活動報告(研究実績の概要)

本研究は、日常を美学化する詩的オラリティに着目してその現代的意義を再考することを目的とするものである。事例として、中国、タイ、ミャンマーのタイ系民族が取り組んでいる声と文字の文化の草の根継承活動をとりあげ、人々のあいだで感覚的に共有されてきた詩的オラリティの客体化と伝承体系の革新の過程について民族誌データにもとづく比較研究を行う。
本年度は新型コロナウィルスの世界的流行を受けて海外渡航が制限されたため、現地調査を実施することができなかった。現状では、現地調査にもとづく民族誌データの収集にとりかかることができないため、インフォーマントや現地の活動状況について主にSNSを通して情報収集している段階にある。
このような状況のため、今年度は主に本研究採択以前に収集したデータの整理、欧米などでの研究機関において収蔵されているタイ系民族の文字経典・書物の把握、インターネットに挙げられている詩的オラリティに関連する動画の公開状況などについてリサーチを行った。
また、論文の投稿、学会や研究会での発表を行い、研究成果の一部を発表した。

2020年度活動報告(現在までの進捗状況)

本年度は新型コロナウィルスの世界的流行を受けて海外渡航が制限されたため、現地調査を実施することができなかった。そのため必要な民族誌データの収集にとりかかることができず、現状ではインフォーマントや現地の活動状況について主にSNSを用いることで情報収集している段階にある。