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社会的危機下のアフリカにおける文化の「創発」に関する人類学的研究(-2025)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|基盤研究(B)

吉田憲司

目的・内容

研究の概要

本研究は、内戦や自然災害、現下のCOVID-19を含む感染症の流行など、さまざまな負荷が重複してのしかかる社会的危機下のアフリカにおいて、人類の文化がいかに「創発」され、構築されるのかを明らかにしようとするものである。本研究においては、研究代表者と研究分担者計4名が、それぞれザンビア・モザンビーク、南アフリカ、マリ・ブルキナファソ、ナイジェリアという、社会的負荷の性格を異にする地域を対象に、現地研究機関との共同研究を通じて、社会的危機下での文化の「創発」のあり方を追跡する。得られた成果は、対面、オンラインを併用して全体で共有・分析し、最終的に文化の「創発」のメカニズムを解き明かす。

研究の目的

内戦、干魃や洪水、グローバル化による外国資本の流入に伴う経済の混乱、そして現下のCOVID-19を含む感染症の流行。さまざまな負荷が重複してのしかかる社会的危機下のアフリカにおいて、人びとが如何に行動し、自らの文化を如何に「創発」していくのか。そこには、現地の人びとが「伝統」とみなすものを継承、回復、創出することもあれば、放棄する動きもあるであろう。本研究は、すでに現地アフリカ社会でのフィールドワークの蓄積をもつ研究者が現地研究機関と共同で、いくつかの共通指標を設けた上で、文化の動態を同時進行的に把握し、社会の諸機能が無化するような危機的状況下で、人類の文化の構築のあり方とそのメカニズムを明らかにしようとするものである。本研究は、人類にとっての文化の成り立ちを改めて考究するとともに、アフリカ諸社会の文化のレジリエンス(回復力)とイマージェンス(創発力)を探ることにもつながるはずである。

活動内容

2023年度実施計画

研究活動の3年目となるが、一昨年度の新型コロナウイルス感染症による渡航困難に引き続き、昨年度も一部調査地域で内戦(マリ、モザンビーク、ザンビア国境地帯)、大統領選挙(ナイジェリア)等による政情不安により、研究協力機関と研究協力者の活動が制限され、現地調査を実施することができなかった。今年度は活動の遅れを取り戻すべく、国内共同研究会を開催して、研究代表者・分担者全員の参加のもと、研究の趣旨を改めて共有したうえで、それぞれが分担する調査対象地域における社会的負荷に照らして、問題点の抽出を図ると同時に、実施できずに繰り越した現地調査を含めて、研究計画を再度策定する。
その上で、研究代表者の吉田憲司がザンビア・モザンビーク、研究分担者の亀井哲也が南アフリカ、緒方しらべがナイジェリア、伊東未来がマリ・ブルキナファソを対象に、現地の研究機関と共同で実地調査を実施し、社会的危機下における文化の「創発」のあり方を追跡する。
その際、文化の動態の、危機の重層性の違いによる地域間の比較研究を可能とするため、外面化した共通指標として、(1)物質文化、(2)儀礼、(3)相互扶助組織、また内面化された指標として、(4)文化の意識化・対象化、(5)アイデンティティのあり方に注目する。
各地域での現地調査で得られた知見については、現地研究機関において報告会を開催し、現地の研究者と合同でその検証に当たるとともに、年度末には、国内で共同研究会を実施し、情報の共有と地域間の比較を通じた検討をおこなう。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染状況および調査対象国の治安改善状況によっては、各国への渡航が実現できないことも想定される。その場合には、これまで培ってきた現地研究機関との協力関係を最大限に活用し、現地研究協力者による調査を開始し、電子メールやオンライン会議を用いた情報共有を図って、研究を遂行する。さらには、調査対象地域の近隣国での調査、もしくは国外居住の調査地域出身者を対象とした調査も視野に収め、研究を遂行する。

2022年度実施計画

研究活動の2年目となるが、国内の移動さえもままならなかった昨年度の活動の遅れを取り戻すべく、国内共同研究会を開催して、研究代表者・分担者全員の参加のもと、研究の趣旨を改めて共有したうえで、それぞれが分担する調査対象地域における社会的負荷に照らして、問題点の抽出を図ると同時に、昨年度実施できずに繰り越した現地調査を含めて、研究計画を再度策定する。
その上で、研究代表者の吉田憲司がザンビア・モザンビーク、研究分担者の亀井哲也が南アフリカ、緒方しらべがナイジェリア、伊東未来がマリ・ブルキナファソを対象に、現地の研究機関と共同で実地調査を実施し、社会的危機下における文化の「創発」のあり方を追跡する。
その際、文化の動態の、危機の重層性の違いによる地域間の比較研究を可能とするため、外面化した共通指標として、(1)物質文化、(2)儀礼、(3)相互扶助組織、また内面化された指標として、(4)文化の意識化・対象化、(5)アイデンティティのあり方に注目する。
各地域での現地調査で得られた知見については、現地研究機関において報告会を開催し、現地の研究者と合同でその検証に当たるとともに、年度末には、国内で共同研究会を実施し、情報の共有と地域間の比較を通じた検討をおこなう。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染状況によっては、各国への渡航が今年度も実現できないことも想定される。その場合には、これまで培ってきた現地研究機関との協力関係を最大限に活用し、現地研究協力者による調査を開始し、電子メールやオンライン会議を用いた情報共有を図って、研究を遂行する。

2021年度活動報告

2021年度事業継続中