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遺跡産魚類の新たな同定法の開発と琉球・東南アジアにおける先史漁撈研究(2022-2023)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|特別研究員奨励費

小野林太郎
BOULANGER CLARA

目的・内容

研究の概要

本研究は、亜熱帯圏に位置する琉球列島の先史時代遺跡より出土した魚類遺存体を対象に、動物考古学的な同定分析、同位体分析、タンパク質分析、DNA分析などの様々なアプローチから、過去における人類による漁撈活動と漁撈環境の復元を同時に進めるものである。さらに比較の視点から本研究では豊富な魚類の考古資料が得られている縄文・弥生遺跡群も対象とし、環境や気候の差異による漁撈活動や漁撈環境の違いや相関性について検討を加える。そのうえで,これら日本の事例を東南アジア島嶼部やオセアニアといった熱帯島嶼圏における事例と比較研究目的として、本研究で試みる複数の分析方法のメリットや課題についてを明らかにする。

研究の目的

本研究の目的は、遺跡より出土した魚類遺存体を対象とした、動物考古学的な同定分析、同位体分析、タンパク質分析、DNA分析などの様々なアプローチの開発と実践から、過去における人類による漁撈活動と漁撈環境の復元を試みる点にある。とくに本研究では、まだ研究事例のほとんどない熱帯産魚類のタンパク質同定や同位体分析の方法論を発展させる目的がある。さらに比較の視点から本研究では豊富な魚類の考古資料が得られている縄文・弥生遺跡群も対象とし、環境や気候の差異による漁撈活動や漁撈環境の違いや相関性について検討を加える。そのうえで、これら日本の事例を東南アジア島嶼部やオセアニアといった熱帯島嶼圏における事例と比較を通して、本研究で試みる複数の分析方法のメリットや課題についても明らかにすることと、これらの方法論を使うことでより実態的な先史時代の漁撈像に迫ることが本研究のが目的である。

活動内容

2023年度実施計画

インドネシアや琉球列島の先史時代遺跡より出土した魚類遺存体を対象に、動物考古学的な同定分析、同位体分析、タンパク質分析を継続実施する。このうち、琉球列島より出土した魚類遺存体の同定分析は沖縄・大阪にて実施し、タンパク質分析と同位体分析は主に関西圏における大学・研究機関との共同調査として進めており、今年度も継続する計画である。また必要に応じて北海道や東京圏の大学・研究機関とも共同し、分析を展開する計画である。また研究成果は国際学会や学術誌に積極的に公表する計画である。

2022年度実施計画

2022年度には、これまで沖縄県で出土した魚類遺存体の同定分析を進める。ここでは複数の時代・遺跡から出土した資料を対象とし、従来の同定分析よりも高い精度での再分析を試みるほか、同位体分析やタンパク質分析、DNA分析の候補となる資料を選定し分析を進める。その他、主に奈良文化財研究所や奈良女子大学にてタンパク質分析や同位体分析の共同分析を進める。縄文・弥生遺跡から出土した魚骨資料の分析は申請者らが所属する国立民族学博物館にて進める。またこれらの成果の一部を今年度にタイで開催される国際学会IPPAにて発表する予定である。