ゲノム解析と民族誌の統合からみたブタ遊牧の形成(2024ー2026)
科学研究費助成事業による研究プロジェクト|挑戦的研究(萌芽)
池谷和信
目的・内容
研究の概要
イノシシに近いとされるベンガルデルタのブタのゲノム解析と民族誌との統合から農耕的家畜といわれてきたブタを対象にした遊牧の形成過程を把握する。そしてブタ遊牧の起源地について再考し、現代社会における遊牧の意義について考察する。
具体的には、ブタ遊牧の行われている地域を現地調査により、その遊牧の形成過程を把握するために主にブタの遺伝資料を収集する。在来ブタの採毛や採血を行うゲノム解析と民族誌の統合という新たな方法をとることで、農耕的家畜といわれるブタにも遊牧が存在すること、ブタ遊牧の起源についての新たな仮説の提示のみならず、熱帯デルタでの持続可能な社会論を大きく変革する意義を持つものである。
研究の目的
遊牧は、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ラクダ、トナカイなどの群れで生活する家畜とともに移動する人類の生活様式の一つであるといわれる。
これまでは、砂漠やステップのような乾燥地帯、ツンドラやタイガのような寒冷地域など、農耕を行うことができない地域に展開できる活動として注目されてきた。
その一方で、ブタやニワトリは、農耕社会のなかで生まれて飼育されてきたものであり、遊牧の対象となる牧畜的家畜に対して農耕的家畜であるといわれてきた。しかしながら、バングラデシュにおいては、ブタの遊牧が確認されている(池谷2012)。そこで、本研究では、農耕的家畜といわれてきたブタを対象にした遊牧の現状を民族誌的に把握すると同時に、その起源とその伝播についてはゲノム解析と民族誌を組み合わせることから把握することを目的とする。
活動内容
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「ゲノム解析と民族誌の統合からみたブタ遊牧の形成」(課題番号24K21397)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24K21397/