民博アーカイブに基づく人類学史研究
研究期間:2024.10-2027.3
代表者 中生勝美
キーワード
人類学史、オーラル・ヒストリー、アーカイブ
目的
人類学史といえば、海外では正規科目として採用され、学会なども組織されて、著名な人類学者の伝記も刊行されている。しかし、海外の人類学史研究は、欧米中心であり、日本の研究は全く触れられていない。国立民族学博物館には、アーカイブが収集され、日本の人類学史を研究するうえで、貴重な情報があつまっている。本共同研究は、そうした資源を活用して、日本の人類学史の研究を、海外の研究動向を吸収しつつ進めることを目的とする。海外の人類学史の研究動向を参照するためにも、国立民族学博物館は、日本で最も人類学の資料を網羅的に収蔵する共同利用機関であり、人類学史を研究するためには、所蔵資料の活用が不可欠である。
2026年度
今年度は、11月28日と29日に科研基盤B「アーカイブ資料に基づく第二次世界大戦前後の人類学史の再検討」との共催で、国際シンポジウムを開催する。このシンポジウムで、チュービンゲン大学のラインハート・ヨーラー教授とライデン大学のピーター・ローバッハ講師を招聘し、半数近く重複しているが、共同研究者と科研分担者が、この研究会で発表した内容を英語で報告し、その発表に関して質疑応答やコメントをもらう予定である。日本に招聘する二人の研究テーマが、戦間期のヨーロッパの人類学であり、岡正雄や石田英一郎など、戦前にウィーン大学へ留学した民族学者が戦後影響力を持ったことなどにも関心を持っている。彼らのコメントをもらうことで、日本人類学史の研究を対外的に発信する契機としたい。
| 【館内研究員】 | 飯田卓、伊藤敦規、齋藤玲子 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 上田信、江川純一、加賀谷真梨、角南聡一郎、泉水英計、David Weiss、田中雅一、谷口陽子、塚原東吾 |
研究会
- 2026年5月16日(土)11:00~17:00(国立民族学博物館 第7セミナー室)
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中生勝美(桜美林大学)共同研究員の研究成果、および研究状況報告、
図書館調査
飯嶋秀治(九州大学)「ベイトソンの戦時研究 Milton Erickson 側のArchivesから」
11月シンポジウム打ち合わせ
- 2026年5月17日(日)10:30~17:00(国立民族学博物館 第7セミナー室)
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高柳ふみ(南山大学)「20世紀初頭のドイツ語圏におけるサーミ・コレクション形成と博物館実践の現在的展開」
ヴァイス(九州大学)「岡正雄とドイツ語圏の民族学及び民俗学」
総合討論
- 2026年7月11日(土)10:00~18:30(国立民族学博物館 第7セミナー室)
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図書館調査
民博映画 ダホメ鑑賞
ダホメ意見交流会
- 2026年7月12日(日)10:30~16:00(国立民族学博物館 第7セミナー室)
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中生勝美(桜美林大学)「共同研究打ち合わせ」「土方久功日記とパラオでの足跡調査」
中尾世治(京都大学)「経済安定本部資源調査会・農村調査から「日本文化の地域類型」プロジェクトまで:調査実習からみた初期・東京大学文化人類学研究室の展開」
総合討論
- 2026年9月19日(土)10:00~16:30(国立民族学博物館 大演習室)
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図書館調査
中生勝美(桜美林大学)「共同研究打ち合わせ」
藤原貞朗(茨城大学)「植民地主義時代のアンコール遺跡の考古学と日本」(仮題)
- 2026年9月20日(日)10:30~16:00(国立民族学博物館 大演習室)
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戴麗娟(台湾中央研究院)「The Emergence and Development of Public Museums in Nineteenth-Century China」
江川純一(東京大学)「イタリア宗教史学におけるW.シュミット研究」
総合討論
2025年度
2025年度は、6月末に東京の桜美林大学新宿キャンパスにて研究会を開催し、午前中に外部講師として明治大学の山田亨教授を招聘し、岡正雄文書の整理公開や1960年に実施されたアラスカ調査団の活動、とりわけその時に収集した遺骨の返還状況を報告してもらう。午後から場所を移動し、国立日本映像アーカイブにて、鳥居龍蔵をモデルに1935年に作成された映画「緑の水平線」を鑑賞後、この映画について議論をする。11月中旬に、2025年から新たに加わった泉水英計のブラジル人類学史、角南聡一郎の日本考古学史の発表、およびゲストスピーカーとして南山大学の高柳ふみ講師から、ドイツの博物館におけるベニン像返還問題を中心とした博物館事情について報告してもらう。2026年2月に、2025年から新たに加わった加賀谷真梨によるオハイオ州立大学のアーカイブについての発表、ゲストスピーカーとして佐藤若菜准教授を招聘して、台湾の博物館における中国雲南少数民族の物質文化の収蔵状況について報告してもらう。また、科研での出張したメンバーに、適宜研究の進捗状況を報告してもらう。
| 【館内研究員】 | 伊藤敦規、齋藤玲子 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 田中雅一、David Weiss、塚原東吾、上田信、谷口陽子、江川純一、泉水英計、角南聡一郎、加賀谷真梨 |
研究会
- 2025年6月27日(金)13:00~17:30(明治大学 グローバルフロント8階共同研究室408F ウェブ開催併用)
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明治大学グローバルフロントにて栁沼亮寿(明治大学)による岡正雄アーカイブ解説
岡正雄アーカイブ熟覧
総合討論
- 2025年6月28日(土)10:30~18:30(国立映画アーカイブ、明治大学 リバティタワー1061 ウェブ開催併用)
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国立映画アーカイブにて「地平線」鑑賞
明治大学リバティタワーにて「地平線」についての意見交換
山田亨(明治大学)「アラスカ先住民族遺骨の返還について」
総合討論
- 2025年11月8日(土)10:00~18:20(国立民族学博物館 大演習室)
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中生勝美(桜美林大学)「研究会の進捗状況、人類学史の研究動向、共同研究者の近況」
図書館にて資料調査
泉水英計 (神奈川大学)「人類学的ブラジル日系人研究アーカイブの紹介」(仮題)
総合討論
- 2025年11月9日(日)10:00~16:30(国立民族学博物館 大演習室)
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佐藤若菜(京都女子大学)「日中戦争期の中国美術と民族文化:フランスでのアーカイブズ調査報告として」
総合討論
- 2026年2月12日(木)10:00~18:20(国立民族学博物館 大演習室)
中生勝美(桜美林大学)「研究会の進捗状況、人類学史の研究動向、共同研究者の近況」
角南聡一郎 (神奈川大学)「東京帝国大学人類選科出身者の基礎研究」
田中雅一(国際ファッション専門職大学)「自己の名乗りと他者の名付け:オートエスノグラフィーとアーカイヴズ」
総合討論
- 2026年2月13日(金)10:00~13:00(国立民族学博物館 大演習室)
加賀谷真梨(上智大学)「GHQ林業調査資料の概要と追跡調査の経過報告」
総合討論
研究成果
今年度は、前回の民博共同研究の成果を中生勝美・飯田卓編『ファシズム期の人類学:インテリジェンス、プロパガンダ、エージェント』(風響社、2025年6月10日、A5版、304頁)として刊行した。この論文集に、共同研究者の半数が参加しており、その後継として、2026年11月の国際シンポジウムでの発表、その原稿を元にした英文、および日本語の論文集の刊行に向けた準備として、単発論文や研究会以外での口頭発表で成果を積み重ねている。共同研究のメンバーの半分が参加している科研基盤(B) 「アーカイブ資料に基づく第二次世界大戦前後の人類学史の再検討」で、海外のアーカイブ調査に出かけ、その一部を口頭発表などで論文作成に着手している。
2024年度
初年度は、初回顔合わせの時に各自の問題意識と、この研究会での研究テーマに関する概略を全員が発表する。特に科研分担者は、夏休みの調査成果について詳しく報告をする。初年度は2回に分けておこなう。
| 【館内研究員】 | 伊藤敦規、齋藤玲子 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 田中雅一、David Weiss、塚原東吾、上田信、谷口陽子、江川純一 |
研究会
- 2024年11月2日(土)10:00~18:30(国立民族学博物館 大演習室 ウェブ開催併用)
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中生勝美(桜美林大学)「研究会の趣旨説明、人類学史の研究状況説明、研究計画の確認」
齋藤玲子(国立民族学博物館)「アイヌ研究の現状――近年の動向とアーカイブズ資料の可能性」
David Weiss(九州大学)「岡正雄『古日本の文化層』の混成性ー民族学における日独交流の一例」
田中雅一(国際ファッション専門職大学)「SOASのCFHアーカイヴとナガ民族プロジェクトについて」
総合討論
- 2024年11月3日(日)10:00~15:30(国立民族学博物館 大演習室 ウェブ開催併用)
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江川純一(明治学院大学)「エルネスト・デ・マルティーノの南イタリア研究」
谷口陽子(明治学院大学)「ミシガン大学のアーカイブから見た日本研究」
総合討論
- 2025年2月1日(土)10:00~18:20(国立民族学博物館 大演習室)
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中生勝美(桜美林大学)「研究会の進捗状況、人類学史の研究動向、共同研究者の近況」
伊藤敦規(国立民族学博物館)「1950年代のアイヌ民族綜合調査の再検討」
塚原東吾(神戸大学)「人類学と科学史に関するいくつかの話題:ロンダ・シービンガーの最近の議論」
総合討論
- 2025年2月2日(日)10:00~16:30(国立民族学博物館 大演習室)
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上田信 (立教大学)「梅棹忠夫の『文明の生態史観』再考」
飯嶋秀治(九州大学)「Strehlow archives:オーストラリアとドイツのアーカイブ視察から」
総合討論
研究成果
本年度は、初年度なので、共同研究の目的を研究代表者の中生から説明し、それぞれの共同研究者から、現在の研究テーマとこの研究会でできることを報告ししてもらった。共同研究者の半数は、中生が研究代表をする科研「アーカイブ資料に基づく第二次世界大戦前後の人類学史の再検討」基盤研究(B)の研究分担者なので、国内外のアーカイブ調査を前提とした研究計画を報告してもらった。共同研究者ではない科研分担者も、できるだけ出席してもらい、情報提供や議論に加わってもらった。来年度後半に、科研にて経費を負担して海外の研究者3人をコメンテーターとして招聘し、民博にて国際シンポジウムを開催する予定を周知した。その為には来年の夏には、英文で原稿を準備しておく必要があることを確認した。
