「時空言語学」の創成:地理と歴史を融合した言語の変化と発展への新たなアプローチ(2024-2030)
科学研究費助成事業による研究プロジェクト|国際共同研究加速基金(国際先導研究)
菊澤律子
研究の概要
言語変化を時間軸と空間時の両面から分析する時空言語学という新たな研究分野を確立する。地理情報を基盤とした言語変化分析ツールを開発、それを用いて理論面での新たな研究アプローチを進める。現在世界で話されている7000の声言語と手話言語は、人類の拡散・適応史の結果であり、その発達史に関する知見を得ることは、人類の歴史のみならず、現存する多様性の理解につながり、国際理解と社会的共生の基盤となる。
研究の目的
本研究では新学術分野「時空言語学」を確立する。言語の変化を時間と空間を絡めた分析を可能にするため、研究ツールとしてのデータベース(含インターフェース)構築と理論面での研究を並行して進める。これまでの歴史言語学は、共通の祖先から発達した言語間の系統関係、すなわち時間的な発達の解明に成果をあげてきたが、地理的拡散や言語接触の言語変化への影響は対象から外れていた。ここでは、これまでの時間軸に沿う変化を空間にあてはめる方法を逆転し、空間的な関係を軸として時間的変化をとらえることで現状の打破を試み、語族を超えた言語関係の解明、地理空間の制約に縛られない分析を可能にする。機械言語処理や統計分析との協働、国際的なデータ相互参照の仕組みにより、途上国研究者の参入を可能にする。若手研究者がシステムの中で結節点の役割を果たしつつ自身の研究テーマを熟成させる場での、新発想に基づく言語変化研究の創出が期待される。
活動内容
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「「時空言語学」の創成:地理と歴史を融合した言語の変化と発展への新たなアプローチ」(課題番号24K23937)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24K23937/