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スペイン領南米の辺境ミッションにおける民族の衰退と再生―洗礼簿に基づく史的再構成(2025-2028)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|基盤研究(C)

齋藤晃

目的・内容

研究の概要

スペイン人は16世紀初めから19世紀初めまで南米の多くの地域の諸社会を支配下に収めたが、その帰結のひとつは在来の民族の消滅とそれに伴う先住民のアイデンティティの変容である。スペイン人は多数の小集落に分散して暮らす先住民を人口規模の大きな町に強制移住させた。先住民は当初抵抗したが、やがてそれらの町を基盤として共同体を再構築し、新たなアイデンティティを育んだ。本研究は、アマゾン北西部のモホス地方のイエズス会ミッションを対象として、このラディカルな社会文化変容のメカニズムを解明する。その際、イエズス会が建設した6つの町の洗礼簿を詳細に分析し、先住民の社会組織とアイデンティティの変容過程を再構成する。

研究の目的

南米アマゾン北西部のモホス地方(現ボリビア)には、17世紀末にカトリックの修道会であるイエズス会が進出し、宣教施設であるミッションを建設した。同地方の先住民はもともとモウレモノ、カサボヨノなどの多数の民族に分かれていたが、イエズス会はそれらの集団を新設の町に集住させた。その長期的帰結として、在来の諸民族は衰退・消滅し、ミッションの町を核とした新たなアイデンティティが成立した。たとえば、サン・イグナシオという町に集められた諸民族は、1767年のイエズス会追放後には、イグナシアノを名乗っていた。本研究の目的は、モホス地方の先住民のアイデンティティがイエズス会の進出を契機としてどのように変化し、最終的にミッションの町を核とする新たな集団が成立するにいたったかを、ヨーロッパ人植民者と先住民のあいだのパワーバランスの変化を考慮しながら究明することである。

活動内容

KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「スペイン領南米の辺境ミッションにおける民族の衰退と再生―洗礼簿に基づく史的再構成」(課題番号25K04538)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25K04538