民族/人種の系譜的想像力と自然化の論理ー南アジアの白人「混血」集団から(2025-2028)
科学研究費助成事業による研究プロジェクト|基盤研究(C)
松尾瑞穂
目的・内容
研究の概要
本研究は、東南アジアから南アジアにかけての植民地支配下での異人種間結婚により生まれた「混血」集団であるユーレィジアン(欧亜混血)を事例として、人種や民族の「自然らしさ」が多様な要素(モノ)の連関から遂行的に実行される動態を明らかにし、民族/人種の実体化のメカニズムを解明するものである。本研究は、帝国史や家族史など従来の歴史研究にとどまらない、ユーレィジアンの今日まで続く動態を明らかにする人類学的研究であり、将来的には、インドシナ、インド、セイロンへと広がるユーレィジアンのネットワークという、国民国家を超えた「混血」の生成と移動、混淆についての比較研究への途を拓こうとするものである。
研究の目的
本研究は、近代アジアの旧植民地社会における西洋人と現地人との「混血」であるユーレィジアン(欧亜混血)をめぐる表象と実践を検討することを通して、民族や人種が実体として立ち現れる「系譜学的想像力」の連関を明らかにし、民族/人種の自然化の論理を提示するものである。ここでの系譜学的想像力とは、血や骨、気、そして遺伝子やゲノムなどを含む身体構成物であるサブスタンスや、ルーツ、系図といった、いくつもの異なる要素からなり、自己と家族、先祖、そして集団へとつながる、矛盾に満ち、断片的で選択的な「連続性」を紡ぐものを指す。本研究は、「混血」という、複数のルーツにまたがり、人種や民族の境界を攪乱、横断する集団から、系譜学的想像力が機動する民族の自然らしさを逆照射し、「血の論理」という人種主義的な本質主義を批判的に脱構築する論理を探求する。
活動内容
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「民族/人種の系譜的想像力と自然化の論理ー南アジアの白人「混血」集団から」(課題番号25K04696)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25K04696/