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モザンビーク北部における植民地統治と解放闘争をめぐる別様の経験の提示(2025-2028)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|若手研究

松井梓

目的・内容

研究の概要

本研究の目的は、反植民地主義にもとづく国家の「植民地解放闘争の歴史」によって不可視化されてきた、人びとの経験を提示することである。対象は、ポルトガル植民地行政の重要拠点であった北部沿岸のモザンビーク島である。植民地統治下や紛争下のモザンビーク社会を扱う先行研究は、厳しい支配がなされた地域や解放闘争の激戦地を対象に人びとの多様な経験を捉えてきた。対して本研究は、植民地権力と密接な関係にあったモザンビーク島の人びとの生活史を聞き取ることで、先行研究とは別様のあり方で植民地権力と解放勢力のあいだで揺れ動く経験や葛藤が生きられたことを描く。

研究の目的

本研究の目的は、植民地期および解放闘争期のモザンビーク島の人びとが、みずからを取り込もうとする植民地権力とモザンビーク解放のイデオロギーを掲げるフレリモとのあいだで、いかにそれぞれと関わり、はざまで揺らぎ、葛藤を持っていたのかを描くことである。この目的の達成のために、1)当時の人びとの暮らしや生業、2)植民地権力や解放闘争勢力との関わりとその変遷、3)それぞれの勢力に対する心情とその変遷を、当時を生きた人びとの語りから具体的に明らかにする。以上をつうじて、これまでの研究では見過ごされてきた、国家の「解放闘争の歴史」によって不可視にされたモザンビーク島の人びとの「生きられた経験」を描き、植民地期や解放闘争、独立をめぐる別様の歴史を提示することを目指す。

活動内容

KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「モザンビーク北部における植民地統治と解放闘争をめぐる別様の経験の提示」(課題番号25K21467)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25K21467/