スマホ時代のセネガルにおける新たなリテラシー能力とウォロフ語の言説空間(2023-2025)
科学研究費助成事業による研究プロジェクト|特別研究員奨励費
池邉智基
★2025年4月1日転入
目的・内容
研究の概要
本研究は、現代のセネガル共和国において民族共通語のウォロフ語を文字化するという言語ナショナリズム運動が複数のアクターによって起きていることの文化的・社会的背景を分析するものである。セネガルでは基本的には教育や経済活動、政治参加には旧宗主国の言語フランス語が必須となる一方、民族を越えて広く話される話し言葉ウォロフ語がある。近年スマートフォンが爆発的に普及し、SNSなどでウォロフ語を書いて発信することが容易となった。その技術革新によって成立した、ウォロフ語の綴りや翻訳といった形式、および、政治や経済、イスラームなど複数の主題を、現代のウォロフ語リテラシーとして位置づけ、分析を行う。
研究の目的
本研究は、これまで文字を持たなかった民族語のウォロフ語が、現代において新たな言語ナショナリズム運動を巻き起こしている文化的・社会的背景を分析するものである。本研究では以下の二つの論点から明らかにする。第一に、電子化された文書として文字を使って情報を伝達、共有するというメディアの形式性とリテラシー能力との関連に着目し、スマホ時代のセネガルにおける文字化とメディアの歴史的変遷を明らかにする。そして第二に、電子化されたメディアの変化によって、ウォロフ語を「話し言葉」で「書く」という言文一致運動における文体や内容などをスマホ時代の新たな言説の特徴として位置づけ、政治、経済、イスラームなどについての様々な主題についての言説分析を行う。以上の2点を通じて、言語ナショナリズムが技術の変化と同時にいくつものイデオロギーを内包しながら拡散していく状況の分析を行う。
活動内容
KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「スマホ時代のセネガルにおける新たなリテラシー能力とウォロフ語の言説空間」(課題番号23KJ0365)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23KJ0365/