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東アフリカにおける社会福祉の発展と帝国内移民:インド系ムスリム移民と近代性の関係(2025-2027)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|特別研究員奨励費

仲尾友貴恵

目的・内容

研究の概要

インド亜大陸から東アフリカに移住したムスリムが東アフリカで展開した障害者や病者への福祉事業史を1980年代までを対象に明らかにする。
①博物館や家庭で保存されている資料(写真や文書等)と、②保存されていない資料(個人的な記憶の語りや現地でしか見ることができない景色・物品・慣習・遺物など)を調査する。
2025年度は国内で①の調査、カナダ・トロントで①②の調査、タンザニア・ダルエスサラームで①②調査を実施する。2026年度は国内で①の調査を継続し論文執筆を行い、ケニア・モンバサ、ウガンダ・カンパラで①②調査を実施する。2027年度は成果をまとめ、国際誌への投稿を行う。アフリカ諸都市で追加調査も行う。

研究の目的

本研究は、東アフリカにおけるインド系シーア派ムスリムによる社会福祉史を明らかにし、東アフリカ近代史の中に位置づけ、アフリカのコロニアリズム研究に〈社会福祉〉と〈移民〉という新たな関係軸を導入して貢献する。
植民地構造下では統治者と被統治者の関係にあったヨーロッパ人とアフリカ人が実際には複雑な関係性を結んできたことを明らかにするコロニアリズム研究は重要であり続ける。しかし従来、障害者や病者といった政治主体となりにくいマイノリティや、そのような人々の生存支援システムの歴史は軽視されてきた。また、アフリカ史研究では宗主国と植民地在来者の二者関係に照準する記述枠組の中で、移民(非アフリカ系住民)は取りこぼされる傾向にあった。
本研究は、インド亜大陸からの初期移民「コージャ」が西欧列強とは異なる文脈においていかに障害者や病者を対象に生存支援事業を展開してきたかを1980年代までの1世紀半を対象に見通す。

活動内容

KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)
「東アフリカにおける社会福祉の発展と帝国内移民:インド系ムスリム移民と近代性の関係」(課題番号25KJ0393)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25KJ0393/