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黒田賢治助教が第18回国際宗教研究所賞奨励賞を受賞

受賞年度 2022年度
受賞者 黒田賢治

黒田賢治助教が第18回国際宗教研究所賞奨励賞を受賞

2023年3月1日掲載

この度、本館グローバル現象研究部の黒田賢治助教が、著書『戦争の記憶と国家――帰還兵が見た殉教と忘却の現代イラン』(世界思想社、2021年)を対象に第18回国際宗教研究所賞奨励賞を受賞しました。



受賞理由

イスラーム革命後のイランにおける「殉教」をめぐる表象、言説、実践について具体性に富んだ叙述がなされ、現代イランの政治と宗教について独自の分析がなされている、一人の人物に焦点を当てた「生きられた宗教」の叙述として、宗教県の新しい地平を切り開いていると見ることができる。ただし、叙述の厚みという点でやや物足りないという印象が残る。詳細に描かれる登場人物が少ないこと、国内の敵対する勢力との関係について叙述が少ないことなど、関連する事象への論及が十分ではなかった点は残念なところであり、今後の研究によって克服していくことを期待したい。
これらの点を踏まえても、本書はイランの現代シーア派イスラームと政治や社会の関係について豊かな情報と分析視点を提示しており、現代の宗教復興をめぐる国際的な比較研究にとっても示唆するところが多く、国際宗教研究所奨励賞にふさわしい作品であると判断した。

(選考委員会による受賞理由からの抜粋)

国際宗教研究所賞とは:

(公財)国際宗教研究所は、内外宗教の研究を通じて宗教相互の理解を深め、ひいては人類文化の向上に資する目的で1954年5月に設立され、発足以来、幅広い活動を行ってきた。さらに2005年度からは顕彰事業を加え、今日的な問題意識に立つ宗教研究の振興と若手研究者の育成に貢献することを目的として、「現代性」「国際性」「実証性」などに優れた点を有する、刊行物および学位が授与された学位論文(博士)を対象に、(公財)国際宗教研究所賞を創設した。

(公益財団法人国際宗教研究所ホームページより引用)