BAT-OCHIR BALJINNYAM
在学生の研究内容
BAT-OCHIR BALJINNYAM

所属
地域文化学専攻
指導教員
主任指導教員:島村一平/副指導教員:野林厚志
研究題目
家畜の「交換」に関する文化人類学的研究
研究キーワード
モンゴル遊牧社会、家畜の交換・奪取、互奪性、贈与交換
研究の概要
私の研究は、モンゴル遊牧社会の家畜の奪取「互奪性」・「交換」のメカニズムを歴史的な変化も含めて総合的に解明することを目的としています。
従来の文化人類学的なモンゴル遊牧研究では、持続可能性が高い¬生業としての放牧を論じたものや、ホト・アイルという季節毎に成員が変化するという遊牧民の宿営地集団の実態を論じたもの、あるいは市場経済化の中でいかなる生存戦略を発展しているかといったテーマが選ばれることが多かったのですが、それらの研究では遊牧を経済や生業、経営という視点から捉えようとした家畜の奪取という現象は一切捨象されてきました。
そうした中で私は、2016年~2017年にモンゴル国で断続的にフィールド調査を行い、一見すると「家畜泥棒」だと思われるような現象が、実は遊牧民たちが相互に了解の上でまるでゲームのように家畜の取り合いをしているものだったということを発見しました。さらにこうした家畜の奪取による交換活動が社会主義時代にはノルマの達成者と非達成者の間で家畜頭数を調整する役割を果たしていたことを、聞き取り調査を通じてわかってきました。
そこで現在は、「モンゴルで行われている遊牧にともなう「家畜泥棒」が一種の互奪性・交換である」という仮説のもと、遊牧民たちの財産である家畜をめぐる奪取や交換、精霊への供犠を「交換」と捉えることで、モンゴル遊牧世界の交換活動の実態を明らかにすることを目指しています。
フィールドワーク写真

モンゴル国でのフィールドワーク、聞き取り調査中、2016年。