Select Language

川又幸恵(KAWAMATA Yukie)

在学生の研究内容

川又幸恵(KAWAMATA Yukie)

専攻

比較文化学専攻

指導教員

主任指導教員:松尾瑞穂/副指導教員:鈴木紀

研究題目

ベネズエラ都市部におけるリプロダクションと産前・産後ケアから見る出産文化の特性

研究キーワード

ベネズエラ、母乳哺育、身体的経験

研究の概要

【研究テーマ】母乳哺育をめぐる文化人類学的研究:ベネズエラ都市部の低所得層家族を対象として

ベネズエラでは、WHOとUNICEFを中心とした世界的な母乳哺育の保護・推進・支援の流れを受け、母乳哺育にまつわる制度・政策が拡充されている。この動きは主に母乳の栄養学的なメリットに裏付けられ、医療・支援機関では女性に対して生理学・栄養学的な観点から母乳哺育に関わる指導が行われる。他方、女性は一般的な文化や家族の経験、共同体との社会関係に基づいて授乳を行う傾向があり、母乳哺育を推進する母子医療政策と、女性の母乳哺育実践との間には、何らかの齟齬が生じている。

そこで本研究では、ベネズエラの母乳哺育推進政策を行う母子保健医療の現場と、女性の母乳哺育実践を当該国の社会状況の中に位置付け、齟齬のポイントを整理する。その上で、女性個人の身体的経験に着目し、女性を取り巻く文化や社会との関係性をみていく。これにより、女性の身体の構築プロセスにおける歴史・政治学的な点も含めて、人々の多元的な母乳哺育実践を明らかにしていく。

人類学分野の先行研究では、文化、社会、経済等の相互作用の中で実践される母乳哺育が明らかにされてきた。これに対し、本研究ではこれまで十分に着目されてこなかった「女性の身体的経験としての母乳哺育」を起点に、女性を取り巻く文化や社会との関係性を分析し、多元的な実践とその意味について考える。

本研究の意義は3点ある。
1点目に、本研究は日本において母乳哺育を含むリプロダクション研究が手薄なラテンアメリカ地域を対象とし、同地域の現状や政治・社会的背景も踏まえる研究としての価値がある。
2点目に、ベネズエラ低所得層女性の多元的な母乳哺育実践とそれらの文化・社会との関係性について明らかにすることで、当該国の母子保健政策・母乳哺育政策への活用が期待できる。
3点目に、本研究はベネズエラに限らず、在日外国人女性の妊娠・出産及び育児に伴う多様な文化的差異から生じる諸問題への応用が期待できる。