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劉丹(LIU DAN)

在学生の研究内容

劉丹(LIU DAN)

所属

地域文化学専攻

指導教員

主任指導教員:奈良雅史/副指導教員:韓敏

研究題目

中国農村農民の開発人類学的研究―周辺性の実践

研究キーワード

農村開発、農業の集約化、人類学、中国、地域社会

研究の概要

中国では農地制度の改革や開発により、農民にとって農業の位置づけが変わりつつある。先行研究では、農業の集約化や商業化が進む中、農村における既存の社会関係は弱体化または解体され、農民が土地から切り離されていくと指摘されてきた。

私は2022年10月から調査地で農業の委託作業を受ける複数の人物を対象に断続的にインタビュー調査をしてきた。その調査結果や政府の公開資料から、調査地では農業の集約化、機械化が進んでおり、個人または企業への農作業委託の増加が確認できた。それに加えて、多くの場合、農地の集約、農作業の委託が既存の親族関係・地縁関係などのもとで行われているとわかってきた。つまり、調査地では農民が農地と切り離されてきたわけでは必ずしもなく、既存の社会関係を通して農地と関わってきたといえる。本研究は開発により農村における既存の社会関係が必ずしも弱体化または解体していくとはかぎらず、別の形で作動しているという仮説を立てている。

本研究は2000年初頭からの中国にける農地制度改革に焦点を絞り、それに伴う地域社会の対応と変容、つまり開発による地域社会の社会関係への影響を描き、開発の時代に生きる農民たちの姿を明確にする。そのために、内陸農村の事例を中心に、政府による農業の集約化・近代化が進められるなか、農村社会の変化を民族誌的に記述する。それを踏まえて、①農民がどのように農地制度改革に対処しているのか、②そうした実践と、農業生産の変化と地縁、宗族などの既存の社会関係との関係を明らかにしていくことを目的とする。

研究成果レポート