岸美咲(KISHI Misaki)
在学生の研究内容
岸美咲(KISHI Misaki)

所属
比較文化学専攻
指導教員
主任指導教員:福岡正太/副指導教員:岡田恵美
研究題目
中部ジャワのワヤン・クリッにおけるダランの研究
研究キーワード
ワヤン・クリ、ダラン、民族音楽学、パフォーマンス、女性芸能者
研究の概要
本研究は中部ジャワの影絵人形芝居ワヤン・クリにおける女性のダラン(人形遣い)に焦点を当てる。ダランは上演中の人形操作に加え、語りや音楽上の演出も担当し、上演において中心的な役割を果たす人物である。これまでの先行研究では、ダランは男性であることが前提とされてきた。一方で、少数ではあるものの古くから女性のダランは存在し続けてきた。2020年の新型コロナウイルス流行後、インターネットでのワヤンの上演のライブストリーミングが盛んになると、女性の上演が取り上げられることが増え、また、2022年には芸術大学において女性のダランが初めて学科長に就任するなど、近年、女性ダランの活躍が目立つようになってきている。
本研究では、男性が前提であるとされてきたダランの世界において、近年女性のダランの存在感はなぜ強まってきたのか、その要因について次のような観点から検討を行う。まず、彼女らの上演に注目し、(1)上演における演出、(2)彼女らが上を行う過程において他の芸術家といかにして協同しているのかを明らかにする。さらに、(3)女性芸能者の社会的イメージの変化や(4)ダランを養成する芸術大学等の教育機関が彼女らの活躍の余地を広げてきたことについても明らかにする。
そのために、本研究では、現在注目されている世代の異なる3人の女性ダランを取り上げる。主にインタビューと参与観察によって、その生い立ち、他の芸術家との関係、女性ダランや、女性歌手シンデンについての考え方などを明らかにする。また、インタビューと、筆者が実際にダランの実技を習得することを組み合わせ、女性のダランの修行の過程についても明らかにする。
フィールドワーク写真
(女性ダランによるワヤン上演の会場の様子、2022年12月、筆者撮影。)