矢野羽衣子(YANO Uiko)
在学生の研究内容
矢野羽衣子(YANO Uiko)

所属
人類文化研究コース
指導教員
主任指導教員:菊澤律子/副指導教員:吉岡乾
研究題目
沖縄県およびバヌアツ共和国の手話に関する言語学的特徴の記述
研究キーワード
バヌアツ、ろうコミュニティ、手話言語、ホームサイン、ジェスチャー
研究の概要
本研究のテーマは、「バヌアツ共和国の手話に関する言語学的特徴の比較研究」である。バヌアツ共和国のエスピリトゥサント島およびエファテ島で使われている言語を対象とし、それぞれの言語学的特徴を記述し、得られた内容を文化、歴史、データ保存の観点から考察する。
バヌアツ共和国の手話言語を含む視覚コミュニケーションシステムに関する先行研究では、バヌアツ共和国では、ジェスチャーやホームサインが使われているということが報告されているが、その詳細は明らかではない。
本研究では、フィールドワークによるデータ収集を行い、現在、現地のろうコミュニティで使われている視覚コミュニケーションシステムの体系的な特徴を明らかにする。さらに得られたデータに基づき、当該システムがジェスチャーから共通言語までの発達段階のうちのどこに位置づけられるのか、について考察する。バヌアツ共和国のろうコミュニティを訪問することによって、まずそこに芽生えつつある言語の特徴を分析し、記述を行うところからスタートする。
本研究の意義はみっつある。
ひとつめは、タイムライン、一致動詞、数などの表現に関する記述を言語学的に行い、バヌアツで使われている視覚コミュニケーションシステムの現在の状況を客観的に記述し、分析することである。
ふたつめは、現時点で使われている視覚コミュニケーションシステムの記録を分析結果とともに残すことである。この記録があることで、10年、20年先のバヌアツにおける視覚コミュニケーションシステムと比較することができるようになり、変化の経緯を分析するための貴重な資料となる。
みっつめは、研究成果の社会還元を通して当事者コミュニティへの一助とできるという点である。このことは、現地のろう者の社会的な地位向上のために重要である。