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令和3年度文化資源計画事業一覧

資料関連

▶ 標本資料「パラオの石貨」の寄贈受入:ピーター・マシウス

In 2020, a single rai stone (stone money) from Palau was offered to Minpaku by Japan Airlines Co., Ltd. This was a gift to Japan Airlines by the Ambassador of the Republic of Palau in 2004, and is said to have been made from the limestone of Rock Island in Palau around 1750 (iron tools were not used for stone mining until after 1750; perhaps mostly from the late 19th C.). The rai stone appears to have been shaped by stone-on-stone pecking (which produces small rounded depressions in the surface), and comes from the main source island for stone money in Palau. The pecking marks are quite uniform and are generally around 1 cm in diameter. Other rai stones held at Minpaku are almost all from Yap, which is about 450 km from Palau, and are more finely finished (smooth).

▶ 標本資料「エレクトリック・ギター カワイ・ムーンサルト」の寄贈受入:笹原亮二

寄贈の申し出があったエレクトリック・ギター「カワイ・ムーンサルト」を標本資料として受入れた。

▶ 標本資料「世界の容器類」の寄贈受入:信田敏宏

本事業は、洋画家大熊峻氏が生前、スケッチ旅行の際に、メキシコ、スペイン、イタリア、ルーマニア、トルコ、ドイツ、中国、インド、パキスタン、タイ、ベトナムで買い付けた各国の容器類(壺、水入れ等)の寄贈を受け入れ、本館の世界の容器類に関する標本資料をさらに充実させ、提研究活動や博物館活動等において活用するものである。

▶ 標本資料「金守世士夫インドネシア民族資料コレクション」の寄贈受入に伴う事前調:信田敏宏

本事業は、版画家金守世士夫氏が生前に集めた、約1000点におよぶインドネシア(一部、マレーシアを含む)の仮面、神像、染織品等のコレクションの寄贈受入に関わる事前調査を実施するものである。

▶ 標本資料「ボルネオ島サバ州の木彫」の寄贈受入:小野林太郎

本プロジェクトでは寄贈依頼のあったボルネオ島サバ州の木彫について、検討を行い、寄贈を受け入れることを決定した。

▶ 標本資料「カメルーンの仮面」の寄贈受入:飯田卓

個人が所蔵していたアフリカの木製仮面を本館の標本資料として受けいれた。この資料は、アフリカ展示場に展示されているバリ人のゾウの仮面に類似した様式的特徴をもつ。しかし、タカラガイをビーズのように使って仮面を縁取る点はユニークであり、今後の比較研究の素材として有用だと判断した。

▶ 標本資料「バウレ人(コートジボワール)の仮面」の寄贈受入:飯田卓

個人が所蔵していたアフリカの木製仮面(2点)を、本館の標本資料として受けいれた。そのうち1点は、すでに館が所蔵しているバウレ仮面約30点と同じく、角を有する様式的特徴をもつが、既存の資料にくらべると角の形状が大胆かつ精彩に表現されている。もう1点は、別のバウレ仮面約30点と同じく面長の人間の様式だが、小さな角とみえる突起もある。両様式の特徴を併せもつ館所蔵資料は現在数点にすぎず、両者の関係はソースコミュニティの文脈から明らかにしていく余地がある。この作業は、2020年度に完了予定だったフォーラム型情報ミュージアムプロジェクト(2021年は予算繰越により継続)を今後展開させていくうえでも格好のテーマとなる。

▶ 標本資料「モンゴル三弦楽器シャンズ」寄贈受入:島村一平

三味線奏者の恩田えり氏が1999年にモンゴル音楽大学教授より譲り受けられた「モンゴルの三弦楽器シャンズ」と解説の冊子を受け入れた。

▶ 標本資料「台湾パイワン族の工芸品資料」の寄贈受入:野林厚志

台湾原住民族パイワン族の工芸資料の寄贈を受け入れ、文化人類学および関連諸分野の研究、共同利用に資するための情報化を実施する。先住民族の工芸品制作は、経済活動やアイデンティティ表象といった研究課題における重要な対象であり、国内外の研究者が同資料を調査するとともに、本館の類似した資料、他の先住民族の工芸制作との比較研究を行うことを可能とする。特に、本館における台湾の原住民族工芸に関する資料は、ソースコミュニティの成員による熟覧調査が重ねて行われており、本資料を本館において適切に管理、公開することによって、ソースコミュニティと協働した資料調査が期待される。

▶ 標本資料「福島県のじゃんがら念仏踊り衣装一式」の寄贈受入:日髙真吾

本事業は、福島県いわき市久之浜に伝わる久之浜大久自安我楽継承会所有「じゃんがら念仏踊り」の衣装一式の寄贈受入提案である。このたび、特別展「復興を支える地域の文化―3.11 から10 年」で借用した資料を民博の標本資料として寄贈の受け入れをおこなった。

▶ 標本資料「沖縄・伊江島のサバニ」の寄贈受け入れ:小野林太郎

本プロジェクトでは寄贈依頼のあった沖縄・伊江島のサバニについて、現地での実見による検討や聞き取り調査も踏まえ、寄贈を受け入れることを決定した。

▶ 標本資料の撮影等業務:日髙真吾

本事業は、標本資料を研究、展示、情報提供等に有効利用するために、標本資料の撮影、計測、及びそれらに付随する業務をおこなうものである。標本資料の正確かつ詳細な画像情報を記録し、標本資料を有効に活用するための基礎的データの蓄積を目的としており、大学共同利用機関として資料に付随する情報の公開等に供するデータを作成する基盤的な事業である。

▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【標本資料関連】:企画課長

本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関する情報サービス、展示準備・展示運営のための資料管理及び情報の作成・管理等を行うものである。

▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【データベース関連】:日髙真吾

本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関するデータベース掲載情報の作成、更新作業及び「人類の文化資源に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築」に係るデータ整理業務を行うものである。

▶ 有形文化資源の保存・管理システム構築:園田直子

本計画事業の目的は、館所蔵資料の保存と活用の両立を目的に、その保存・管理システムを緊急度に応じて構築することにある。①有形文化資源の保存対策立案では、総合的有害生物管理(IPM)の考えのもと、生物被害の防除・殺虫対策に関わる資料管理活動を計画、統括した。②資料管理のための方法論策定では、博物館環境および博物館資料の調査、解析、総括をおこなうとともに、収蔵庫再編成に関わる活動を助言した。③資料の科学的調査法の推進では、本館の資料調査および他機関との共同利用を念頭に、物理的・化学的・光学的の各種調査の実施と拡充をはかった。

▶ トーテムポールの新規製作(式典、報告書):日髙真吾

開館時に収集し、本館前庭に設置されたトーテムポール(H0008067)は、本館の象徴展示のひとつであり、これまで金属製支持具での補強等によるたびかさなる補修を行ってきた。しかし、経年による劣化が進み、特に、直近では2017年度の台風21号の被害により、トーテムポール最上部のサンダーバードの羽根等に傾斜とぐらつきが発生したため、金属具での補強を実施した。しかし、2018年度の台風21号の被害で、補強した羽根は落下破損し、完全な修復が不可能となった経緯がある。今後、再補修したとしても、同様の災害に耐えられる保証がないこともあり、開館50周年の機会に新たな本館の象徴展示となるトーテムポールをソーシャルコミュニティの作家に依頼、制作し、2020年度に立ち上げた。

▶ 標本資料の収集(個別収集):日髙真吾

▸ 研究公演「ホピの踊りと音楽」に関連する盛装の収集:伊藤敦規

米国先住民ホピのテキスタイル作家であるアキーマ・ホンヤンプティワ氏が制作した手織りの伝統衣装など30点を購入した。それらは主に2012年3月に民博講堂で開催した研究公演「ホピの踊りと音楽」にて、総勢11名の演者と歌い手が実際に着用した衣装と対応関係にあり、実際に民博講堂で演者が身につけたものも一部に含まれる(マール・ナモキ氏作、水の乙女の踊りで女性演者が装着する頭飾りなど)。

▸ 本田孝一によるイスラーム書道作品の収集:西尾哲夫

日本におけるイスラーム書道の第一人者である本田孝一氏による書道作品2点を所有者より購入した。氏の作品は、日本人でありながらイスラーム書道の神髄を示す作品として世界的に高い評価を受けており、今回の収集資料はオーソドックスなイスラーム書道作品として、国立民族学博物館の収蔵コレクションに欠けている部分を補うものである。なお、今回収集した資料は、2004年の特別展「アラビアンナイト大博覧会」の時に民博が所有者より借用したものとなり、イスラーム書道という書道文化についての知識を広げることができた経緯がある。

▸ 北アメリカ北西海岸バンクーバー島のクワクワカワクゥの儀礼用マント「サンダーバードのボタンブランケット」の収集:日髙真吾

2020年度に収集したトーテムポールの関連資料として収集するものであり、儀礼用マントはトーテムポールの建立時のポトラッチ儀礼などの時に建立者側の人びとが身にまとい、踊る。仮面とともに重要な儀礼具のひとつである。今回の収集では、2020年6月に国立民族学博物館前庭に建立したトーテムポールの制作者であるビル・ヘンダーソン(Bill Henderson)氏にボタンブランケットの制作を依頼し、完成品を収集した。

▶ 標本資料の収集(テーマ別収集):日髙真吾

▸ 南北アメリカにおける現代的な民衆芸術の収集:日髙真吾

展示

▶ なし

博物館社会連携

▶ ボランティア活動支援:齋藤玲子

国立民族学博物館におけるボランティア活動者の受入要項に基づき、登録したボランティア団体であるMMP(みんぱくミュージアムパートナーズ)の活動支援をおこなった。

▶ ワークショップの実施ならびにワークシートの運用:齋藤玲子

特別展関連ワークショップを3種類3日間(全5回)、夏休みこどもワークショップ(1回)、年末年始イベント(3回)を実施した。講師による講義、展示観覧および講師による展示解説、制作等の体験をとおして、参加者が特別展のテーマ「さわる」ことに関する理解を深める内容とした。ワークシートについては、ホームページにて公開し、使用希望者が自由にダウンロードできるように運用している。令和3年度は、あらたに「みんぱくを探検しよう!―イスラーム編」とその内容についての解説、および「アクティビティ・カード」(8種類)と「アクティビティ・カード先生向け利用案内」を追加公開した。

▶ 音楽の祭日 2021 in みんぱく:福岡正太

「音楽の祭日2021 in みんぱく」の特設サイトを6月6日(日)~6月27日(日)まで開設し、そのページ上にて20団体より投稿された演奏の様子を収録した動画を公開し開催した。

▶ みんぱっくの改訂版制作(モンゴル―草原のかおりをたのしむ):齋藤玲子

学校機関や各種社会教育施設を対象に貸出を行う学習キット「みんぱっく」は、パック制作後10年を耐用年数とし、また、時代に即した内容にするためにも改訂を行う必要がある。2021年度は「モンゴル――草原のかおりをたのしむ」について、改訂のための内容物の購入、購入物の殺虫・殺菌処理(カポックスによるくん蒸)、および内容物の写真撮影を行った。

▶ みんぱっくの複製版制作(モンゴル―草原のかおりをたのしむ):齋藤玲子

学校機関や各種社会教育施設を対象に貸出を行う学習キット「みんぱっく」のなかでも、「モンゴル―草原のかおりをたのしむ」は、全パックの中で一番利用が多いものである。貸出時期は、小学校の国語のカリキュラム「スーホの白い馬」の学習時期に集中するため、毎年5件程度の予約希望を断る状況となっている。これを解消し、より多くの貸出希望にこたえられるようにするために、複製版を制作した。