Select Language

令和4年度文化資源計画事業一覧

資料関連

▶ 標本資料「難民に関する資料」の寄贈受入:森 明子

2015年、中東やアフリカから膨大な数の難民が、トルコや南欧を経由してヨーロッパ大陸に渡った。現代世界のグローバル化、脱領域化を示す事象である。この移動について、難民自身、また、難民を受け入れたホスト社会の人びとの経験に光をあてて、本館展示のヨーロッパ展示場で展示するため、難民としてヨーロッパに渡った人から、資料の寄贈を受け入れる。

▶ 標本資料「金守世士夫インドネシア民族資料コレクション」の寄贈受入に伴う事前調査:信田敏宏

本事業は、版画家金守世士夫氏が生前に集めたインドネシア(一部、マレーシアを含む)の仮面、神像、染織品等のコレクションの寄贈受入に伴う事前調査を実施するものである。

▶ 標本資料「東部ネパールの銀製装飾品等」寄贈受入:南真木人

本事業は1979~1980年に主に東部ネパールのダンクタで収集され、伊丹市立博物館に収蔵されてきた首飾りや腕輪等の銀製装飾品など22点の資料を民博に寄贈受入し、南アジア資料の更なる充実を図るものであった。収集年月日と収集地が明らかな、現在では同等の状態のものの入手が困難な貴重な資料を収蔵することができた。

▶ 標本資料「パプアニューギニアの民族資料」の寄贈受入:ピーター・マシウス

Not yet implemented. The materials have not yet been received, as the process for removal from the Itami city collection could not yet be completed. Contact was made with the original collector in 2022. After receiving the materials, we hope to have discussions with the original collector.

▶ 標本資料「ベトナムの伝統民族衣装アオザイ」の寄贈受入:樫永真佐夫

東南アジアの民族衣装の資料として、ベトナムの伝統民族衣装アオザイを寄贈する。今後、東南アジアの民族衣装に関する研究活動や博物館活動等において活用することが期待できる。

▶ 標本資料「ハサン・マスウーディーのアラビア書道作品」寄贈受入:西尾哲夫

イスラーム書道(あるいはアラビア書道)において現代を代表するハサン・マスウーディーからの寄贈によって作品を受け入れた。同氏は、バグダードで生まれイスラーム書道の古典の技を修め、パリで美術を学び、その地で日本の書道に出あうことでまったく新しいイスラーム書道の作風を革新した。今回寄贈予定の作品には、マスウーディーの古典書道作品も含まれ、テーマや作風の面からも彼の芸術性の拡がりを示すものとして、本館所蔵資料をより完全なものにするために不可欠な資料である。

▶ 標本資料「金守世士夫インドネシア民族資料コレクション」の寄贈受入:信田敏宏

本事業は、版画家金守世士夫氏が生前に集めた、1478点におよぶインドネシア(一部、マレーシアを含む)の仮面、神像、染織品等のコレクションの寄贈受入を実施するものである。

▶ 標本資料「テケルー」の寄贈受入:福岡正太

本館の楽器コレクションの充実をはかるため、ハンガリーの弦楽器テケルーの寄贈を受け入れた。テケルーは、中世以後ヨーロッパで広く用いられた楽器ハーディガーディの一種で、弦に接触した円盤をハンドル(クランク)で回転させることで音を出す。当該楽器は打弦楽器ツィンバロン奏者の加藤靖子氏がバールショニ・ミハーイ氏に制作を依頼したもので、その後、テケルー奏者高久圭二郎氏に贈られ、このたび高久氏によりハンガリー大使館を通して寄贈された。

▶ 標本資料「ミクロネシア・ヤップに関する海洋文化関係の資料」の寄贈受入:丹羽典生

本事業は、1973年から1989年かけて文化人類学者である牛島巌が調査の際に収集したカヌーの模型や貝貨の寄贈を受け入れるものである。オセアニアにおける海洋文化とその継承といった文化遺産に関わる研究、及び、日本のミクロネシアにおける海外学術調査の歴史に関する研究に寄与することができる。

▶ 標本資料「バナナを持つガネーシャ神像」の寄贈受入:三尾 稔

ヒンドゥー教の主要な神の一つであるガネーシャの神像を在大阪・神戸インド総領事館からの寄贈品として受け入れ、本館のヒンドゥー神像のコレクションの充実を図る。ガネーシャ神は象頭人身の姿を取り、ヒンドゥー教徒はもとより、その特徴的な姿からインド以外の非ヒンドゥー教徒の間でもこの宗教の代表的な神として認知され親しまれている。ヒンドゥー教徒の間では、富と豊穣をもたらす神、また災厄を踏みつぶし払い除ける神として人気があり、図像、染織、金属・土・木などの素材による立体像などさまざまな媒体により、多様な姿で現され、寺院・祠・住居・商店や企業などに安置され信仰の対象とされてきた。本館にもさまざまなガネーシャ神像の資料が収蔵されているが、今回受け入れを提案する神像は手の平からバナナの房が垂れている姿を取る点が非常に特徴的であり、本館のコレクションにはないものである。バナナは多産や豊穣を象徴するものと考えられ、この神の属性の一つを強調的に表しており、寄贈者によれば制作されたインド南部のタミル・ナードゥ州では近年人気のある像の一つとなっている。

▶ 標本資料「宮田伊津美・中国少数民族資料コレクション」の寄贈受入に伴う事前調査:奈良雅史

▶ 資料関連分野(標本資料の寄贈受入)「カシミール木彫品の寄贈受入」: 南真木人

インドのカシミール地方では、クルミ材にスズカケの木(チナ―ル)やその葉を木彫した製品が作られてきたが、現在は衰退の一途をたどる。本事業では、1962年に収集されたこのカシミール地方の木彫品3点を寄贈受入し、南アジア資料の充実を図った。

▶ 標本資料「ニューカレドニアのタパ」の寄贈受入:ピーター・マシウス

Not yet implemented. The materials have not yet been received. Apparently the collecto/donor has had some difficulty with preparation.

▶ インドネシア、チルボンのガムランとワヤン人形の寄贈受入:福岡正太

インドネシア西部ジャワ北海岸地方で用いられているガムランおよび人形芝居に用いられる人形の寄贈を受け入れた。本館にはすでに中部ジャワ、西部ジャワ内陸部、バリのガムランおよび影絵を含む人形芝居に用いられる人形が所蔵されているが、寄贈を受け入れたガムランは、それらとは異なる地域のものであり、既存の資料を補い、インドネシアの多様な音楽・芸能の伝統を示す本館の楽器および芸能関連資料コレクションの充実につながった。

▶ 標本資料の撮影等業務(撮影業務委託):日髙真吾

本事業は、標本資料を研究、展示、情報提供等に有効利用するために、標本資料の撮影、計測、及びそれらに付随する業務をおこなうものである。標本資料の正確かつ詳細な画像情報を記録し、標本資料を有効に活用するための基礎的データの蓄積を目的としており、大学共同利用機関として資料に付随する情報の公開等に供するデータを作成する基盤的な事業である。

▶ 標本資料の撮影等業務(スタジオPC更新):日髙真吾

▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【標本資料関連】企画課長

本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関する情報サービス、展示準備・展示運営のための資料管理及び情報の作成・管理等を行うものである。

▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【データベース関連】:日髙真吾

本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関するデータベース掲載情報の作成、更新作業及び「人類の文化資源に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築」、「地域研究デジタルアーカイブに」に係るデータ整理業務を行うものである。

▶ 有形文化資源の保存・管理システム構築:園田直子

本計画事業の目的は、館所蔵資料の保存と活用の両立を目的に、その保存・管理システムを緊急度に応じて構築することにある。①有形文化資源の保存対策立案では、総合的有害生物管理(IPM)の考えのもと、生物被害の防除・殺虫対策に関わる資料管理活動を計画、統括した。②資料管理のための方法論策定では、博物館環境および博物館資料の調査、解析、総括をおこなうとともに、収蔵庫再編成に関わる活動を助言、支援した。③資料の科学的調査法の推進では、本館の資料調査および他機関との共同利用を念頭に、物理的・化学的・光学的の各種調査の実施と拡充およびそのための体制と運用を構築した。

▶ 標本資料「アラビア書道関連資料」の勘定科目替え:相島葉月

本事業は、申請者である相島葉月が、2025年春に開催予定の企画展「アラビア書道のグローバルな展開―日本、西欧、中東のはざまで―」の展示資料として購入した物品を標本資料として勘定科目替えすることを目的とする。
2021年12月にアラビア書道にユネスコ無形文化遺産に登録されたことが示すように、文字を手で美しく書くという芸術は、過去の遺産となりつつある。かつて書道家の仕事であった手書きの看板や広告はカイロの街並みから姿を消し、ハーヤミィヤの職人は数えるほどしか残っていない。今回収集した資料は、デジタル化時代においてアラビア語の手書きや手仕事の意味が、グローバルな潮流に対応しながら変化していることを示している。本資料を勘定科目替えし、標本資料として登録することで、企画展の後、常設展での展示も可能となる。

▶ 標本資料の収集(個別収集):日髙真吾

▶ 標本資料の収集(テーマ別収集):日髙真吾

展示

▶ コレクション展示「現代中国を、カワウと生きる―鵜飼の知識とテクニック」(仮題):卯田宗平

本展示は、プロジェクトリーダーである卯田宗平が中国各地で撮影した鵜飼に関わる写真と映像を中心に、本館が所蔵する鵜飼い船もあわせて公開したものである。本展示を通して、日本ではなじみがない中国における鵜飼の技術や知識、鵜と人間とのかかわりを紹介し、現代中国をカワウと生きぬく漁師たちの技について考えた。

博物館社会連携

▶ ボランティア活動支援:上羽陽子

国立民族学博物館におけるボランティア活動者の受入要項に基づき、登録したボランティア団体であるMMP(みんぱくミュージアムパートナーズ)の活動支援をおこなった。

▶ ワークショップの実施ならびにワークシートの運用:上羽陽子

学術的成果を広く社会に還元し公開することを目的とし、本館の研究活動ならびにその成果としての展示の内容を活用したワークショップおよびワークシートの開発を、計画的に実施した。
特別展関連ワークショップを2種類5日間(全8回)、企画展関連ワークショップを2種類3日間(全5回)、夏休みこどもワークショップ(1回)、年末年始イベント(全3回)を実施した。当館の教員や外部講師よるに講義、展示観覧および制作等の体験をとおして、参加者の文化人類学・民族学に対する社会の興味と関心を高めることができる内容とした。
ワークシートについては、ホームページにて公開し、使用希望者が自由にダウンロードできるように運用している。令和4年度は、昨年度に引き続き「アクティビティ・カード(8種類)を使用した学校団体にアンケート調査を行った。

▶ 音楽の祭日 2022 in みんぱく:福岡正太

「音楽の祭日」は、1982 年にフランスで生まれた「音楽の祭典」にならい、毎年、夏至の日を中心に世界的に開催される音楽行事である。本館も「音楽の祭日」の趣旨に賛同し、社会連携の一環として「音楽の祭日2022 in みんぱく」を、新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、令和4年6月26日(日)に会場参加およびオンライン(ライブ配信)配信併用で開催した。

▶ カムイノミ及び「アイヌ古式舞踊」演舞の実施:齋藤玲子

当館が所蔵するアイヌの標本資料に対して、安全な保管と後世への確実な伝承を目的に、祈りの儀式(カムイノミ)を休館日に非公開でおこなった。なお、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、カムイノミを優先して、招聘者を最小限の人数としたため、古式舞踊の演舞は、中止とした。

▶ みんぱっくの改訂版制作(モンゴル―草原のかおりをたのしむ):上羽陽子

学校機関や各種社会教育施設を対象とした貸出用学習キット「みんぱっく」は、パック制作後10年を耐用年数とし、また、時代に即した内容にするためにも改訂を行う必要がある。令和4年度は「モンゴル――草原のかおりをたのしむ」について、制作を完了した。

▶ みんぱっくの複製版制作(モンゴル―草原のかおりをたのしむ):上羽陽子

学校機関や各種社会教育施設を対象に貸出を行う学習キット「みんぱっく」のなかでも、「モンゴル―草原のかおりをたのしむ」は、全パックの中でも利用が多いものである。貸出時期は、小学校の国語のカリキュラム「スーホの白い馬」の学習時期に集中するため、毎年複数の予約希望を断る状況となっている。これを解消し、より多くの貸出希望にこたえられるようにするために、複製版を制作した。

▶ みんぱっくの改訂版制作(ソウルのこども時間):上羽陽子

学校機関や各種社会教育施設を対象とした貸出用学習キット「みんぱっく」は、パック制作後10年を耐用年数とし、また、時代に即した内容にするためにも改訂を行う必要がある。「ソウルのこども時間」は平成25年に作成し、運用を開始したもので、令和5年度で運用10年の改訂時期を迎えることから、改訂に着手した。

▶ 博物館社会連携事業強化プロジェクト:岡田恵美

本プロジェクトの目的は、社会連携事業検討ワーキングが主体となり、本館の博物館社会連携事業を既存プログラムの改良と新プログラムの研究開発によって強化することである。第4期中期計画・中期目標において社会連携事業検討ワーキングが掲げる、以下4点の課題(基幹活動)を遂行した。
1. 高等教育に対する教育プログラムの立案および実施
2. 教育研究機関との連携事業の実施と実用化
3. ワークショップ・ワークシートの開発
4. 貸出用学習キット「みんぱっく」の活用
課題1に関しては、大学共同利用機関である本館が、高等教育の実情やニーズに沿い、高等教育に資する共同利用性の視点に立った高等教育プログラムの立案・実施を最終目的とするものである。令和4年度は、その「準備段階」として、これまでの高等教育関による本館やその文化資源の活用に関するデータを収集・抽出し、利用実態の把握および分析に注力した。
課題2〜4に関しては、図書館との連携事業を発展させ、博物館と図書館が持つ人材や専門性、所蔵資料、学術資源を互いに循環させて地域のこどもたちへ学びの場を提供することを目的とし、読書の森 松原市民松原図書館(以下、松原市民図書館)との連携事業を企画・実施した。また、「アクティビティ・カード」やみんぱっくを中心とした本館のこども向け開発ツールについては、松原市民図書館との連携事業で効果的に活用した他、学校教員を対象とした講演や海外からの博物館関係者へのセミナー等を通して周知・普及の活動を推進させた。