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令和3年度文化資源プロジェクト一覧

調査・収集

▶ なし

展示

▶ 特別展「復興を支える地域の文化―3.11から10年」:日髙真吾

未曽有の被害をもたらした東日本大震災。2021年はこの震災から10年目を迎える。東日本大震災では、復興過程において、被災地の地域文化の果たす役割が大きな注目を集めた。本展示では、東日本大震災からの10年の復興過程のなかでの地域文化の動向を紹介し、ミュージアムの視点から地域文化の防災・減災を考えた。

▶ 特別展「ユニバーサル・ミュージアム-さわる!“触”の大博覧会」:廣瀬浩二郎

2021年9月2日~11月30日に特別展「ユニバーサル・ミュージアム-さわる!“触”の大博覧会」を開催した。会期中の9月~10月は関連イベントの中止、実施方法のオンラインへの変更が相次いだが、11月は予定どおりワークショップ、研究公演などを行うことができた。また、開幕にあわせて特別展図録『ユニバーサル・ミュージアム』(小さ子社)を発行した。

▶ 特別展「邂逅する写真たち―モンゴルの100年前と今」(仮称):島村一平

およそ100年前、多くの探検家たちがモンゴルで多くの写真を撮影し現在に伝えている。一方、研究者はもちろん現代のモンゴルの写真家たちも自らの社会を見つめ、写真で表現するようになった。100年前の欧米の探検家たちが残したモンゴルに対するまなざしと現代モンゴル人の自らの社会に対するまなざし。本展示は、こうした写真をめぐる100年の時空を越えた邂逅をテーマに展示するものである。過去と現在の違いのみならず、まなざす者の違いによって、どのような世界が描かれているのかを、比較しながら展示した。

▶ 企画展「躍動する布——布がひらくインド世界」(仮称):上羽陽子

本プロジェクトは、インドを中心に南アジアにおける布の役割や機能を明らかにすることで、グローバル化が進む現代インドの社会や文化の持続と変容動態を紐解くことを目的とした。インド社会における布(着衣や儀礼用布など)の使途の多様性や、布が人や神に作用する機能などに注目した企画展「躍動するインド世界の布」を2021年10月28日から2022年1月25日まで本館・企画展示場において実施した。

▶ 企画展「佐々木高明の見た焼畑-五木村から世界へ-」:池谷和信

本館の元館長・佐々木高明は、焼畑研究の第一人者として知られている。これまで、本館では、佐々木の撮影した写真を整理してデータベースとして公開してきた。同時に、佐々木の研究の出発点となった熊本県五木村にて氏の撮影した写真を紹介することから、現地の方々との研究交流会(2019年11月)および共催展示(2020年10月3日~12月13日)を進めてきた。そこで、本展示では、国立民族学博物館・五木村ヒストリアテラス五木谷との共同開催において、氏の撮影した五木村での焼畑の写真や道具を中心にして国内外での焼畑文化を紹介することが目的であった。同時に本展示は、五木村の事例から日本(九州、四国、北陸、東北ほか)や世界(台湾・東南アジア・南アジア・アフリカ・アマゾンほか)の食と農の未来のあり方を考える試みでもあった。

▶ 巡回展「子ども/おもちゃの博覧会」(島根県立古代出雲歴史博物館):笹原亮二

2019年3~5月に民博で開催した特別展「子ども/おもちゃの博覧会」を、島根県立古代出雲歴史博物館(島根県出雲市)において、巡回展として開催した。展示は、近代日本における「子ども」の誕生を、子どもに関する玩具を初め、生活用品・教材などの様々なモノの展示を通して明らかにすることを目的として、民博所蔵のビッグバン旧蔵資料を主とし、島根県立古代出雲歴史博物館所蔵の資料を加えて構成した。

▶ 巡回展「ビーズ―つなぐ・かざる・みせる」(国立アイヌ民族博物館):池谷和信

本計画では、民博所蔵の標本資料を中心に活用して、世界における多様な素材で作られたビーズを国立アイヌ民族博物館にて展示することで、私たち人類ホモ・サピエンスの文化の特質を理解する機会にした。具体的には、2017年に開催された民博・特別展示・ビーズの構成を踏襲しながらも、アイヌおよび北海道とその周辺地域のビーズ文化の特徴とその普遍性がみえるような内容とした。

▶ 巡回展「驚異と怪異――想像界の生きものたち」(仮)(高知県立歴史民俗資料館):山中由里子

ヨーロッパや中東においては、犬頭人、一角獣といった不可思議ではあるが実在するかもしれない「驚異」は、自然誌の知識の一部として伝えられた。また、東アジアにおいては、奇怪な現象や異様な物体を説明しようとする心の動きが、「怪異」を生み出した。本展示では、常識や慣習から逸脱した「異」なるもの(異境・異人・異類)をめぐる人間の心理と想像力の働き、言説と視覚表象物の関係を解明するとともに、人間の想像力と環境の相関関係を究明する。具体的には、人魚、龍、河童、天狗、狼男など、この世のキワにいるかもしれないと信じられていた驚異や怪異にまつわる絵画、書籍、民族資料などを展示し、さらに現代の幻獣観光と商品化、漫画家によるクリーチャー制作も紹介する。巡回展では、ローカルな民俗資料を追加し、地域文化との関連も示す。

▶ 巡回展「驚異と怪異――想像界の生きものたち」(仮)(福岡市博物館):山中由里子

ヨーロッパや中東においては、犬頭人、一角獣といった不可思議ではあるが実在するかもしれない「驚異」は、自然誌の知識の一部として伝えられた。また、東アジアにおいては、奇怪な現象や異様な物体を説明しようとする心の動きが、「怪異」を生み出した。本展示では、常識や慣習から逸脱した「異」なるもの(異境・異人・異類)をめぐる人間の心理と想像力の働き、言説と視覚表象物の関係を解明するとともに、人間の想像力と環境の相関関係を究明する。具体的には、人魚、龍、河童、天狗、狼男など、この世のキワにいるかもしれないと信じられていた驚異や怪異にまつわる絵画、書籍、民族資料などを展示し、さらに現代の幻獣観光と商品化、漫画家によるクリーチャー制作も紹介する。巡回展では、ローカルな民俗資料を追加し、地域文化との関連も示す。

▶ 巡回展「復興を支える地域の文化―3.11から10年」:日髙真吾

2021年は、未曽有の被害をもたらした東日本大震災から10年目を迎える年である。東日本大震災では、復興過程において、被災地の地域文化の果たす役割が大きな注目を集めた。本展示では、東日本大震災からの10年の復興過程のなかでの地域文化の動向を紹介し、ミュージアムの視点から地域文化の防災・減災を考えるため、民博で開催した特別展を国文学研究資料館に巡回した。

▶ 特別展示「homō loquēns 「しゃべるヒト」~ことばの不思議を科学する~」開催準備:菊澤律子

人間言語に関する展示会を、言語学の諸分野および言語に関連する他の分野の共同の研究成果公開の場として、2022年秋に民博の特別展示場において開催する。手話言語と音声言語という二つの言語をとりあげ、これらに共通してみられる「言語」の本質と、伝達方法の違いから生まれる特徴を明らかにする。また、言語障害を含めた包括的な情報を提供することで、言語の学術的、文化的、社会的、また生物的な意味、自分と異なる言語を話す話者の社会における立場について考えてもらう場を提供し、言語の多様性は人類がもつ財産であることをうったえる。

▶ 特別展「ラテンアメリカの想像力」(仮題)の予備調査:鈴木紀

本プロジェクトは、2023年春にラテンアメリカの文化に関する特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」を開催するための企画、収集、設計、施工、広報、会場管理、関連事業の企画運営等を3年計画で行うものである。民衆芸術(英語のfolk art、スペイン語、ポルトガル語のarte popular)とは手工芸品の美的価値を強調する文脈で用いられる概念であり、歴史的に多様な文化が混淆してきたラテンアメリカ地域では、さまざまな民衆芸術が存在する。特別展では、主に国立民族学博物館が収蔵する資料を活用して、その多様性と歴史性を示す。

▶ 特別展示「ヒンドゥー神像の世界」(仮題)の予備調査:三尾稔

2023年秋に開催を検討している本館の特別展示に向け、本プロジェクトの文化資源共同研究員とのあいだで研究打合せを行い、その基本概念や関連する研究課題についての検討と深化を図った。また展示に必要な資料選定を進める一方、2022年度には新型コロナウィルス感染症流行が収束し海外での現地資料収集が可能となり得ることを想定して展示の実施に必要な資料収集の計画を構想した。

▶ 企画展「海と人類―海域アジア・オセアニアの漁具~儀礼具まで」(仮称)開催準備:小野林太郎

本プロジェクトは2022年度の9~12月にかけて開催を計画している企画展の開催準備を行うものである。主な作業として、展示する資料の選定やリスト製作、展示内容の構成や配置計画について検討を進めた。

▶ 特別展「吟遊詩人の世界」(仮題)の予備調査:川瀬慈

2024年度に開催を計画している特別展「吟遊詩人の世界」(仮題)にむけ、研究会合を開催し、本プロジェクトの文化資源共同研究員と協議を重ねた。そのなかでは、本展示のコンセプトの深化をはかると同時に、各研究員が担当する展示セクションの内容、それらに必要な資料選定を進めた。展示で活用するための写真・動画等、映像音響資料の選定、映像編集もすすめた。さらに、新型コロナウィルスの世界的なパンデミック状況の推移を慎重に見極めつつ、2022年度以降、海外での現地資料収集が可能となることを想定しつつ、資料収集計画をたてた。

社会連携(研究開発)

▶ 知的障害者の博物館活用に関する実践的研究:信田敏宏

知的障害者を対象とした試行的ワークショップ「みんぱくSama-Sama塾」を開催した。知的障害者にとっても分かりやすく、楽しめる博物館の活用モデルを目指し、知的障害者が博物館を活用する際に必要とされる支援や改善点などを検討しながら実施した。

▶ 博物館社会連携事業強化プロジェクト:吉岡乾

本プロジェクトの目的は、博物館社会連携専門部会のもとに位置する博物館社会連携事業検討ワーキンググループ(以下、本ワーキング)が2018年10月から研究開発してきたプログラムや、常設展示の観覧支援ツールであるワークシート、こどもパンフレットなどを改良し、運用をしながら課題を探ることである。2021年度は以下の3つの活動のための調査研究を行なった。
① ワークシートの改良と種類の増加
② 近隣公共施設との連携事業の実施と運用マニュアルの作成
③ こどもパンフレットの修正・完成
当初予定していた上記の3つの活動に加えて、2021年度は第3期中期目標・中期計画期間(以下、第3期)の最終年度に該当することから、本ワーキングが第3期中に行った活動および活動成果を広く館内外に周知するために、以下の報告および発信に関わる活動を実施した。
④ 『第3期中期目標・中期計画期間 博物館社会連携事業強化プロジェクト活動報告書』の発行
⑤ 博物館関係者向けオンライントーク「博物館とこども」の実施
⑥ 館外への発信を目的としたブックレット『博物館とこども』の発行・配布
⑦ 『博物館とこども』の電子ブック化およびホームページ公開