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令和6年度文化資源プロジェクト一覧

調査・収集

▶ 特別展「シルクロードの商人(あきんど)語り-サマルカンドの遺跡と遙かなるユーラシア交流-」(仮称)のための標本資料収集:寺村裕史

特別展「シルクロードの商人(あきんど)語り-サマルカンドの遺跡と遙かなるユーラシア交流-」(仮称)に向けての準備として、刺繍布や民族衣装、現代のドレス、刺繍の入ったバッグ、壁飾り、分銅など、特別展で展示する民博に未収蔵の標本資料の新規収集を、令和6年9月にウズベキスタン(サマルカンド市周辺)において実施した。これらの資料は、現代の商いの場において売買されているものであり、商人へのインタビュー映像も同時に撮影しており、特別展において展示・公開する予定である。

展示

▶ 特別展「日本の仮面——芸能と祭り」:笹原亮二

国内各地には、さまざまな仮面がさまざまなかたちで用いられ、重要な役割を果たしている芸能や祭りが伝わっている。こうした各地の仮面と芸能と祭りの多様性は、仮面が用いられる芸能や祭りの歴史的な展開及び、それらの全国各地への伝播・定着とその後の地域社会における伝承を通じて形成されてきたとみることができる。本特別展では、こうした多様性に富んだ仮面のありようを、民博の所蔵資料を初め、各地の社寺や地域コミュニティ、博物館や資料館などが所蔵する様々な仮面の展覧を通じて紹介する。

▶ 特別展「吟遊詩人の世界」:川瀬慈

令和6年(2024年)9月19日から12月10日までの期間に開催された、みんぱく創設50周年記念特別展『吟遊詩人の世界』にあたり、文化資源共同研究員と協議を重ねながら、展示期間中に実施される各種イベント(映画上映、セミナー、ライブパフォーマンス等)の企画・運営をはじめ、図録の執筆、各研究員が担当する展示セクションにおける資料調整、さらに映像・音響資料の編集と調整など、多岐にわたる業務を行った。

▶ 特別展「民具のデザイン——生活文化の造形」(仮称):日髙真吾

2024年度は、特別展「民具のデザイン−生活文化の造形」(仮称)準備として作業を行った。その結果、本特別展の正式名称をみんぱく創設50周年記念特別展「民具のミカタ博覧会――見つけて、みつめて、知恵の素」、英語名称をA Special Exhibition forthe 50th Anniversary of the Museum’s Founding : MINGU Design Expo –Discovering Sources of Wisdomとした。また、会期は、2025年3月20日(木)~6月3日(火)として、実施設計を完成させ、展示を開幕させることができた。

▶ 企画展示「水俣病を伝える」:平井京之介

1990年代以降、熊本県水俣・芦北地域では、非営利団体や行政を中心として、水俣病の歴史を伝える活動が活発におこなわれてきた。本プロジェクトでは、それらの活動に使われてきたモノや写真、ビデオ映像、展示パネル、教材等を通じて、水俣地域での水俣病の歴史を伝える活動とそれに取り組んでいる人びとを紹介する。

▶ 企画展「客家と日本」(仮題):奈良雅史

2024年9月5日から12月3日にかけて国立民族学博物館において、台湾の客家委員会客家文化発展センターとの共催で、みんぱく創設50周年記念企画展「客家と日本――華僑華人がつむぐ、もうひとつの東アジア関係史」を開催した。本企画展を通じて、日本ではあまり馴染みがない客家の文化や歴史を紹介するとともに、客家と日本の関係を描き出すことで、これまであまり知られることのなかった東アジア関係史の一面を検討した。

▶ 企画展示「点と線の美学——アラビア書道の世界」(仮題): 相島葉月

2021年12月にユネスコ無形文化遺産に登録されたアラビア書道(fann al-khatt al-‘arabi)は、イスラーム世界を代表するヴィジュアルアートの伝統として知られている。当初はアラビア文字を読み易く書くための技術であったが、モスクやクルアーンなどを装飾するための芸術として発展した。アラビア書道はイスラームの芸術表現と結び付けられがちであるが、現代アートとして作品制作に取り組む欧米や日本出身の非ムスリム作家も多数存在する。また、その題材もイスラームや西アジアの文化にとどまらず多岐にわたり、表現の手法も日々あらたなものが生まれている。
2024年度は展示のコンセプトを詰め、資料の熟覧をして展示資料の選定を実施した。10月に図面が確定した後、キャプションや解説パネルの原稿依頼をかけた。新着資料と借用資料を中心とした展示であるため、資料の写真が揃うのが大きく遅れたため、広報に後れを取っている。

▶ 巡回展「ユニバーサル・ミュージアム——さわる!“触”の大博覧会」(福岡・直方谷尾美術館):廣瀬浩二郎

2024年7月6日~9月16日に直方谷尾美術館において「ユニバーサル・ミュージアム――さわる!“触”の大博覧会 直方巡回展2024」を開催した。2021年のみんぱく特別展の展示物のみならず新たな資料・作品もくわえ充実した巡回展となった。関連イベントとして監修者によるギャラリートークを3回、出展作家によるワークショップを2回実施した。2か月余の会期をつうじて来場者数は3000名を突破することができた。

▶ 巡回展「驚異と怪異——想像界の生きものたち」(国立アイヌ民族博物館):山中由里子

人類は、常識や慣習から逸脱した「異」なるものをどのように認識し、説明し、描いてきたのか。本展は人魚や龍、河童など、想像界の生きものの多様性について、様々な民族資料を通して紹介し、人間の想像と創造の力の源泉を探った。アイヌ民族の歴史と文化を扱う国立アイヌ民族博物館ならでは資料も追加し、アイヌの想像界をグローバルな文脈と接続し、その独自性や普遍性を探った。

▶ 巡回展「Homō loquēns「しゃべるヒト」ことばの不思議を科学する」(京都府立医科大学医学科共同企画):菊澤律子

2024年度の第一回打ち合わせは、4月30日にオンラインで行い、その後月に約一回のペースでオンライン打合せを実施し、三日間のスケジュールや出演者等の事項について検討。8月6日の打合せより、会場構成を担当する展示業者の尾入氏が参加。また10月29日の打合せよりグラフィックデザイナーの佐藤氏、会場の運営委託業者であるコングレの担当者も含めて具体的な内容の検討を行っている。現在、展示グラフィックデザインのラフが完成しており、関連イベントのスケジュールおよび登壇者が確定した段階である。

▶ 国際連携展示「驚異と怪異——想像界の生きものたち」(中国巡回):山中由里子

人類は、常識や慣習から逸脱した「異」なるものをどのように認識し、説明し、描いてきたのか。本展は人魚や龍、河童など、想像界の生きものの多様性について、様々な民族資料を通して紹介し、人間の想像と創造の力の源泉を探る。本プロジェクトは、令和元年に国立民族学博物館で開催された特別展「驚異と怪異」の枠組みを中国の地方博物館数館において展開するための準備である。展示構成やコンセプトは民博で開催した特別展の枠組みを踏襲し、当館の民族資料に中国側の資料も追加し、人間の想像力の面白さに迫る。

▶ 特別展「船(舟)と人類——アジア・オセアニアと海の暮らし」(仮称)準備:小野林太郎

今年度は2025年度に開催予定の特別展の準備として、展示する標本資料の候補の選択と熟覧、また未撮影だった舟資料については写真撮影をおこなった。部材別に解体されていたスリランカのアウトリガー式カヌーについては、スリランカ人の船大工さんの指導の下にアウトリガーの装着も行った。展示図面や図録の執筆や製作も担当者らと検討を進め、展示図面はほぼ完成し、図録においてもほぼ計画通りのスケジュールで原稿が集まり、編集作業を進めることができた。

▶ 特別展「シルクロードの商人(あきんど)語り-サマルカンドの遺跡と遙かなるユーラシア交流-」(仮称)準備:寺村裕史

特別展「シルクロードの商人(あきんど)語り-サマルカンドの遺跡と遙かなるユーラシア交流-」(仮称)に向けての準備として、文化資源共同研究員(館内・館外)による特別展実行委員会を7月と10月に開催した。また7月の実行委員会の際には、収蔵庫において展示資料候補の熟覧調査もおこなった。
また、本プロジェクトとは別の文化資源プロジェクト(調査・収集分野)で、スザニ(刺繍)や民族衣装など特別展で展示する標本資料の新規収集もウズベキスタンにおいて実施している。さらには、国内での資料借用の協力を得るため浜名梱包輸送シルクロード・ミュージアムや駐日ウズベキスタン共和国大使館等を訪問し、打合せを実施した。

▶ 特別展「沙流川流域のアイヌのくらし」(仮題)のための予備調査:齋藤玲子

各自が展示候補資料の調査と情報館をしたうえで、オンライン会議で展示構成案について検討をおこなった。現段階では、時代順に「先史時代、創生神話」「近世」「1869~1899年:明治初期から北海道旧土人保護法制定まで」「1900~1945年:第二次世界大戦まで」「1946~1996年:戦後の観光産業、言論活動、二風谷ダム裁判など」「1997年~:アイヌ文化振興法(通称)制定以降、多様な生き方」といった区分とキーワードをあげて、詳細を詰めている。

▶ 黒潮アートプロジェクト——企画展「台湾原住民族アートの今」(仮題)の準備:野林厚志

本プロジェクトは、現代の台湾において先住民族アートをてがける中堅からベテラン世代の芸術家を招へいし、インスタレーションを中心とした作品を展示するものである。招へいされる芸術家はいずれも台湾の先住民族である台湾原住民族を出自とするものである。

博物館社会連携分野

▶ 2022年度秋の特別展示『Homō loquēns「しゃべるヒト」ことばの不思議を科学する』の国際共同利用を想定したウェブ化準備プロジェクト

2022年度秋の特別展示の内容をオンラインで閲覧可能にするためのウェブサイトのワイヤーフレームを確定しデザイン実装をすすめた。特別展示のキーポイントであった、i. 音声言語と手話言語を同等に扱うバイモーダル言語学を前提としたコンテンツの、ii. 3言語併用によるプレゼンを、ウェブ上でどのように見せるのか、また、入口が多様であるウェブというメディアにおける効果的な見せ方となるのかについて検討し、デザインを確定させた。