ラ・ヨローナ~彷徨う女~
開催日 | 2023年5月27日(土) |
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時間 | 13:30~15:55(開場13:00) |
場所 | 国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂) |
参加費 | 要展示観覧券(イベント参加費は不要) |
定員 |
定員に達しましたので申込受付は終了いたしました。キャンセル待ちは受け付けておりません。 350名(要事前申込) |
主催 | 国立民族学博物館 |
みんぱくワールドシネマ 映像から考える<人類の未来>第54回上映会
ラ・ヨローナ~彷徨う女~ / La Llorona
2018年/グアテマラ/97分/スペイン語・カクチケル語・イシル語/日本語字幕付き
【開催日】2023年5月27日(土) 13:30~15:55(開場13:00)
【監督】ハイロ・ブスタマンテ
【出演】マリア・メルセデス・コロイ マルガリータ・ケネフィック
【司会】菅瀬晶子(国立民族学博物館准教授)
【解説】鈴木紀(国立民族学博物館教授)
「映画解説」
中南米で古くから伝わる“ラ・ヨローナ(泣く女)”伝説をモチーフに、内戦下で凄惨な犠牲を生んだグアテマラの近代史の闇に、ホラーの要素も取り入れ斬新なアプローチで迫る。1980年代初めにマヤ系先住民族に対して凌辱や虐殺を重ねるなど、膨大な死者や行方不明者を出したとされる政府軍を指揮した罪で公判中の元将軍エンリケは、一旦は下された有罪判決も程なく覆り、自身の屋敷に舞い戻る。猛抗議に詰めかけた群衆に包囲され、籠城生活を強いられる一家に謎めく新入りメイドのアルマが加わるが、先住民を侮蔑し夫の暴虐の過去からも目を背けるエンリケの妻と、愛する父に懐疑的な葛藤を抱く娘との齟齬が深まる中、邸宅内で奇異な現象が相次ぐ。みんぱくワールドシネマでも上映された長篇デビュー作「火の山のマリア」(15)でベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いたハイロ・ブスタマンテ監督が、再び母国のグアテマラを舞台に、現実と幻想とのあいだを行き交いつつ、生命の尊厳を訴え、政治腐敗を根絶するべく負の歴史を問い直し、次世代へと未来を託す、物悲しくも厳粛な趣の意欲作だ。(映画評論家 服部香穂里)
記憶と抵抗のための映画
多くのグアテマラ人にとって映画「ラ・ヨローナ~彷徨う女~」は、フィクションではない。1960年代から1996年まで続いた政府軍とゲリラ間の紛争により、20万人以上の市民が殺戮され、その83%は先住民族であったと推定されている。中でも1982年にクーデターで政権についたエフライン・リオス・モント将軍には先住民族イシルに対する集団虐殺を指揮した嫌疑がかけられている。彼は2013年に懲役80年の有罪判決を受けたが、グアテマラ憲法裁判所は、被告に弁論の機会が十分に与えられなかったことを理由に判決を覆した。2015年に始まった再審は、被告が心臓発作によって2018年に死去したため、結審しないまま終了した。この結果、集団虐殺の事実だけが残り、その責任は曖昧なままである。
こうした事態に対してハイロ・ブスタマンテ監督が制作したのが本作である。国家によって行使された暴力を記憶し、責任が問われないことの不正義に抵抗するための映画である。その意義は、現在開催中の特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」の第4章で紹介している「記憶と抵抗の過程」の中で制作された作品と共通するものである。(鈴木紀)
映像から考える<人類の未来>国立民族学博物館 菅瀬晶子
映画がこの世に誕生して、120年あまり。最初は日常生活の一端を切り取ったものでした。いまや日本では年間に1300本に迫る数の映画が公開され、その内容も多種多様です。世界のさまざまな地域で、現在進行形で起きている問題を扱う作品も年々増えてきました。問題意識を喚起する手段として、映画は実に有効なのです。
みんぱくワールドシネマでは、所属する研究者の個別研究や現在進められている研究プロジェクトの内容に沿った映画を選び、その内容を研究者が解説することによって、最新の研究成果と映画のより深い理解を観客のみなさまと共有することを目的としています。紛争、差別、環境変動などを超えて、異なる価値観を持つ人びとはどう共存してゆくべきか。終映後、あらたな視座がみなさまの中に生まれれば、さいわいです。
申込みについて
定員に達しましたので申込受付は終了いたしました。キャンセル待ちは受け付けておりません。
- 事前申込制(先着順)での開催となります。
- 受付期間:2023年4月24日(月)~5月19日(金)16時(定員になり次第受付終了)
- ※ 解説時に手話通訳が必要な方は2023年4月28日(金)までにお申し込みいただき、その旨をお知らせください。
- ※ イベント予約サイトまたは電話でのお申込みを受付けます。(メールでのお申し込みは受付けておりません。ご了承ください。)
- 事前予約の方へ、当日11:00から本館2階会場入口にて展示観覧券を確認後、入場整理券を配付します。
- 受付期間内に定員に満たない場合のみ当日参加を受付けます。予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
お問い合わせ先
国立民族学博物館 企画課 博物館事業係
TEL:06-6878-8210(土日祝、休館日を除く9:00~17:00)
FAX:06-6878-8242