大地の静脈

2022年の春はモンゴルとの新しい出会いが待っています。 みんぱくの特別展には約100年前の古い写真が満載。 さらに現在の社会的課題も写し取っています。 とりわけ環境問題については、 この映画によって、 写真の背後にある人びとの息づかいを感じてください。 上映後はさらに詳しく、 映画の背景についてお話いたします。
開催日 | 2022年5月5日(木・祝) |
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時間 | 13:30~16:00(開場13:00) |
場所 | 国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂) |
参加費 | 無料/要展示観覧券 |
定員 |
定員に達しましたので申込受付、追加受付は終了いたしました。 (4/25更新)追加受付を4月26日(火)10:00から行います。 先着順となっておりますので、イベント予約サイトよりお申込みください。 160名(要事前申込) ※事前申込みをされた方には、当日11:00から本館2階会場前にて入場整理券を配布します。 |
主催 | 国立民族学博物館 |
共催 | 鳥取大学乾燥地研究センター |
新型コロナウイルス感染症の状況によっては、会期・イベント等を変更・中止する場合があります。事前にホームページでご確認ください。
プログラム
13:00 – | 開場 |
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13:30 – 13:40 | 挨拶(島村一平) |
13:40 – 15:20 | 映画上映(96分) 「大地の静脈 / Дэлхийн судал / Die Adern Der Welt / Veins of the World」 |
15:20 – 15:30 | 休憩 |
15:30 – 16:00 | 解説(小長谷有紀) |
16:00 | 閉会 |
大地の静脈 / Дэлхийн судал / Die Adern Der Welt / Veins of the World
2020年 / モンゴル・ドイツ合作 / 96分 / モンゴル語 / 日本語字幕付き
日本初公開
【開催日】2022年5月5日(木・祝)13:30~16:00(開場13:00)
【監督】 ビャンバスレン・ダワー
【出演】 バト=イレードゥィ・バトムンフ エネレル・トゥメン
【解説】 小長谷有紀(国立民族学博物館客員教員)
【司会】 島村一平(国立民族学博物館准教授)

映画解説
ドイツ在住のモンゴル人女性監督ビャンバスレンは、これまで「らくだの涙」や「天空の草原のナンサ」など、他者からの視線を大いに意識しながら、モンゴル遊牧民の生活の伝統的な姿と変容に焦点をしぼって、自文化を紹介する映画を制作してきた。今回は、さらにその延長線上にありつつも、鉱物資源開発に的をあてて、グローバルな課題と地域文化を接合する映画をつくりだした。国際的な開発がモンゴルではどのように現れるかが具体的に明瞭に描かれている。
モンゴルの草原部に暮らす11歳の少年アマラは、両親と妹と一緒に遊牧生活を送っていた。父は車の整備士として働き、母は自家製チーズをつくって地元の市場で売る。そんな平穏な日常が、金鉱を採掘しようとする国際的な鉱山会社の侵入によって脅かされていく。少年が母とともに経験する苦難と成長は、鉱物資源開発による環境破壊といま、まさに向き合わなければならないモンゴル人の運命そのものである。(小長谷有紀)
モンゴルの環境問題
モンゴル国の環境問題は大きく3つに分けられるだろう。
第一に、温暖化による砂漠化。気候変動により、モンゴル全土の76.9%に砂漠化が進んでいる。そこで、フレルスフ大統領は2021年10月の国連総会で、2030年までに10億本の植樹キャンペーンを実施すると約束した。実際に10月4日から「10億本の植林」キャンペーンがスタートし、大統領自ら、ウランバートル市内で植林した。全国の7.9%を占めている森林の面積を2030年に9%に拡大する目標が立てられている。樹木が地下の水分を蒸発させてしまうという課題は軽視されているようだ。
第二に、首都ウランバートルの大気汚染。2018年1月の大気汚染は世界保健機関が定めたPM2.5の国際的な安全基準値の133倍と計測され、世界最悪の値に達した。2019年5月、政府は5割削減を目標に、生石炭の市内搬入を禁止して改良固形燃料の豆炭を導入した。しかし、豆炭による一酸化中毒が発生するなど転換にも障壁がある。
第三に、鉱物資源開発による環境破壊。モンゴルには鉱物資源が約80種類あり、鉱床と鉱床になりそうな鉱徴が合わせて6000箇所もある。それらのうち重要なものは「戦略的鉱床」に指定され、露天掘りによる粉塵や、大勢の移住労働者による水不足をもたらしている。と同時に、「資源の呪い」と言われるように、汚職と経済格差をもたらして社会環境も劣化させている。一方、大がかりな機械を必要としない金の採掘には、ニンジャと呼ばれる零細な採掘者が従事してきた。砂金を洗う洗面器をかつぐ姿が、アメリカで流行したアニメ「ニンジャ・タートルズ」に似ていたからである。河川の断流、選鉱に用いる水銀による土壌汚染などの問題が山積みのままである。 こうした諸問題はモンゴル人自身が解決していかなければならないことを本映画はさりげなく伝えている。(小長谷有紀)
申込みについて
定員に達しましたので申込受付、追加受付は終了いたしました。
事前予約・定員制(先着順)での開催となります。
- 定員:160名
- 代表者を含め2名までお申込み可能です。
- 受付期間:4月4日(月)10:00 ~ 4月28日(木)17:00 定員になり次第受付終了。
※ 解説時に手話通訳が必要な方は、4月15日(金)までにお申込みいただき、その旨をお知らせください。
事前申込みをされた方には、当日11:00から本館2階講堂前にて入場整理券を配布します。
定員に満たない場合のみ当日参加を受付ます。
予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
※ オンライン(ライブ配信)の実施はありません。
お問い合わせ先
国立民族学博物館 企画課 博物館事業係
TEL:06-6878-8210(土日祝を除く9:00~17:00)
FAX:06-6878-8242