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外来種と淡水漁撈の民俗学―琵琶湖の漁師にみる「生業の論理」

館外での出版物

2022年3月31日

卯田宗平 (著)

昭和堂
【北東アジア地域研究成果】

出版物情報

  • 出版社:昭和堂 出版社ホームページはこちら
  • 定価:4,950円(税込)
  • ISBN:978-4-8122-2120-4
  • 判型:A5判
  • 頁数:232頁
  • 北東アジア地域研究(国立民族学博物館拠点・代表池谷和信)成果

主題・内容

琵琶湖の漁師たちにとって外来生物とは何か。日本の淡水漁撈をとりまく環境が大きく変化するなか、漁師たちは何を残し、何を捨て、新たに何を生み出すのか。「外来」に注目することで際立つ「生業の論理」を示す。

おすすめのポイント、読者へのメッセージ

本書の3つの特色
(1)外来魚の駆除か擁護かという二元論で捉えることができない漁師たちの「生業の論理」を明らかにした。
(2)民俗学や人類学、科学史や技術史を踏まえ、民俗学の技術論に新たな解釈枠組みを示した。
具体的には、技術の発展をその特徴に応じて「機械化」と「装置化」に分類し、さらに機械化をあえて進めない現象を「脱機械化(脱装置化)」とするなど民俗学研究に新たな分析視座を提示した。
(3)オオクチバスやブルーギルなどの外来魚問題の調査を通して、逆に在来としての琵琶湖漁業の特徴を明らかにした。
具体的には、琵琶湖の漁業には「限られた漁獲対象」、「特定の魚種を捕ることに特化した漁法」、「技術を規定する魚食文化」という3つの特徴がある。

目次

はじめに
第1章 いま、なぜ淡水漁撈なのか
第2章 新旧の技術トレード
  ――琵琶湖沖島のゴリ底曳き網漁におけるヤマアテとGPS
第3章 許された「乱獲」
  ――琵琶湖の外来魚駆除事業における漁師たちの対応とその背景
第4章 生業世界の技術論
  ――在来と外来を捉える視座
おわりに