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アーミッシュキルトを訪ねて 照らし出される日々の居場所へ

館外での出版物

2022年4月15日

鈴木七美(著)

大阪大学出版会
【科研プロジェクト成果】
【文化資源プロジェクト成果】
【「企画展「アーミッシュ・キルトを訪ねて-そこに暮らし、そして世界に生きる人びと」」成果】

出版物情報

主題・内容

無地の布を組み合わせた幾何学模様のアーミッシュキルトは、かれらの信仰にもとづくきまりに合わせて作られてきた。本書は、キルトづくりから、アーミッシュがプレーン(簡素)で共に生きるコミュニティを創り続ける理由を探求した。

おすすめのポイント、読者へのメッセージ

企画展「アーミッシュ・キルトを訪ねて―そこに暮らし、そして世界に生きる人びと」(2018年)の展示内容と関連する本書を、「展示記録パノラマムービー」と合わせて読んでいただければ幸いである。
口絵(カラー)では本書に登場するキルトと生活用品、本文では花や果実などの繊細なキルティングを掲載している。多様なキルトデザインやその名称、生活とのかかわりを示しながら、かれらのたどってきた歴史と、多様なグループの誕生も紹介する。アーミッシュのライフコースをたどり、相互扶助、平和主義、教育をめぐる信念を大切にするかれらのコミュニティが、現代の一般社会と呼応する様相にも触れる。

書評等での紹介

紹介

「『アーミッシュキルトを訪ねて 照らし出される日々の居場所へ』鈴木七美・著、大阪大学出版会、税込み2970円」『奈良新聞』〈本カフェ〉(2022年5月8日付)

新刊紹介

野村奈央「鈴木七美著『アーミッシュキルトを訪ねて・・照らし出される日々の居場所へ』(大阪大学出版会、2022年、2970円)」『アメリカ学会会報』210、9頁(2022年11月30日付)

書評

野村奈央「読者をアーミッシュの世界へと導いてくれる書――キルトが果たしてきた社会的役割を描き出す 鈴木七美著『アーミッシュキルトを訪ねて・・照らし出される日々の居場所へ』(大阪大学出版会、2022年、本体2700円)」『図書新聞』(2023年1月21日付)

目次

口絵(キルトと日用品)

はしがき

凡例

序 章

1 アーミッシュとアーミッシュキルト
2 キルトと居場所
3 ともに生きる人びとの居場所とは

第1章 アーミッシュキルトにかれらの暮らしを感じ取るために

1 アメリカンキルト
2 単色布を生かした幾何学模様のアーミッシュキルト

第2章 かれらの良き生き方のたどってきた道――信仰と行い

1 再洗礼派――聖書にもとづく新しい共同体
2 自分たちの聖書の理解を示した「シュライトハイム信仰告白」
3 再洗礼派における論点とコミュニティ
4 ヨーロッパにおけるアーミッシュ(アーミッシュメノナイト)の分裂

第3章 北米に移住したアーミッシュ――さまざまなグループの誕生

1 アメリカへの移動(マイグレーション)
2 一九世紀米国における「オールドオーダー」運動
3 二〇世紀の社会の変化とさまざまなグループの分離

第4章 日々の生活を慈しむキルト――アーミッシュの生活実践とその意味

1 頼り頼られる決意
2 聖書にもとづき互いに助け合う場所――教会コミュニティ
3 新しいテクノロジーへの対応
4 身につけるもの
5 離れていく仲間への厳しい制裁「シャニング」の意味

第5章 人生のみちゆきを表現するキルト――絆をつむぐ贈り物

1 若者から成人へ、将来を決める
2 アーミッシュの結婚――広がるコミュニティと交流
3 関係とケアをつなぐグロースドーディハウス
4 誰もが安心して過ごせる場(施設)――平和主義とケア空間の開発

第6章 誕生を祝い成長を願うキルト――生きる意味の探求

1 子どもたちの生活
2 アーミッシュスクール
3 アーミッシュの教育に関する闘い
4 アーミッシュメノナイトの学校
5 ライフロングラーニング――語り合いともに考える

第7章 遥かな人びとをつなぐキルト――交流の広がりから生まれる新たな地平

1 アーミッシュがかかわるビジネス
2 手作りの楽しみからケアのためにつくる鶏の缶詰
3 現代に続くキルティングビー――手芸を楽しみ人を想う
4 異なる者とつながる――ホスピタリティ
5 立ち寄り語りあう

終章

あとがき

引用と注釈

表 本書に掲載した国立民族学博物館所蔵標本資料の詳細

引用文献

索引 事項/人名/キルト(キルティング)関連