記憶と歴史の人類学――東南アジア・オセアニア島嶼部における戦争・移住・他者接触の経験 ★
館外での出版物

書名 | 記憶と歴史の人類学――東南アジア・オセアニア島嶼部における戦争・移住・他者接触の経験 |
著者名 | 風間計博・丹羽典生編 |
出版社 | 風響社 |
発行年月日 | 2024年3月25日 |
判型・体裁 | A5版 |
頁数 | 372頁 |
ISBN | 9784894893559 |
定価 | 3,960円(税込) |
研究 | 共同研究成果: オセアニア・東南アジア島嶼部における他者接触の歴史記憶と感情に関する人類学的研究(2018.10-2023.3) |
主題・内容
人間の感情を揺さぶる他者との接触という歴史的な記憶は、いかに活き活きと想起され、継承あるいは忘却されるのだろうか。公的な記憶と日常生活に根差した記憶という枠組みから、東南アジア・オセアニア島嶼部における戦争・移民・異質な他者との出会いの事例を人類学的に考察する。
おすすめのポイント、読者へのメッセージ
SNSの普及によって真実と虚偽が錯綜する不確実性の時代において、私たちは何を信じればよいのか、そして歴史における事実とは何か。文字に拠らない歴史と記憶を追究する人類学者たちが、読者に知的刺激を与え、ともに思考する論文集。
目次
序論―不確実性の時代における記憶と歴史の人類学(風間計博)
第一部 戦争・紛争の記憶と国家
第一章 沖縄シャーマニズムにおける「記憶の倫理」と痛みの民族誌(北村毅)
第二章 遺骨収容活動におけるつながりの辿り方と飛び越え方――戦没者と生者の関係の生成をめぐって(深田淳太郎)
第三章 ペリリュー島における太平洋戦争の記憶とモノのエイジェンシー(飯髙伸五)
第四章 記された記憶、刻まれた歴史──台湾東海岸の抗日事件記念碑から考える(西村一之)
第五章 九・三〇事件後のインドネシア地方社会と社会的記憶の現在(山口裕子)
第六章 想像の記憶と記憶の創造──インドネシアの博物館展示をめぐる一考察(金子正徳)
第二部 移動と定着の記憶
第七章 〈南洋群島〉という植民地空間における沖縄女性の生を辿る――「実践としての写真論」を手がかりに(森 亜紀子)
第八章 ディアスポラの家族史と民族の語り――フィジーの首都近郊におけるヴァヌアツ系少数民族の祖先語りの分析から(丹羽典生)
第九章 記憶の不安――フィジー・キオア島において「移民」であること(小林誠)
第一〇章 「キーシナリオ」の不在――イタリア在住のフィリピン系第一・五世代のあいまいな未来イメージをめぐって(長坂格)
第三部 他者接触と記憶の媒体
第一一章 皮膚から紙へ刻み写す――ビーチコマーと民族学者によるマルケサス諸島のイレズミの記憶(桑原牧子)
第一二章 モノのやりとりをめぐる齟齬と擦りあわせのプロセス――西洋人とトンガ人の歴史的出会い(比嘉夏子)
第一三章 パプアニューギニア、アンガティーヤの他者接触と世界の拡大をめぐる「記憶」(吉田匡興)
第一四章 西洋人にルーツを求める系譜語り――ミクロネシア連邦ポーンペイ島の親族関係にみる他者接触と史実性(河野正治)
第一五章 クリスマス島での英米核実験をめぐる記憶――キリバス人の被ばくの「語り」による再構築(小杉世)
あとがき(丹羽典生)
写真図表一覧
索引