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その空間を統治するのはだれか―フロンティア空間の人類学 ★

館外での出版物

書名 その空間を統治するのはだれか―フロンティア空間の人類学
著者名 佐川徹・岡野英之・大澤隆将・池谷和信
出版社 ナカニシヤ出版
発行年月日 2025年3月31日
判型・体裁 A5版
頁数 424頁
ISBN 9784779518171
定価 3,850円(税込)
研究成果 共同研究成果:
統治のフロンティア空間をめぐる人類学――国家・資本・住民の関係を考察する(2018.10-2023.3)

主題・内容

本書は、一九世紀から現在までのグローバルサウスと呼ばれるアフリカ、アジア、ラテンアメリカの国々を対象に国家による統治が希薄な地域に注目している。各地でのフィールドワークをもとに得られた資料から、国家や企業などの各種アクターによる地域統治への関わり方などが実証的に論じられている。

おすすめのポイント、読者へのメッセージ

国家、企業、住民などの様々な力が錯綜し、せめぎあいながら生成する現代の「フロンティア空間」。ジェームズ・スコットのゾミア概念を補助線に、世界各地に点在するその空間の実態と統治をめぐるダイナミズムを文化人類学の視点から描いている。読者の方々には、日本や欧米諸国、そして前近代における帝国などと比較し、近現代から今日における「フロンティア空間」の意味することは何なのかを考えていただきたい。

目次

序章 佐川徹・大澤隆将・池谷和信 現代世界におけるフロンティア空間の動態

第1部 領域化の進展とその限界
1章 武内進一 フロンティア空間の変容と領域統治の強化―ルワンダの事例から
2章 後藤健志 アマゾニア植民者による空間への知覚と従事―統治の工学にみられる官僚的実践の美学
3章 宮地隆廣 統治/被統治の同時性と流動性―ボリビア熱帯低地部におけるコカとコカインの管理をめぐって

第2部 住民にとってのフロンティア空間
4章 佐川徹 領域化の進展と統治されない態度―東アフリカ国境地域における開発と牧畜社会
5章 大澤隆将 開発され切らない熱帯泥炭地―インドネシア、スマトラ島のリアウ州の一村落の事例を通して
6章 寺内大左 焼畑民は国家と企業の土地開発を飼いならすことができるのか―インドネシア東カリマンタン州の石炭開発の現場から
7章 鈴木佑記 海のフロンティア―タイ領アンダマン海域における国家・資本・海民の関係性を探る

第3部 移動を継続させる想像力と実行力
8章 岡野英之 ゾミアに引かれた国境線を越える―タイ=ミャンマー国境地帯におけるシャン人移民の歴史的変遷
9章 池谷和信 フロンティア空間の発見と消失―カラハリ砂漠の事例から
10章 桐越仁美 新天地を目指す躍動―ガーナにおける移民コミュニティ「ゾンゴ」の変容と移民の農地獲得

第4部 国家とは別様の想像力
11章 久保忠行 国家的想像力のオルタナティヴ―ミャンマー難民をめぐるマルチ・サイテッド・エスノグラフィー
12章 二文字屋脩 開発に抗するとりとめのない想像力―タイ北部・ムラブリにみる暮らしの論理
13章 近藤宏 逃走が開く「翻訳」の可能性―コロンビア国内避難先住民の移動とその政治

終章 岡野英之 統治のフロンティア空間を再考する―統治のアクターは国家だけなのか