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最後の渡り鳥たち

日時:
2023年09月30日 @ 13:30 – 16:00 Asia/Tokyo タイムゾーン
2023-09-30T13:30:00+09:00
2023-09-30T16:00:00+09:00
場所:
国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂)
最後の渡り鳥たち

開催日 2023年9月30日(土)
時 間 13:30~16:00(開場13:00)
場 所 国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂)
定 員 定員に達しましたので申込受付は終了いたしました。キャンセル待ちは受け付けておりません。

350名
参加費 要展示観覧券(イベント参加費は不要)
申 込 事前申込制(先着順)
※ 予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
※ オンライン(ライブ配信)はありません。
主 催 国立民族学博物館
協 力 Director : İffet Eren Danişman Boz (Turkey)/東京国際映画祭

みんぱくワールドシネマ 映像から考える<人類の未来>第55回上映会

【司会】 菅瀬晶子(国立民族学博物館准教授)
【解説】 松原正毅(国立民族学博物館名誉教授)

上映作品

「最後の渡り鳥たち/ The Last Birds of Passage / Turna Misali」

トルコ南部の都市メルスィンとその郊外を舞台に、
遊牧と定住のはざまで揺れるアナトリアの遊牧民ユルックの姿を、
職業俳優を使いながらもきわめてドキュメンタリーに近いかたちで撮影した作品。

2021年/トルコ/トルコ語/99分/日本語字幕付き

【監督】 イフェト・エレン・ダヌシュマン・ボズ
【出演】 シェンヌル・ノガイラル ネジメティン・チョバンオウル

最後の渡り鳥たち シーン2

©️İEDB Film

最後の渡り鳥たち シーン1

©️İEDB Film

映画解説

地中海に面するトルコ南部を舞台に、近代化の波に翻弄される遊牧民(ユルック)一家の葛藤を描く、関西初上映作。足腰の弱った夫を支えて家庭の中心を担うギュルスムは、季節に伴い家畜を引き連れ移住する伝統的な暮らしを頑ななまでに尊重してきたが、政府が進める定住化へと心が動く夫や娘夫婦の説得に遭い、苦悩を色濃くしていく。本作でデビューを飾るイフェト・エレン・ダヌシュマン・ボズ監督は、撮影監督を務める夫と数年にわたり取材を重ね、脚本も共同で執筆。高齢の両親や子どもの将来への負担を危惧し、高価なトラクターを購入してでも新しい生き方を模索する娘夫婦ら家族が抱えるジレンマのみならず、遊牧を断念して定住を選んだ人びとの複雑な胸中をも、丹念に映し出す。亡き母の記憶がなく、親代わりのギュルスムを敬慕し甲斐甲斐しく手伝う孫娘や、自らのルーツでもある遊牧民に惹かれ、持参したテントに寝泊まりしながら一家と生活をともにする男性教諭の溌剌(はつらつ)たる姿、家族のごとく悠然と振る舞うヤギやラクダたちの生き生きとした表情が、伝統を継承する意義を静かに謳う佳篇。(映画評論家 服部香穂里)

人類史における遊牧の意味を探るために

「最後の渡り鳥たち」は、興味深い映画だ。ここでは、遊牧民ユルックたちがトルコの政治社会状況のなかで翻弄される現在が静かな語り口で描きだされている。さらに、多様な人生の交錯が淡々と表現される。全編を通じて声高な主張は前面にでてこないが、人類史における遊牧の意味を思索するうえで強い衝撃力をそなえた作品といえる。
遊牧は、人類史のなかで古い起源をもつ生活様式である。5~6万年前ころにアフリカ大陸から西アジアに移動した現生人類は、はじめて野生ヒツジ群や野生ヤギ群に遭遇する。これらの野生動物群は、いずれも西アジア原産である。野生ヒツジ群や野生ヤギ群に遭遇した現生人類の一部の集団が、やがてゆるやかな共生関係を構築するようになる。この両者の共生関係が長期にわたって持続するなかで、搾乳や去勢の技術が導入された。ここに、遊牧の起源がある。共生関係の構築の網は、野生のウシやウマ、ラクダに拡大する。農耕との接触などを通じて、家畜化が進行した。
厳しい状況のなかで遊牧生活を継続するユルックにおいても、家畜群との共生関係の構築の重要性はうしなわれていない。この映画からも、家畜群を媒介とする自然との共生の大事さがつたわってくるだろう。(松原正毅)

映像から考える<人類の未来>国立民族学博物館 菅瀬晶子

映画がこの世に誕生して、120年あまり。最初は日常生活の一端を切り取ったものでした。いまや日本では年間に1300本に迫る数の映画が公開され、その内容も多種多様です。世界のさまざまな地域で、現在進行形で起きている問題を扱う作品も年々増えてきました。問題意識を喚起する手段として、映画は実に有効なのです。
みんぱくワールドシネマでは、所属する研究者の個別研究や現在進められている研究プロジェクトの内容に沿った映画を選び、その内容を研究者が解説することによって、最新の研究成果と映画のより深い理解を観客のみなさまと共有することを目的としています。紛争、差別、環境変動などを超えて、異なる価値観を持つ人びとはどう共存してゆくべきか。終映後、あらたな視座がみなさまの中に生まれれば、さいわいです。

申込について

定員に達しましたので申込受付は終了いたしました。キャンセル待ちは受け付けておりません。

事前申込制(先着順)での開催となります。
代表者を含め2名まで申込可能です。

受付期間:2023年8月28日(月)10:00~9月22日(金)16:00
※定員になり次第受付終了
※解説時に手話通訳が必要な方は、9月8日(金)までに申込いただき、その旨をお知らせください。

  • 予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
  • 事前申込の方へ、当日11:00から本館2階会場前にて展示観覧券を確認後、入場整理券を配布します。
  • 受付期間内に定員に満たない場合のみ当日参加を受付けます。

お問い合わせ

国立民族学博物館 企画課 博物館事業係
TEL:06-6878-8210(土日祝を除く9:00~17:00)